
出会った日から惹かれ合うふたり / 西香はち(@24hachi1)
太平洋戦争の開戦直前、女学生の松乃と、海軍の戦闘機パイロットの虎次は出会う。お互い惹かれながらも、時は戦時中の大変な時期。手紙のやりとりにも検閲が入ってままならぬ中、少しずつ距離を縮め、想いを通わせていく。これは戦争の悲しい話ではなく、そんな時代にもしっかりと芽吹いた小さな恋の物語である。
本作「切なに刹那く」を描いたのは、普段は会社員として勤める傍ら、兼業漫画化として「コミックDAYS」で「波うららかに、めおと日和」を連載している西香はち(@24hachi1)さん。同人活動やpixivでは、24号というペンネームで活動をしている。今回、「切なに刹那く」について話を聞いた。
■描きたかったのはピュアな男女の「モタモタ」した恋愛
切なに刹那く_第1話_P001 / 西香はち(@24hachi1)
切なに刹那く_第1話_P002 / 西香はち(@24hachi1)
切なに刹那く_第1話_P003 / 西香はち(@24hachi1)
主人公・松乃の家に軍人の虎次が訪ねてくる。無口でそっけない態度の虎次に松乃は苦手意識を持つが、実は彼が額の傷を見せないよう気を使っていただけだと知り、松乃の気持ちは一気に変わる。
帰り際、松乃に気遣い傷を隠す虎次に、松乃は「隠さないでください」と伝える。「戦って生き残った証なんですから」と。その言葉に虎次は笑顔を見せ、2人の間に小さな想いが芽生える。しかし、戦争は容赦なく2人を引き離していく。松乃を守りたい虎次と、ただただ虎次の無事を願う松乃。どうすることもできない戦争の渦の中、2人の恋の行方は――。
「ピュアな男女がモタモタしている感じを描くのが好き」と語る西香はちさん。「そこに軍服や自衛隊の制服という要素が加わるとさらに筆が乗る」とのこと。
また、「『戦時中の物語は重たかったり悲しかったりするので読めない』という話を耳にし、そういう人たちにもなるべく読みやすく、この時代の物語を届けられるよう工夫しました」と、本作誕生の裏側について語った。
シリーズ作品について尋ねると、「最初に描いたのは、海軍パイロットの虎次と松乃だったんですが、虎次の同期の話や、それとは別に陸軍の物語もあります。戦時中の恋の話ということで、全部ひっくるめて『切なに刹那く』のシリーズものと位置づけています」と説明。
本シリーズの新作については、「新作の予定は立っていないのですが、シベリア抑留された方との恋愛話を描きたいなぁとはぼんやりと思っています」と意気込みを語った。西香さんの今後の活躍に期待が高まる。
取材協力:西香はち(@24hachi1)