有名な童話「金の斧」。作業中に斧を泉に落とした木こり。そこに女神が現われ、落としたのは金の斧や銀の斧ではないかと見せるが、木こりは「普通の斧だ」と正直に言い、金の斧も銀の斧もらうことができた話。今回紹介する、こうが(Kouga_ss)さんの「木こりが泉に」は、斧ではなく人が落ちてきたパターンを描く。落としたのは、彼氏の家のカギ。正直に答えればカギは返してもらえるはずだけど?
■落としたのは「彼の家のカギ」正直に言っても幸せになれないことはわかっている彼女の選択は?
本作は「ドラえもんに登場するひみつ道具『きこりの泉』から着想を得ました」という、こうがさん。「オノではなく人の方が落ちてきたらどうなるのかな…?と考えたときに冒頭のシーンが浮かび、本作を作るきっかけとなりました」と、当時を振り返る。
とくにこだわったところを聞くと「冒頭の数ページはこだわりました。このお話を作るにあたって、最初に思い浮かんだことや、大事なつかみの部分なので」と、話す。多くの人が知っている題材だからこそ、童話とは違う始まり方やインパクトに注目してほしい。
また、本作は「泉」ではなく「琵琶湖」という実在する場所に女神がいる展開もおもしろく、「ちょっと琵琶湖いってくる」などのコメントも散見。これについては、「本作は小学館の漫画賞に応募した作品で、当初は海外の湖が舞台でしたが担当編集さんから『別に海外でなくてもよいのでは?』とアドバイスされ、『考えてみれば確かにそうかもしれないな、むしろ国内の方が描きやすいかも』と思い、国内最大の湖“琵琶湖”へと舞台を移す運びとなりました(こうがさん)」
湖に落ちた女性は、彼氏が別の女性を家に連れ込んでしまっているところを目撃。あまりのショックでひとり湖を見ていたところ、事故で落ちてしまった。「このカギは、あなたが落としたものですか?」女神が彼氏の家のカギを見せて問いかける…。返してほしければ正直に答えるべきだが、彼女は予想もしていなかった展開で「彼との今後」を突き付けられることになる。悩む彼女が出した結末に多くの反響が届く。
こうがさんは本作の他にも、小学館の拡散型漫画投稿サイト「#マンガイチ」で入賞した「余命10⁵年」などを描く。
取材協力:こうが(Kouga_ss)