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キャンプの恵み

Vol.94 大人の味方

  • 2015年11月12日

 「子供というのは、親以外の大人の味方がいなければ、とてもとても育ちにくいものだから。」
 赤坂真理さんの『愛と暴力の戦後とその後』という本の中で出会った一節です。ご自身の住む地域の公園の改修に関する住民委員会で覚えた違和感をきっかけに、閉塞感について語る章にこの言葉はありました。
 「親以外の大人の味方」というのは、親には「ダメ!」と言われることも「まぁまぁ」と大目に見てくれる大人のことなのだろうとおもいます。もちろん、親の言う「ダメ!」の裏には「ケガをしないように」といったまっとうな理由があるのですが、しばしば子ども自身の欲求とはかみ合わないものです。その欲求を満たすような行動(それはしばしば危険を伴うものだったりします)を見守ってくれるのが、「大人の味方」というわけです。
 しかし、「大人の味方」になるのもけっこう大変です。少しくらい危ないこともやらせてあげるということは、なにかあったら責任を負うこととセットなのですから。安易に引き受けてはならないという気持ちにもなります。 キャンプ会議
キャンプ会議
けれど、あえて責任を引き受けようという大人がたくさんいなければ、子どもたちは大変です。

 キャンプというのは、子どもたちを非日常の場に連れ出すことであり、そこには大なり小なり危険がセットになっています。そして、その危険があるからこそ、子どもたちにとってワクワクする時間になるのだし、成長の機会にもなるわけです。キャンプはまさに楽しくて危ないことに付き合ってくれる「大人の味方」に出会う場なのですが、事故を防ぐために過度に管理的になれば、“味方度”は下がります。
 事故は起こさないけれど、ちょっと危ないことを思いっきりできる、そんな微妙なさじ加減が求められますが、安全の意識が高まるにつれて、管理的になる部分が増えてきているのも否めません。難しい問題だけれど、キャンプはとびきりの「大人の味方」に出会う場所であり続けてほしいとおもうのです。



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