家族の介護という問題に、いつか向き合わなければならない人も多いはず。もしもそれが、予期せぬタイミングでやってきたら…?実際に母親の死や家族の介護に向き合った生活を描いたコミックエッセイ『令和介護録』を描いたのは、SNSで漫画作品を発表しているクロミツさん(@kuromitsu1510)。
「発達障害グレーゾーン」と「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」を合わせ持ちながら、同じ悩みを抱えている人たちにメッセージを送り続け、2023年12月20日、自身の赤裸々な体験をまとめたコミックエッセイ『灰低カタルシス グレーゾーンダイアリー』を発売したばかりの注目の漫画家だ。
今回紹介する『令和介護録』では、老人ホームで倒れた父親が救急搬送される。機器に繋がれて集中治療室にいる父親の病状について医師は、脳腫瘍で脳が圧迫されててんかん発作を引き起こす「症候性てんかん」ではないかと伝える。それを聞いたクロミツさんは嫌な予感を感じていた…。こうしたリアルな漫画を描いた理由について、クロミツさんに漫画執筆の背景を聞いた。
■自分の介護体験を描くことで、読者に共感してもらえるようになった
――介護に焦点を当てた作品を描こうと思った理由は?
【クロミツ】最初から介護をテーマに描こうと思ったわけではなく、病で倒れた父を世話出来る人間が自分しかいなかった事がキッカケです。介護生活の初期は心身ともに壮絶でしたが、気持ちが落ち着いた時に介護のマンガを描き始めました。
――介護に関わる人々や家族の絆を描く上で、どのようなメッセージやテーマを伝えたいと考えていますか?
【クロミツ】家族とのすれ違いや介護の大変さで悩んでいる人は多いと思います。自分がまさにそうでした。自分が体験したツラさを吐き出して悩みや苦しみを共有するだけでも、同じ境遇の人たちの心を多少なりとも“軽く”するんじゃないかなと思っています。
――ソーシャルメディアを通じて作品を発表する経験はどのようなものでしたか?
【クロミツ】これまで描いた漫画は「いいね」が1つもつかない状況だったのですが、実体験の漫画を描き始めたことで読者に共感してもらえるようになりました。それまで“共感を意識”して描いたことがなかったので新鮮な体験でした。
画像提供:クロミツ(@kuromitsu1510)