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【漫画】助けた蜘蛛が予想外の姿で恩返し。「益虫の蜘蛛を助けたら超益虫になった話」の絆を深めたラストシーンに感動の声【作者に聞く】

  • 2024年6月24日
  • Walkerplus

漫画やイラストの仕事のほか、展示などでの絵の販売、時にはトークイベントや公演、講義も行うネルノダイスキ(@nerunodaisuki)さん。作品の多くは誰かの日常で起きているかもしれない、でも本当に起きていたらびっくりする出来事の数々。不思議で時折怖いけど、どこかキュートでワクワクが止まらない世界観にハマる読者が続出中だ。

なんとなく助けた蜘蛛が“超益虫”に進化する「益虫の蜘蛛を助けたら超益虫になった話」も、ネルノダイスキさんの奇妙な味わいが存分に感じられる作品だ。「涙がこみ上げてくる」といった反響を呼んだ同作の制作秘話を、作者に聞いた。


■日常をオーバーにしたらどうなるのかという妄想が発想の原点
「益虫の蜘蛛を助けたら超益虫になった話」は日常のパラレルワールドのような世界で、このアイデアが生み出されたきっかけを聞くと、「なんとなく日常で思いついたことを少しオーバーにしてみたらどうなるのか?ということとかをよく考えるのですが、今回の漫画も『益虫がすごくなって超益虫になった場合、どんなことになるのか?』と思い付いて描き始めてみました」とネルノダイスキさん。

虫という存在に対して人にとって「益」があるから益虫と呼ばれていることに、普段からなんとなく違和感を抱いていたそうで、その引っ掛かりが今回の発想に至ったと言う。

日常で起こりそうで起こらない、ネルノダイスキさんにしか描けない世界観が真骨頂。その発想の源泉はどこにあるのか。「あまり生み出す方法論のようなものはありませんが、散歩とかして風景をぼんやり見ながら『アレをこうしたらどうかな』『あそこにアレがあったらどうなんだろう』『なんでアレはこうなんだろう』とか考えて、ちょっと引っかかったりしたものがあったらメモをします。それをたまに見返してその中からおもしろそう、描いてみたいなと思うものを描くことは多いように思います。あとは先述したような『日常で思いついたことを少しオーバーにしてみたらどうなるのか?』ということもよく考えますね。要は“妄想が多い”ということです(笑)」

■ポップだけど生々しさもある絶妙なキャラクターデザイン
“蜘蛛”という少しグロテスクさもある生き物をモチーフにしているが、読んでいても怖さはなく、なぜかかわいく見えてくる。「蜘蛛に関して誰でも知っている最低限の要素『足が8本ある』という条件だけはまず満たそうと思いました。あとはあまり眼とかはリアルにせず、記号的なポップな感じにしようと決めました。気持ち悪くならず、でも少し生々しさがある。さらにキャラっぽくなりすぎない、というバランスでデザインしました」とキャラクターデザインへのこだわりを聞かせてくれた。

作中では、最初に普通の形態の小さな蜘蛛が出てくるので、その延長線上に「出てくるかもしれない」というくらいの感覚で考えたとも。「あまりキャラっぽくしたりポップにしすぎると、そこが感覚的に繋がりを感じられなくなるような気がしたので」

ネルノダイスキさんは、人間以外の生き物を作品に登場させることが多い。そんな生き物たちにも独自の考えを持っている。「人は言語やそのほかにも、その人の発する空気とか動作、視線、などの情報を絡めてコミュニケーションを取っていますが、人間以外の動物はもしかしたら目に見えない人には感知できない信号のようなものを使った高度なコミュニケーションを取っていて、密かに人のことを見下しているんじゃないかな、とよく考えます。『ヒトってまだ言葉とか使ってるらしいんだよ』『マジ!?超遅れてるね。めんどくさくないのかな?』 など、海の中のイカがテレパシーのようなものだけで会話しているんじゃないかなと想像すると、おもしろいですよね」

■最終インプレッション数はなんと1300万超え!
「益虫の蜘蛛を助けたら超益虫になった話」の投稿には、多くの“いいね”やコメントが寄せられていて、その反響をどのように受け止めているかを聞くと、「この日は町田での個展の在廊日だったので、お客さん対応のためなかなかタイムラインを追えていなかったのですが、その合間を縫って確認したときに“1万いいね”を超えているのを見て驚いたのを覚えています」と、本人にも予想していなかった事態に。

最終的にはインプレッション数は1300万を超え、「海外の方も見ているのでこのたとえはちょっと違うのですが、日本人の10人に1人は見ている計算になることがわかって驚愕しました。アップしてからとりあえず反響の波が収まるまでの数日間で、フォロワーが4500人ほど増えたのを覚えています」

人間が主人公でもない唐突で変な世界観の漫画に多くの人が反応してくれたことは本当に驚きで、そのことになんだかすごく励まされた気もしたというネルノダイスキさん。最後に”実際に巨大な蜘蛛のお手伝いさんがやってきたらどうしますか“と聞いてみた。

「『寝床をどこにしてあげようか』ということを、まず最初に考えますね」

写実的なタッチとシンプルなキャラクターのタッチを織り交ぜ描かれるネルノダイスキさんの作品。独特なパラレルワールドに、読んでいるとどんどん引き込まれていく不思議な魅力がある。奇妙な味わいの世界観をぜひ体験してほしい。

取材・文=日高ケータ

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