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目指すのは、リユースを楽しむ世界。スターバックスが考えるサステナビリティ

  • 2024年6月6日
  • Walkerplus

リソースポジティブカンパニーを目指し、「2030年までにCO2排出量、水使用量、廃棄物量の50パーセント削減(2019年比)」という目標を掲げるスターバックス。その実現のため、環境配慮型店舗「グリーナーストア」の出店加速、マイタンブラー利用者同士が部活のように楽しむ「タンブラー部」、店内リユースカップの推進などさまざまな取り組みを行う。

こうしたサステナビリティアクションを推進するため、目的に対する「3つの共感」を大切にしているという。どのような取り組みなのか、スターバックス コーヒー ジャパンのサプライチェーン本部 サステナビリティ&資材購買部の古川大輔さんに話を伺った。

■お客が楽しむからこそ、大きなアクションになる
3つの共感のうちのひとつは、「お客との共感」だ。
カップやグラスのリユースは、環境目標達成のための主要な戦略のひとつだ。2023年3月より全国1800店舗で店内アイスドリンク用の樹脂製グラスの導入を進めてきた。導入当初は1年で約100トンの廃棄物削減を見込んでいたが、それを大きく上回る482トン(使い捨てカップや蓋など)もの成果が出たという。その理由を古川さんは、「お客様に樹脂製グラスを楽しんでいただけたから」だと語る。

「カップやグラスは、お客様との大切な接点です。グラスの方がおいしく見える、きれいな写真が撮影できると、お客様が喜んでくださったのは大きな気づきでした。樹脂製グラスはお客様にとってFun(楽しい)な要素となりました。お客様が楽しんでくださることが、パートナー(従業員)にとっての喜びにつながり、パートナーはより自分ごととしてリユースを推進します」
こうしたお客との共感により、樹脂製カップやマグカップをおすすめする、使う、広がるという好循環が生まれたのだ。

■パートナーの共感が最大の推進力になる
2つめは、「パートナーとの共感」だ。
スターバックスは、企業として、「OUR PROMISES」の中であらゆるステークホルダーへの約束を掲げ、環境ヘは「自然のめぐみをポジティブな循環へ」という約束をしている。それを推進する最も大きな力が、パートナーだ。
「お客様と接するパートナーが取り組みに共感することで、行動につながり、最も持続性があり、影響力があります。ですから、アクションの意義をしっかり伝えるようにしています」

そのための新しい取り組みもスタートしている。2023年12月から行っている「店長留学」だ。グリーナーストア国内1号店の「スターバックス コーヒー 皇居外苑 和田倉噴水公園店」は、マグカップやグラスの店内リユース率が約8割。この店舗に、近隣のストアマネージャー(店長)が働きながら、お客のニーズやリユースの提案方法を学ぶというもの。留学したパートナーはその知見を、自店舗でほかのパートナーと共有する。

「目的への理解が深まると、しなければいけないことではなく“したいこと”になりパートナー自らが行動するようになるのが、このブランドの本質です。ハードルがあっても乗り越えるための方法を、約6万人いるパートナー一人ひとりが自分で考えられることが、強みだと考えます」

パートナーのサステナビリティに対する関心も、年々高まっているという。
「感度が高い若者ほどサステナブルな考え方を受け入れる方向に世の中が変化してきていると感じます。パートナーの多くが学生アルバイトですが、在籍中に充実した体験をしてもらい、その先でも世の中に対して影響を与えてくれたらいいなと思って取り組みをしています」

■他企業の共感を得て社会の仕組みに変化を起こす
3つめは、「他企業との共感」だ。
サステナビリティアクションは、他企業などの共感が得られると可能性が広がると、古川さんは語る。
「サステナビリティは企業にとって“競争”領域ではなく、“共創”領域です。スターバックスだけで出来ることはどうしても限りがあります。地域、企業、団体と協業することで、共感の輪がより広がり、が社会に対する影響力は大きくなります。例えば一部店舗で実施している『借りるカップ』の場合、スターバックスは全国で約1900店舗を展開していますが、生活のインフラとなっているコンビニエンスストアや鉄道、サービスエリアなどと協業することで、社会により良い変化を起こすこともできるのではないかと思っています」

「借りるカップ」は、容器のリユースサービス「Re&Go(リーアンドゴー)」を活用し、2021年より行っている実証実験だ。スターバックスで繰り返し利用できるタンブラーを借りてドリンクを注文し、テイクアウトしても対象店舗で返却できるというシステム。現在は東京都内や愛知県内の約40店舗で実施している。

そこから見えてきたのは、ビジネス街は利用率が高いということ。オフィス、駅、いつも利用する店という行動パターンのなかで返却することができるからだ。オフィス街以外でも利用率を高めるためには、消費者の生活の動線に回収拠点を増やし利便性を高めることが重要だ。
「そのためには仲間を増やす必要があります。多くの企業の共感を得られれば可能性が広がり、リユースする文化が定着する未来が訪れると信じています」

■ShouldからMustへ、そしてWantへ。楽しんでできる取り組みを
「2030年までにCO2排出量、水使用量、廃棄物量の50%削減(2019年比)」という環境目標は、スターバックスのグローバル共通の目標だ。昨年11月には、世界各国のスターバックスからサステナビリティのリーダーなど約100人が集まる「サステナビリティ サミット」が開かれた。古川さんも参加し、各国の活動事例、課題や課題解決のためのアイデアの共有がなされ、学びや気づきが多くあったという。

「例えば、環境先進国のヨーロッパのサステナビリティ担当とは、環境負荷の少ない素材の情報共有ができました。また、他国でも実施している『借りるカップ』は、国によって方法が異なります。その違いから課題やアイデアを共有できたことも大きな価値です」というのは、グローバル企業ならではの強みだ。

また、サミットの中では「サステナブルな活動はShould(しなければいけない)からMust(すべき)に」という意見が活発に交わされたという。古川さんは帰国後、日本のサステナビリティのチームと話し合い、それをさらに発展させ、「樹脂製グラスのように、Want(したい)のアジェンダにしたい」と考えているという。なぜなら、やらなければいけないより、“やりたいからやる”がいちばんの推進力になるから。
「自発的に店舗パートナーが行動できるのが、スターバックスの強みです」

こうしたさまざまな活動の先に目指すのは、「リユースが当たり前の未来を作ること」だと言う。
「1996年に銀座に日本1号店を出店して以来、カップを片手に、コーヒーやフラペチーノを楽しむスタイルを提案してきました。これから先、次の30年はサステナビリティの領域をリードする存在を目指して、マグやグラス、タンブラーでリユースを楽しみながら、より良いスターバックス体験を届けていきたいです」

全国のスターバックスに1週間で訪れるお客は約660万人だという。「ひとりの100歩より、100人の1歩」という言葉のように、スターバックスで飲む一杯のコーヒーが、大きなサステナビリティアクションにつながる。


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