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キャンプの恵み

Vol.87 定番の活動が行われる理由

  • 2015年8月6日

 あるキャンプのビデオをいただいたのですが、それが撮影されたのは1992年、今から23年前でした。20分ばかりの映像を見ておもしろいなぁとおもったのは、そこに映されている山登りや沢登り、野外炊事といった活動が今とほとんど変わりないことです。よく見れば、服装やテントなどの装備品の違いに、時代を感じさせる部分があちこちあります。しかし、ビデオを通して見える「やっていること」には意外なほど変化がないのです。
 もちろん、惰性で同じことをやっているわけではないので、そこには「変えなくてもいい理由」があります。

沢登り
野外炊事
 キャンプなどの活動を人の成長に結びつけるものとして、セラピューティック・レクリエーションという考え方があります。ごくごく単純に説明すると、挑戦をし→成功体験を得て→プロセスをふりかえり→自己肯定感を獲得するということなのですが、その挑戦は、あとで成功や失敗の理由を個々に考えることができるよう、ある程度の単純さが必要です。もちろん、がんばらなければ達成できないという多少の困難を含むものであることは重要ですが、目新しいものである必要はないのです。普段の生活では必要のない工夫が求められる。あるいは、日常と違う身体の使い方をしなければならない。山登りや沢登り、野外炊事などが何十年も前からずーっとキャンプの活動として行われているのは、この条件に合っているからなのでしょう。

 キャンプを選ぶとき、目新しい活動があるほうがよさそうな気がします。けれど、キャンプを単なるレジャーではなく、成長の場としてとらえると、定番中の定番の活動が選ばれるのには十分な意味があることに気づきます。ありふれた言い方になりますが、大切なのは活動のメニューではなくて、それを支える人なのです。だから、よいキャンプに出会うためには、パンフレットの魅力的な情報以上に、説明会などに参加して運営者と直接話すことを重視してほしいとおもいます。



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