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「アホウドリ」 詳細解説

読み:
あほうどり
英名:
Albatross

アホウドリは、全長約90cm、翼を開くと2mを超えるものもいる大きな海鳥で、ミズナギドリ目アホウドリ科に分類される。成鳥の体は白く、翼の先と尾の先が黒っぽい。また、後頭部は山吹色をしている。6月から9月までの間は海の上で魚介類をとって生活し、10月上旬に巣立った孤島に戻って繁殖活動を行い、5月下旬にひなが巣立つと再び海上生活を始める。世界的な希少種であり、特別天然記念物に指定されているほか、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種に指定されている。また、環境省レッドリスト2006では絶滅危惧2類に位置づけられている。繁殖地は伊豆諸島の鳥島と尖閣諸島の2カ所のみだ。

環境省などの調査によると、繁殖期以外には北太平洋のベーリング海やアリューシャン列島近海、アラスカ湾などに渡ることが確認されている。かつては日本近海の孤島などに数十万羽が分布していたが、19世紀後半から上質な羽毛をとるために乱獲され、1949年には絶滅宣言まで出された。しかし、その後の調査で鳥島や尖閣列島で生存していることがわかり、環境庁(当時)などが1980年代から鳥島で植生回復による営巣環境の改善や、新たな営巣地への誘致などの事業を開始した。また、2001年から日米共同による衛星追跡事業も行われている。

アホウドリの保護増殖計画の中でも有名なのが、1992年から行われた「デコイ作戦」だ。鳥島の安全な場所にアホウドリそっくりにつくったFRP製の模型(デコイ)を置き、アホウドリのつがいを呼び寄せる試みで、デコイの周辺に設置されたスピーカーからは求愛時などに上げる鳴き声が流された。この作戦は2006年まで続けられて大きな成果を収めた。こうした保護増殖事業の結果、鳥島にいるアホウドリの数は2010年現在で約2570羽と推定され、1993年に比べて4倍以上に増えた。

2007年度には、環境省や民間団体の支援を受けて、(財)山階鳥類研究所の手による新繁殖地形成事業が始まった。アホウドリのヒナを、火山活動が活発な鳥島から約350km離れた同諸島の聟島(むこじま)へヘリコプターで運んで解放し、同研究所の研究員が同島に滞在して人工飼育を行っている。前年に移送したヒナは、15羽すべてが無事に巣立った。アホウドリは巣立った場所に戻って繁殖する傾向が強いため、順調にいけば聟島が新たな繁殖地となる可能性は高い。

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