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キャンプの恵み

Vol.40 レスパイトケアとしてのキャンプ

  • 2013年9月12日

 「レスパイトケア」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

 レスパイト(respite)の元々の意味は、「顧みる」。そこから転じて「苦役からしばらくの間解放され、疲れを癒すこと」という意味が生まれたそうです。レスパイトケアは、在宅で高齢者や障害者などをケアしている家族に休息を与えるために、施設等で一時的に預かるサービスを表す言葉としてよく使われています。

 キャンプも、このレスパイトケアの役割を担うことができます。子どもをキャンプに預けると、保護者は普段はなかなか持てない自分の時間を楽しむことができます。おまけに、キャンプでは子どもたち自身も楽しんでいるわけですから、保護者も心置きなく楽しむことができるのです。

 古い話ですが、20年ほど前、3年連続で知的障害の子どもたちとキャンプをしたことがありました。

 1年目、多くの親御さんは心配で家を離れることができませんでした。2年目、数人のお母さんたちが連れ立って、北海道旅行に出かけました。そして3年目には、なんとシンガポール旅行に出かけたお母さんたちまで出てきました。

 当時は重度の知的障害の子どもを預けられる場所も今よりうんと少なかったですし、携帯電話も普及していませんでした。だから、短い期間でも子どもを手放すのを不安に感じる保護者は多かったのです。しかし、いざキャンプに行かせてみると、子どもたちは至って平気な様子。これなら大丈夫と、2年目からはレスパイトを楽しめるようになったというわけです。

 「子どもたちを社会で育てる」という空気がもっと濃くなって、レスパイトケアの担い手があちこちにいれば、一部で「苦行」であるかのような扱いを受けている子育てに対するイメージも変わるのではないかと思います。その一翼をキャンプが担うことができればよいのですが‥。もちろん、費用を誰が負担するかとか、どのように親御さんとキャンプを結びつけるかといった課題も多くありますが、子どもたちの成長をできるだけたくさんの人で見守るような社会ができればよいなと思います。


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