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「遺伝子組み換え作物」 とは

読み:
いでんしくみかえさくもつ
英名:
Genetically Modified Organism

遺伝子(DNA)に他の特性をもつDNAを人為的に組み込む「遺伝子組み換え技術」によって、自然界には存在しない新たな性質を付け加えた作物。英語の頭文字を取ってGMOと呼ばれる。除草剤をまいても枯れない作物や、害虫に対する抵抗性をもつ作物、殺虫作用のある作物などがある。GMOは主要特許の多くをもつ欧米で開発や市場化が進み、国内でも厚生労働省が輸入を許可して以来、直接・間接に食卓にのぼるようになった。一方、食品衛生法に基づき、安全性審査を受けていない遺伝子組み換え食品の製造・輸入・販売は禁止されている。規格基準に適合しない遺伝子組み換え食品が市場に出回った場合、食品メーカーなどによる自主回収や本国への積み戻し命令などの対象となるほか、罰則もある。

それでも、組み換えられた遺伝子が自然界に流出することによる周辺生態系への影響や、食品としての安全性について問題があると指摘する科学者や市民団体は多い。このため、取り扱いをしないと明言する食品関連メーカーやスーパーなどの小売店もある。GMOなどの使用に関する国際的な規制の枠組みとして、「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(カルタヘナ議定書)」がある。同議定書では、GMOではなく遺伝子組み換え生物を意味するLMO(Living Modified Organism)という用語が使われている。両者の違いは、LMOが生きている「生物」のことであるのに対してGMOは加工・精製された製品なども含むことだが、非公式な国際交渉の場や市場などではあまり厳密な使い分けはされていない。日本では同議定書を実施するために、LMO/GMOの取り扱いについて定めた「カルタヘナ法」が2004年2月に施行された。

カルタヘナ議定書に基づく国際交渉はその後も続けられ、2010年2月にインドネシアのクアラルンプールで未定だった「責任と修復」についての話し合いが行われた。議論は同年10月に名古屋市で開かれたカルタヘナ議定書第5回締約国会議(MOP5)にもちこされ、「名古屋・クアラルンプール補足議定書」が全会一致で採択された。補足議定書の採択により、LMO/GMOの国境を越える移動により生物多様性遺伝資源の持続可能な利用に損害が生じた場合に、締約国が講じるべき原状回復や賠償などの措置に関するルールが決まった。今後、わが国による補足議定書の調印・批准はもちろん、法改正も視野に入れた国内法の整備が求められる。

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