29万再生のスト6最弱トーナメント「消毒杯」 “仕掛け人”こく兄と“モダンの父”ハイタニ、REJECTのレジェンドたちが格ゲーシーンの裏方に回るワケ

  • 2025年2月7日
  • Walkerplus

「ストリートファイター6」“最弱”の汚名をかけ、人気ストリーマー8名が雌雄を決するREJECT主催の負け上がりトーナメント「消毒杯 Powered by NURO 光」(以下「消毒杯」)が、2025年1月16日に開催された。REJECTの格闘ゲーム部門総合プロデューサー兼ストリーマーのこく兄さんが「ストリートファイターIII 3rd STRIKE」全盛時代に主催し、プレイヤー同士の愛ある煽り合いも含め、カルト的な人気を博した大会「汚物消毒杯」がルーツのイベントで、NURO 光がスポンサーとなり令和の今、タイトルをスト6に変え蘇ったものだ。
こく兄さん(写真左)とハイタニさん(写真右)
こく兄さん(写真左)とハイタニさん(写真右)


ウォーカープラスは本トーナメントの当日開催直前、イベント会場であるREJECT本社内のコミュニティスペース「REJECT HUB Presented by Sony」にて、こく兄さんと、同じくREJECT所属のストリーマーで“モダンの父”とも称され、本イベントの解説を担当するハイタニさんの2人にインタビューを実施。前身となる汚物消毒杯が生まれた経緯や、戦前に語られた消毒杯の優勝候補、オンライン環境では重要なネット回線への考え方などを訊いた。

■「最強だから負けるわけがない」同士がぶつかる最弱決定戦

――はじめに、「消毒杯」の前身となった負け上がりトーナメント「汚物消毒杯」が生まれた経緯を教えてください。

【こく兄】(格ゲーマーは)やっぱり誰に聞いても「俺が最強だよ」って言うんですよ。なら「最強はわかった。じゃあこの中で一番弱いやつを探そうぜ」って負け上がりトーナメントを作ったんです。みんな「最強だから負けるわけがない」って言っているんで、じゃあやってみようよって感じで始めました。

――仲間内で誰が一番弱いという勝負は、結構嫌がる人もいたんじゃないかと思うのですが、みなさん大丈夫と思って参加されていたんでしょうか?

【こく兄】やっぱりみんな自分で「最強」って言ってるので、負けるわけがないと思ってるんですね。(参加者が)16人だったら、(優勝しない確率は)16分の15。今まで10年、20年も格ゲーやってきて「俺が16分の15引けないわけないだろ」ってみんな思ってたんですよ。馬鹿なんですよね、誰かは引くんだよ(一同笑)。イベントは結構何回もやったんですけど、みんな楽しみに来ているし、なんか楽しいからやってるという感じでした。ぶっちゃけ言うと本当の勝敗が決まる訳じゃないし、最強最弱も絶対決まらないです。その時だけの、運だけのエンターテイメントですよね。

――今回、そのコンセプトを復活させ「消毒杯」開催に至ったのは?

【こく兄】当時は「ストリートファイターIII」でやっていて、「IV」や「V」、違うゲームでもやっていて。最後は「ソウルキャリバー」だったかな。で、タイトルが変わったので「じゃあまたやろうか」って。

――今回解説を担当するハイタニさんは、「汚物消毒杯」は当時ご存じでしたか?

【ハイタニ】こく兄が(そういうイベント)をやっているのは知っていて、ときどき(イベント配信の)視聴もしていました。ただ出たことはないです。

【こく兄】本当は出てほしかったんですけど(ハイタニさんは)関西に住んでて。イベントは東京であったんですけど、さすがに(遠方から)呼ぶような、そういうイベントじゃないんですよ。

【ハイタニ】普通に出たくないですよ。その、なんの得もない(一同笑)。
ゲームセンターの自家製大会として熱狂的な人気を博した“汚物消毒杯”をリブートして開催した「消毒杯 Powered by NURO 光」
ゲームセンターの自家製大会として熱狂的な人気を博した“汚物消毒杯”をリブートして開催した「消毒杯 Powered by NURO 光」


――対戦するからにはたくさんやりたいでしょうし、強い人からすれば、負け上がりは1試合しか出られないということでもメリットがあまりないですよね。

【こく兄】(汚物消毒杯に)一回出た人からすると、早く抜けたいらしいです。1試合で終わらせたいと。

■戦前に予想されていた!消毒杯の“優勝候補”は誰だったのか?

――今回はNURO 光のスポンサードの下での大きなイベントとなり、もしかしたら「互いに煽り合う当時のノリがなくなってしまうのでは」とも思うのですが……。

【こく兄】あの頃は仲のいいプレイヤーが集まってやっていたので成立していて、今回は確かにそういう感じなんですけど、演者がやっぱりパワーアップしているので。プレイヤーなんですけど、ストリーマーとしても長くやっている方が多いし、解説のハイタニとかも(煽りを)投げてくるんですよ、いつもは。なのでそういう掛け合いに関してはもう何の問題もないですね。ただ、この令和の時代にもいけるかなと(笑)。

――いわゆるコンプライアンス的な。

【ハイタニ】令和の時代だからこそ、汚物消毒杯が消毒杯になったってことでしょ?

【こく兄】多分そうだと思います。

――こく兄さんの話す通り、参加者はさまざまな意味でハイレベルな顔ぶれです。その中で、お二人が今回注目されているプレイヤーを教えてください。

【ハイタニ】やっぱり(対戦者以外の)ガヤみたいなところが盛り上がるイメージがあるので、布団ちゃんやおぼ、しんじさんとか、こく兄もそうですけど「どんなことを言うのかな」みたいなところがやっぱり楽しみですね。盛り上がりそうだなと思います。

――こく兄さんはいかがですか?

【こく兄】石井プロですかね、一番弱いので(一同笑)。よくきたな、っていう。間違いなく優勝候補です。申し訳ないですけど、みんなでヤツをいじめて終わりなんじゃないかって。ヤツに負けたら本当にやばいと思います。

――そういう意味では石井プロとの対戦はかなり緊張するのでは。

【こく兄】緊張感ありますよ。一先ですし、全然(負けも)あるので。石井プロ相手が一番緊張するんじゃないかなって思ってます。今大会の鍵を握ってますね。

――優勝候補という意味ではハイタニさんは誰を挙げますか?

【ハイタニ】MR的にはやっぱり石井(プロ)さんなのかな?石井さんか、おぼになるのかな。でも(参加者みんな)レベル高いんですよね?

【こく兄】でもおぼは結構行くタイプじゃない?行くとちゃんと勝つもんね。石井プロはあの動きのレベルで受けだよ。無理じゃね?

――(笑)。結果が出た時にどうなっているかが楽しみです。

【こく兄】そうですね、そこも含めて面白いと思います。
「REJECT HUB Presented by Sony」ラウンジスペース。消毒杯では“ガヤ”スペースとして使われた
「REJECT HUB Presented by Sony」ラウンジスペース。消毒杯では“ガヤ”スペースとして使われた


――実力差だけでなく、キャラ相性もありますよね。

【ハイタニ】もちろんそうですよね。(石井プロの使用する)マノンが苦手な人もいると思うので、そうなったらまだわからない。

――しんじさんさんがマノン苦手かはわからないですけど、(使用する)ザンギエフはマノンが苦手じゃないですか?

【こく兄】そうなんですね。嫌がってる節があるんだ。じゃあしんじが石井プロに行ったらもしかしたら。ただ、しんじはMR高いんでその後勝ちそうだけどね。

編集部註:優勝はハイタニさんが優勝候補の一人に挙げたおぼさん。同じく優勝候補の石井プロさんとは一回戦で激突し、石井プロさんが勝ち抜けるという結果になった。

■ストリーマー目線で見るネット回線のポイントは「途切れないこと」

――「Powered by NURO 光」ということで、格ゲーマーの回線事情についてもうかがえればと思います。お二人もNURO 光をお使いとのことですが、使い心地は?

【こく兄】何も問題なくスムーズに動いております。正直に言えば今まで2回だけ、OBS(※PC用の配信ソフト)もライブ配信をモニターする画面も止まって配信が途切れたことがあったんですけど、それは何が原因なのかはわからなかったです。

【ハイタニ】僕も対戦中などは問題ないですね。ただ設定の問題なのか、PCを立ち上げる時に、オンラインになるまでに時間がかかるときがあって。僕は2回線を使ってるんですけど、他の回線の方だと常にオンラインで、NUROは(PCが起動して)しばらくしてからということが。理由があまりわからないですし、基本的にはNUROで問題はないです。
本戦には参加しないハイタニさんと、選手として出場するこく兄さんがウォーミングアップで激突
本戦には参加しないハイタニさんと、選手として出場するこく兄さんがウォーミングアップで激突


――数値的な部分では?

【こく兄】回線速度を測ったりしますけど、何か特別遅いと思ったこともないですね。(Ping値は)一桁台。(註:回線の応答速度を表す数値。低ければ低いほど速い)

【ハイタニ】(アップロード・ダウンロード)どっちも900Mbps前後は出ているイメージですね。

――これまでに色々なオンライン回線に触れられてきたと思いますが、その中で比べると?

【こく兄】僕は以前(別の回線で)すごくネットが繋がりづらくなって一軒家に引っ越したんですけど、その時から比べたら本当に快適ですね。今はまた集合住宅なんですけど、それでも何の問題もないです。

【ハイタニ】僕が今まで他の回線を使っていた理由は、トラブルが起きた時のサービスがよかったというのがあって。(回線は)何かあった時に対応してくれるかどうかっていうのがすごく大事だと思っています。NUROはまだトラブルが起きたことがないので、そこがまだわからない状況です。(トラブルが)起きないのが一番いいんですけど、なんだかんだ起きるじゃないですか。そこで解決できるかどうかという。

――先ほどのお話と被る部分もあるのですが、通信回線が理由で困った出来事はありますか?

【こく兄】(一軒家への引っ越し以前)あまりにも回線速度がでなくて、APEXみたいな速度が必要なゲームができなかったんですよ。格ゲーは一応できていたんですけど、他のゲームはまったくできなくなって。引っ越しを考えて、ネット回線が個別に引けるところを探して、いろいろ考えてましたね。結局一軒家を建てるしかなかったんですけど、東京へ越してきてまた集合住宅だから「大丈夫かな?」とと思ったけど、今は何も問題ないですね。

【こく兄】「光回線が通っている」という集合住宅に住んだんですけど、そこから部屋までは分配するからなのかすごく弱い回線になって、格闘ゲームの対戦は難しいので引っ越しを余儀なくされたりだとか。後はルーターが原因で調子が悪い時とかもあってルーターを買い替えてみたりだとか、悩んだ時は結構ありました。NUROさんはルーターごと提供してもらっているので、そこを悩まなくていいというのはよかったです。

――配信活動をされているお二人から、ゲームや配信における回線の重要性への考えをお聞かせください。

【こく兄】配信って絶対に途切れちゃいけないんですね。熱を帯びてガーっと配信して視聴者さんを惹きつけているなかで、途切れた瞬間にすべてが台無しになるというか。だから途切れないことが僕は重要だと思っています。(対戦でも)十先みたいに長期戦を戦っている中で回線が途切れて強制的に退室しちゃうときはやっぱり冷めちゃうし、生配信でやっている以上、継続的でありたいなと思います。

【ハイタニ】配信に関しては、今こく兄が言ってくれたことですね。対戦に関しては、まずは回線が悪いと対戦をしてもらえないです。相手もラグっぽくなっちゃうので「(回線の悪い相手とは)対戦したくない」という風になってしまうのと、大会でも途中で途切れちゃったりすると負けになってしまう。運営にも迷惑をかけるし、だから大会に出るならその(途切れるリスクがある)時点で、その回線は絶対に使えない。

僕自身は直接当事者になった記憶はあまりないんですけど、毎回そういう人がいるんですよ。どうしても限られた環境でしかできない人が多いから、家の回線があんまりよくなくてもそれで出るしかない。それで夜の混み合う時間になったら回線が切れちゃって1試合負けになっちゃったり。大会以外でも、いい対戦ができなくなって活動に支障をきたしてしまう。これ、結構あるあるなんですよ。そういうことが絶対に起きないようにしたいという意味では、やっぱり安定感というか途切れないことはすごく大事です。

■積み重ねてきた「遊び方」を新しい人にも伝えたい

――今回の消毒杯をはじめ、お二人はイベントや配信で格ゲーシーンを盛り上げ続けていると思います。今、スト6の盛り上がりについての感想を教えてください。

【こく兄】何回もお話ししていることですが、こんなに盛り上がるとは思わなかったですし、いい時代になったなって。発売前は「本当にいいゲームだから」「今回面白いから」って勧めようとは思っていたんですが、ここまでの反響があるのかと。

【ハイタニ】自分は、これからもっと盛り上がりそうだなって感覚ですね。1年目、2年目はスト6が発売前から準備してきた人たちが盛り上げていて。今はZETA( DIVISION)がスト6部門を作ると宣言したり、配信者で言えばヒカキンさんがはじめたり、どんどん新しい人が増えるような動きが出ているので、これからさらに盛り上がりそうだなという楽しみがあります。

――盛り上がりの要因はどの辺りにあると思いますか?

【こく兄】いいゲームを作ってくれたことと、ストリーマーがスト6をやってくれたこと。それと手前味噌じゃないですけど、これまで格ゲーマーが積み上げたものを消さなかったんですよね。(古株ゲーマーが)変なこともしなかったですし、新しくやってくれる層に対して手ほどきじゃないですけど、すごく暖かく見守り続けて。

やっぱり格ゲーってコマンドを入れたり、覚えるまでにちょっと時間がかかっちゃうんですよね。スト6はモダン操作もあって(初心者も)すぐできるようにはなったんですけど、その辺りをストリーマーに聞くとやっぱり「プロの手厚い指導がめちゃくちゃありがたかった。あれがあったから続けられた」って結構言っているんで、そういう部分もあったんじゃないかなと思います。

【ハイタニ】こく兄が言ってくれた要因は絶対あると思うんですけど、僕はモダンモードが一番大きかったのかなと思ってますね。モダンと、既存ユーザーも楽しめるクラシックを用意して、“初心者も経験者も楽しめる”をちゃんとやったすごいゲームがスト6だと思っています。それはとても難しいことだと思っていて、両立ができたからこそ爆発的に流行ったのかなと。
「REJECT HUB Presented by Sony」壁面には格ゲーマー・ストリーマーをはじめ、オーイシマサヨシなど同施設を訪れた人のサインがズラリ
「REJECT HUB Presented by Sony」壁面には格ゲーマー・ストリーマーをはじめ、オーイシマサヨシなど同施設を訪れた人のサインがズラリ


――そうした環境がある中で、お二人がある種裏方的に格ゲーシーンを盛り上げる思いを教えてください。

【こく兄】格闘ゲームって、対戦相手がすごく少ない時代があったんですね。僕の地域だと3人しかいなかったんですよ。対戦したくても3人しかいなくて、なおかつその人たちも仕事や学校があったから週末を待たないといけない。だから、対戦相手を減らしたくないし、増やしたいというミッションが僕の中で根本にあるのかなと。

【ハイタニ】格ゲーにはいろんな遊び方があって、この消毒杯もゲームセンターでやっていた遊びの延長じゃないですか。もともとゲームセンターで遊んでいて、いろんな遊び方を自分たちで見つけていくというのをずっとやってきて。チーム戦もそうですし、大会に出ると楽しかっただとか、「10先」の文化も「格付けする」って遊びが面白いだとか。そういう(積み重ね)が僕らの中にいっぱいあって、「こんな遊び方もあるよ」をいろんな人に知ってもらいたいというのが一番大きいですかね。

そしてやっぱり、若いプレイヤーもどんどんやってほしい。自分も子どもの時から大人に混じって(格ゲー)やっていてそれがすごく面白かったし、子どもって凄い力があると自分は思っているので、そういう意味でも若い子がもっとやってくれたらいいな、って感じで動いてますね。

――最後に、今回のイベントを皮切りに、これからのお二人の歩み方を教えてください。

【こく兄】えっと、REJECTの格闘ゲーム部門プロデューサーとして、名に恥じぬよう精進してまいります……ということぐらいしか言えないですね(笑)。「(消毒杯を)令和の時代にやろう」って言ってくれたNUROさんに感謝です。いろんなことに火を付けて、去年以上のことをやっていきたいなと思います。

【ハイタニ】こく兄は、泥臭いって言ったらなんですけど、ゲームセンターの昔の文化そのままのイベントをやってくれて、それを求めている人もいっぱいいます。自分はどちらかと言えばクリーンな感じでやっているので、住み分けじゃないですけど、REJECT内でいろんな企画ができるのはすごくいいことだと思いますし、一緒に頑張っていきたいなと思っています。

■「消毒杯 Powered by NURO 光」最終結果
優勝:おぼ(Mエドモンド本田)

2位:Zerost(Cケン)

3位タイ:しんじさん(Mザンギエフ)
3位タイ:ドンピシャ(Cガイル)

5位タイ:ありけん(Cダルシム)
5位タイ:こく兄(Cケン)
5位タイ:石井プロ(Cマノン)
5位タイ:布団ちゃん(Cジュリ)

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