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キャンプの恵み

Vol.92 原因究明と犯人探し

  • 2015年10月15日

キャンプ会議
キャンプ会議
 野外の安全についての講習会で話す機会を与えられ、今、その準備をしています。
 実際の事故を題材に話す部分があるのですが、それらの事例について詳しく知ろうとネット検索をすると、関係者を誹謗中傷するような内容のサイトがいくつも残っていて、悲しい気持ちになります。

 1年ほど前、キャンプ場で起きた事故についてコメントを求められたことがありました。その中で、あるテレビ局の取材では、そのキャンプ場のオーナーが悪いと言わせようとするかのような質問ばかりされて、ずいぶんと戸惑った記憶があります。「今、出ている情報ではなんとも言えない」と逃げましたから、相当イヤな取材相手だっただろうとおもいます。
 確かに、テントサイトの設置状況や職員の対応にまずい点があったのは事実ですから、オーナーに一定の責任があるのは間違いありません。しかし、事故に関係ないかもしれない“悪い噂”まで持ち出して、全部ひっくるめてオーナーのせいだということにすると、事故がどうして起きたのかという原因究明がきちんとできなくなってしまいます。
 もちろん、白黒付けたい気持ちはわかります。けれど、野外の事故の多くは“自然”という本来的に制御しきれない要因が関与するので、100%の悪人を探し出すことはできません。にもかかわらず、犯人探しをして、その“犯人”を糾弾して満足してしまっては、「事故を起こすようなダメなやつは排除しろ」という、なんの教訓にもならない、実効性のない答しか得られないでしょう。自然の中の活動には変数が多すぎて、シンプルな安全策を見いだすのはまず不可能です。だから、単純な犯人探しはさっさとあきらめて、面倒くさい原因究明に取り組むことが大切なのだとおもいます。

 講師の立場では、「これさえやれば大丈夫!」というバシッとした答を言ってみたいところです。けれど実際にはそうもいかず、「あれも大事‥」「これも大事‥」と言いよどむことになるのです。



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