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キャンプの恵み

Vol.19 3つのメッセージ SKY CAMP in 朝霧 (3)

  • 2012年11月8日

 今回のキャンプでは、亡くなった人のことをていねいに思い出すための、いくつかの試みをしました。それは、「親をなくしたのは“自分ひとりじゃない”よ」「言葉にできない思いや、いろんな気持ちがあって自然だよ」「その気持ちを『あのね』って誰かに話してもいいんだよ」という3つのメッセージを子どもたちに伝えるためです。


“今の気持ち”を大切にできるよう、きれいに飾り付けます。
“今の気持ち”を大切にできるよう、きれいに飾り付けます。

 今の気持ちをさまざまな感情を表したイラストを使って表現したり、子どものころにお父さんを自死でなくしたリーダーの話を聞いたり。いくつかの場面で、異なる方法を使って、3つのメッセージを届けました。

 これは子どもたちにとっては、必ずしも愉快なことではありません。気持ちがざわざわするのか、不安そうな表情をしたり、少し落ち着きをなくしてしまう子もいました。


思い思いに絵や文字を描き、木の根元に置きました。
思い思いに絵や文字を描き、木の根元に置きました。

 最後の日、思い思いに文字や絵を描いたストーンペイントの作品を“わたしたちの木”の根元に並べ、みんなで輪になって、スーパーバイザーの西田さんから3つのメッセージを改めて伝えました。そして、その場を立ち去ろうとしたとき、9歳のKさんが「なくなった人って言うな!」と西田さんの脇腹をたたきました。

 彼女はどんな思いでこの言葉を言ったのでしょうか?お母さんがいなくなったことがまだ整理できていない苛立ちを表しているのでしょうか。それとも、彼女の中ではお母さんの存在をありありと感じていて、「なくなってなんかない」ということなのでしょうか。真意はわかりませんが、3つのメッセージを素直に受け止められない状況にあるのは確かでしょう。


気持ちがざわざわしたときは、リーダーたちが寄り添います。
気持ちがざわざわしたときは、リーダーたちが寄り添います。

 けれど、大きな喪失と折り合いを付けて生きていくためには、早晩、現実と向き合うことになります。その日のために、3つのメッセージを受け止めておくことはとても大切です。

 キャンプでは不安な気持ちになったときでも、すぐそばに信頼できる大人たちがいます。子どもたちの不安をきちんと受け止める覚悟をした大人たちがいる場所だからこそ、この3つのメッセージを伝えることができるのです。


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