
「黄昏ヘンテコ奇譚」「妖の運び屋」などの作品で知られる漫画家・兎屋まめ(@usayamame)さんのホラーシリーズ『黒い部屋で踊る夜は』が話題だ。今回はその中から、黒魔術サイトで購入した“覗き見シール”で好きな人の部屋を覗いてみた青年の恐怖を描いた作品「覗き見シール」を紹介する。併せて、作者の兎屋まめさんにもインタビューを敢行。制作の裏側について聞いてみた。
■優等生にも誰も知り得ない闇がある
まず、本作を描いたきっかけを聞くと、自分を売り込むために商業とは別でX用の漫画を作ってポストしていたのだそう。その際、好きなブラックな世界観の内容にしようと思ったのだという。
「元々、黒魔術サイトにまつわる連作にする予定で、『何でも紙幣』と『後押しチョーカー』の3作があります」
シールを媒介にして、覗き見してしまうというスタイルに反響があったが、描くうえでこだわった点を聞くと、「怖いどんでん返し」を意識していると強調した。また、最後のシーンで見せる宮下さんの表情にこだわったとも。
「いろいろ描いてみましたが、最終的に普通に描いたものをデジタル漫画ソフトのクリップスタジオのゆがみツールを使って、不規則な感じに変形させて不安定感を出しました」
最後に、本作における裏話を聞くと、「優等生な女の子にも“誰も知り得ない闇がある”というコンセプトで作りました」と告白。続けて、「宮下さんは回を重ねるごとに闇が深くなっていく予定でした。2作目の『何でも紙幣』にその後の宮下さんが出てきます」とのことなので、ぜひそちらの作品もチェックしてみてほしい。
取材協力:兎屋まめ(@usayamame)