お笑いコンビ・バッドボーイズのボケ担当でおなじみの清人さん。地元・福岡の海沿いの町で過ごした幼少期の日常と家族のことをテーマにした漫画「おばあちゃんこ」を描き始めた。かなり特殊な家庭環境にあって、さらに身体に障碍を抱えながら、幼い清人さんを育てる哲子ばあちゃんがこの物語の主人公。
連載第13回の今回は、「食」の話。一口に「貧しい」といっても、それなりなときも非常事態もあるわけで、ヤバいときは小学生でも食うために海に山に出張らなければならなくなる。そんなわけで家計が苦しい日の食糧確保の様子を作者のおおみぞきよとさんに語ってもらいました。
■食糧が確保できなくて本当にヤバいときは、豆
――けっこうな頻度で食糧獲得の必要があったんですか?
家計の調子がいいときは一カ月くらい狩猟採集に出なくてもいいときもありましたし、一カ月ずっと調子が悪くてひたすら出るときもありましたし。
――狩猟採集!たくましいですね!
目の前が海ですから、魚釣りとか結構行っていました。小さなカニがいっぱいいたんでそれを捕まえて味噌汁にしたり。
――名人だったんですね。
全然。いかんせん子どもだから戦力にあまりなってませんでしたね。魚釣りも下手で、釣れても小さいのが3尾とか。だから近所の人から釣った魚のおすそ分けをもらうのがほとんどでした。あと、近所のおばちゃんがばあちゃんを連れてよく貝掘りに行っていたので、それが食卓に並んでましたね。
――他にはどんなものを採ってたんですか?
つくしとか、名前の分からないような野草を、近所の詳しいおばちゃんと採りに行ったり……タケノコも掘りに行きましたね。
――でも、うまくいかないときも出てきますよね。なんせ自然が相手ですし……。
食糧が確保できなくて本当にヤバいときは、豆になるんです。僕の記憶だとばあちゃんが小豆を甘く炊いた煮豆が常に保管されてたんですよね。でも僕は豆の煮汁がご飯に付くのが本当に嫌いで……。贅沢は言えないんですけど。
――子どもとしては、豆じゃなくて肉が食べたいですよね。
2、3年に一回、ばあちゃんの次男のかーぼが、僕とばあちゃんを連れて焼肉を食べにちょっとした繁華街に連れて行ってくれたんですよ。
――それはいい思い出ですね。
もう、ばあちゃんと僕は楽しみ過ぎて前日から緊張して。で、店ではちょこっとずつ食べるんですよ。あまりにおいしくてがつがつ食べることなんてできない(笑)。帰り道、かーぼにお会計を尋ねたら「6000円」って返ってきて、「うわっ、高い!」ってびっくりしちゃって。僕とばあちゃんは恐縮しちゃって、その後なかなか「またあそこ連れてって」なんて言い出すことはできなかったんです。でも……。
――あれっ?
今考えると、3人で焼肉6000円ってまったく高くないじゃないですか。むしろ安い。「だまされてたー」って思いましたね。
幼い頃の食にまつわる思い出は、どこか切ないものですね……。次回はさらに切ないばあちゃんとの外食の思い出を語ってもらいます。お楽しみに!
■おおみぞきよと
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