Camp Corazon(キャンプ・コラソン)は、アメリカ・ニューメキシコ州のChildren’s Grief Centerが主催するキャンプです。Corazonはスペイン語で「心」という意味。大切な人を亡くした子どもたちのための、心のモヤモヤにフォーカスしたキャンプです。
現地在住の園田さんという方の働きかけにより、田口さん、大塚さんという、日本で子どものグリーフサポートに携わるふたりがこのキャンプに参加しました。
キャンプは3日間ですが、その間にシェアリング・サークルという時間が4回設けられています。あるときは、亡くなったのがどんな人か、その人が亡くなった後にどんな変化があったかを話します。またあるときは、紙片にその人へのメッセージを書きます。紙片は気持ちが届くよう願ってキャンプファイアーに投じるのですが、そうせずに大事に持ち帰る子もいます。
もちろん、表現をするかどうかは個々の判断に任されるのですが、キャンプの共同生活が「話しても大丈夫」という気持ちを生じさせます。最初はみんなから距離を置いていたある男の子は、親しい仲間ができるにつれ、少しずつ表現するようになり、紙片に書くメッセージは長い長い手紙になったそうです。
失ったものに対するモヤモヤを整理するためには、心からいちど取り出して、客観的に見つめ直してみることが近道になりそうです。でも、モヤモヤの中には怒りや絶望、憎しみなど、ほかの人に見せるのを躊躇する感情だってあるものです。
そんな躊躇を和らげてくれる空間を作れるのがキャンプのよさです。トレーニングを受けたスタッフと、人と人の関係を近づけるさまざまなアクティビティによって、「ここならば私の絶望や憎しみを話しても受け入れてもらえる」と確信を持つことができるようになります。
3日間のキャンプで悲しみが消えるわけではありません。でも、悲しみとの付き合い方は少し変えることができます。その変化が、明るい気分でいられる時間を少しずつ長くしてくれるのだろうとおもいます。