
「お前がやったことは全て分かってる」。高層ビル群のネオンを見下ろす屋上で、ひとりの警部補が殺人犯の正体を暴き、銃を突きつけていた。この連続殺人鬼の名前は「アンブラ(影の男)」。警部補はアンブラをずっと追いかけ続けていた。
警部補の名前は、ブラッド・エイルズ。殺人鬼・アンブラいわく「警察の中でも特に厄介で、執念深い」人物だという。いわば警部補はアンブラにとって「因縁の相手」だった。その2人の追走劇がついに終焉を迎えようとしていた。しかし追いつめられた殺人鬼・アンブラはこの期に及んで言うのだった、「詰めが甘い」と…!!その意味とは一体…?
「詰めが甘い」とは一体どういうことなのだろうか?果たして、追いつめられているのはどっちなのか…?この話を描いたのは、2017年に読切漫画「ハッピー・モーニング」が「月刊コミックゼノン」(コアミックス)に掲載され、商業デビューを果たした漫画家・三堂マツリ(@mido_mads)さん。「ブラック・テラー」や「ブラッディ・シュガーは夜わらう」(全3巻)も単行本として刊行されている、今注目の作家だ。三堂マツリさんに、今回の作品「追いつめられた殺人犯」について話を聞いてみた。
――連続殺人鬼を追い続けた警部補が、ついに殺人鬼を追いつめたラストシーンから物語はスタートします。この設定を思いついたきっかけ・構想を練った際にポイントとした部分について教えてください。
短いページ数でサスペンス性のある物語を描きたいと思い、倒叙形式の始め方にしました。設定としては王道ですが、警部補と殺人鬼の倫理観の違いを会話と表情から受け取っていただければと思います。
――最終ページのラストのコマで、暗闇に響いた銃声は2発…最後のコマで結末を暗闇(夜空)にした理由は?
余韻と心情です。あのシーンでは街の明かりも息を潜めてしまっています。物語の先が明るいものではないという意味を含め、暗闇にしました。
――今後の新作のご予定などありましたら教えてください。
短編読切を中心に今後も不定期でSNSにアップしていく予定ですので、気長にお待ちいただけましたら幸いです。
少し陰気で、日常から一歩ズレた奇妙な世界観を描くことを得意としている三堂マツリさん。著書「ブラック・テラー」や「ブラッディ・シュガーは夜わらう」には、読み手を惑わすその世界観が見事に反映されている。これまで三堂マツリさんの作品を読んだことがない人は、本作「追いつめられた殺人犯」で三堂マツリさんの世界観をぜひお楽しみあれ!
取材協力:三堂マツリ(@mido_mads)