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キャンプの恵み

Vol.25 世代間の贈与

  • 2013年2月14日
キャンプイメージ

 今、ちょっとしたお勉強をしています。東京都主催のNPOを対象とした講座が12月から3月にかけて行われており、そのいくつかに参加しているのです。学ぶのは、ファンドレイジング(寄付集め)や広報、労務といった、組織運営に必要なことがらです。

 NPOは「非営利組織」と訳され、ボランティア団体と混同されている向きもありますが、利益追求が目的ではないというだけで、運営にはお金がかかりますし、そのお金を何らかの形で確保しなければならないのは、私企業と変わりありません。

 ところがNPOが取り組む事業というのは、概してお金儲け向きではないものばかりです。キャンプも同じ。いいキャンプを行うためにはたくさんの人手が必要ですから、まともに考えると相当に高コストなのです。そこを補うのが、寄付をしてくれる人や労働力を提供してくれるボランティアということですから、企業運営とはひと味違うビジネスセンスが求められます。

 お金は社会みんなで「価値があるもの」と決めている共同幻想の賜ですが、それでも「価値があるもの」とほぼすべての人が思っているので、お金が介在すれば話は比較的単純です。でも、NPOを支えることで得られる対価は、ある人にとっては価値があるけれど、ある人にとっては何の意味もないもの。こうした一般性のないものを多くの人に理解してもらうというのは、とてつもない難事業です。



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 私は大人たちが苦労して子どものためにキャンプを行うのは、世代間の贈与だと考えています。贈与にはさまざまな形があって、見返りを期待する場合もあります。しかし、大人から子どもへといった下の世代に向けた贈与では、直接の見返りはほとんど期待できません。「この子たちが大人になったときに、さらに下の世代になにかをパスしてくれたらいいなぁ」と、キャンプを楽しむ子どもたちを目を細めて眺めることに価値を感じてもらうしかありません。

 本来、人はそのようなことに大きな価値を感じる生き物のはずですが、世の中は経済合理性がかなり幅をきかせているようで、形勢はかなり不利。抵抗するには、もっともっと知恵を磨かないといけないようです。


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