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キャンプの恵み

Vol.77 自然の中で考ふ

  • 2015年3月12日

自然の中で考ふ  キャンプを構成する要素としてよく挙げられるものに、「簡素で素朴な生活」「小集団による活動」「自然の中での活動」があります。いつもと違う環境で小さなチャレンジを経て成功体験を積み重ねたり、コミュニティの構成員と協力しあう社会性を身につけたりすることに「簡素で素朴な生活」や「小集団による活動」は役立ちそうな気がしますが、それが自然の中で行われることの必然性は何なのだろうかと、ことあるごとに考えています。
 確かに、林の中を歩いたり、海の波の音を聞いたりしていると、とても気持ちいいなぁとおもいます。でも、それだけがキャンプを自然の中で行うのが重要である理由なのでしょうか?仕事柄、「キャンプはいいですよぉ」とお伝えする立場にあるので、うまく説明できる、しっくりくる理由はないだろうかとおもっていたのです。
 そして、『あわいの力』という、能楽師の安田登さんが書かれた本の中に、ひとつのヒントを見つけました。

「かんがえる」の語源は「か身(み)交(か)う」です。 (中略) 身体が「交わる」ときに、すなわち思考が生まれる。そう古代の人は考えて「か身交う(考ふ)」という言葉をつくったのでしょう。(p209)

あわいの力
あわいの力
著者:安田登
発行:ミシマ社
 安田さんは、「か身交う」場面として自然の中を歩くことをあげています。自然の音を聞きながら歩いていると、「外」の自然と「内」の自己が交わって、自分が普段思いつかないようなことが引き出されるというのです。
 「考える」という言葉が、「自然と一体になったときに思考が生まれる」という古代の人々の経験からほんとうに生まれたのだとしたら、キャンプを自然の中で行うことにも、「考える場として最適だから」という意味が与えられそうです。

 誰かがラジオで、「暗い気持ちでした決断は必ず間違っている」と言っていました。ならば、自然の中で「気持ちいいなぁ」とおもっているときには、気持ちが明るく、軽やかになって、すてきなこたえがするりと出てくるのかもしれません。



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