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キャンプの恵み

Vol.9 安全が大切である理由

  • 2012年6月21日
安全が大切である理由

 日本キャンプ協会では、7月第3日曜日を「キャンプ安全の日」と定めているのですが、そのきっかけとなったのは1999年8月に神奈川県の玄倉川(くろくらがわ)で起きた事故でした。それは、河原でキャンプをしていた18人が大雨で増水した川に流され、13人が亡くなるという痛ましいものです。

 私たちが「危険」と呼んでいるものには「リスク(Risk)」と「デンジャー(Danger)」の2種類があります。リスクは「コントロールできる危険」で、デンジャーは「コントロールできない危険(偶発的で不可避な危険)」を意味します。この事故に関しては、大雨で川が増水する可能性があることを勘案して、河原でのキャンプを中止していれば防ぐことができた「リスク」による事故でした。リスクが「コントロールできる危険」であれば、「コントロールすべきだった」と言うこともできるでしょう。しかし、事故というのは当事者にとってみれば、突然に、思いがけず起こるものです。この事故で被害に遭われた方々を軽々に批判することはできません。

 ただ、それでも安全は大切で、リスクに対する備えを忘れるわけにはいきません。それは、事故は突然に、思いがけず起こり、被害に遭った方のまわりの方々に大きな悲しみを与えてしまうからです。私たちは無意識のうちに、「今日とさして変わらない明日」が来ることを前提にして毎日を過ごしています。ですから、思いがけない喪失は、大きな衝撃となることが多いのです。

 リスクと対峙したときに「これはまずいぞ‥」と気付ける感覚は、リスクと向き合い、経験的に学ぶことでしか育たないものなのだと思います。自然の中での活動であるキャンプは、どうしてもリスクをゼロにすることができないからこそ、安全の感覚を身につけるよい機会になるのです。

 冒険という言葉が「危険を冒す」という意味である以上、どうしても矛盾したような言い方になってしまうのですが、「この夏は、どうか安全に心を配って、冒険してください」。


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