日本テレビとHuluによる共同制作ドラマとして2021年1月よりSeason1の放送を開始し、HuluではSeason4まで配信されるなど人気を博した「君と世界が終わる日に」の劇場版が1月26日より公開された。竹内涼真が主演を務める本作で、新キャラクターとして登場する役を演じた堀田真由に、撮影秘話やゾンビサバイバルを描いた作品に出演して感じたこと、さらに今後挑戦してみたい作品などを語ってもらった。
■大きな壁にぶち当たっても決してあきらめない葵を「どこか自分と似ているなと思いながら演じていました」
――2021年の放送開始からドラマシリーズとして人気を博し、待望の劇場版となる本作への出演が決まったときの心境からお聞かせいただけますか。
【堀田真由】劇場版が製作されると知ったときは、まさか自分が新キャラクターとして出演するとは思っていなかったので、オファーをいただいてすごく驚きました。それと同時に、私が演じる葵はこれまでのシリーズには登場していない新キャラなので、「きみセカ」ファンのみなさんに新鮮さを感じていただけたらいいなと思いました。
――本作は、竹内涼真さん演じる主人公の響がワクチンの研究材料として連れ去られた娘ミライを救い出すために奮闘するストーリーになっています。堀田さんが演じた葵は、ユートピアと呼ばれる場所の研究タワーでワクチン開発をしていると噂される謎多き女性ですが、どんな人物だと捉えて演じられたのでしょうか?
【堀田真由】葵は大きな壁にぶち当たっても決してあきらめない強い女性で、私自身も目標に向かって真っ直ぐ突き進むタイプなので、どこか似ているなと思いながら演じていました。菅原伸太郎監督からも「台本を読んで、堀田さんが感じたままに演じてください」と言われていたので、素直に演じることを大事にしていました。
――研究タワーのシーンでは、ゴーレムと呼ばれるゾンビや敵から逃げるなどハードな撮影が続いたかと思いますが、現場で印象に残ったエピソードを教えていただけますか。
【堀田真由】まず驚いたのが、セットのスケールの大きさでした。研究タワーのシーンが撮影初日だったんですけど、スタジオの扉を開けた瞬間に想像以上につくり込まれていたので圧倒されたのを覚えています。別の作品でも何度か撮影したことがあるスタジオなのに、初めて訪れたのではないかと錯覚するぐらい新鮮で、しっかりと「きみセカ」の世界観が広がっていたので、それが一番印象に残っています。
撮影に関しては、ミライ役の女の子を抱っこしながら階段を駆け降りるシーンのお芝居がすごく大変だったのですが、リアルな緊張感を持って演じることができたのでよかったです。
――映画の撮影所の周りは割とのどかだったりするので、別の作品の撮影を見学した際にセットとのギャップに驚いたことがあります。
【堀田真由】そうなんですよね。外は静かで穏やかな風景が広がっているのに、スタジオに入った瞬間に近未来のセットがあったりして、“一体ここはどこなの?”と不思議な感覚になることがあります(笑)。スタジオでの撮影も楽しかったのですが、今回はロケで福島や浜松にも行かせていただいたので、そこもぜひチェックしていただけたらうれしいです。
■実はゾンビが苦手!?「ユニバのホラーナイトもゾンビが怖くて行けないんです…」
――主演の竹内涼真さん、葵の幼なじみの大和を演じた高橋文哉さんとの撮影で印象に残ったことをお聞かせいただけますか。
【堀田真由】お二人とも“漢の中の漢”って感じでした。ちなみに“おとこ”の字は“漢”の方です(笑)。竹内さんは言葉で何かアドバイスをするというよりは背中で語る方だったので、カメラが回っていないときの竹内さんの言動、それからテストや本番のお芝居を見て刺激をもらっていました。ストイックに役に集中されていたので、私も同じくらい気持ちを作って演じなければと気合いが入りましたね。
文哉くんは私より年が下なんですけど、引っ張っていってくれる頼もしさもあれば、現場で立ったまま待機していた私の前にサッと椅子を持ってきてくれるような優しさもあって。大和役が文哉くんでよかったなと思いました。
――ちなみに、本シリーズ以外でゾンビサバイバルを描いた映画やドラマをご覧になったことはありますか?
【堀田真由】実はゾンビものは苦手でして…(苦笑)。ユニバ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)のホラーナイトもゾンビが怖くて行けないんです。でも、韓国映画の「新感染 ファイナル・エクスプレス」は観たことがあります!
――「新感染 ファイナル・エクスプレス」は日本でも大ヒットしましたし、すごくおもしろい作品ですよね。KTXという韓国の高速鉄道が舞台になっていますが、車内を走って追いかけてくる大量のゾンビは怖くなかったですか?
【堀田真由】確かに、感染が広がって凶暴なゾンビが増え始めたところでいったん“もう無理かもしれない…”と思いました。でも、頑張って観続けていたらだんだんおもしろくなってきて、なんとか最後まで観ることができました(笑)。
ゾンビの何が嫌って、予測不可能な動きをするところで。同じように予測不可能な動きをする鳩ですらも怖くて、近づいてきたら逃げます。そんな私でも「新感染 ファイナル・エクスプレス」は観ることができましたし、本作も心から楽しめたので、ゾンビが苦手な方にも一度チャレンジしてもらいたいです。
――現場でゴーレムのメイクをしたエキストラさんたちと遭遇したときはいかがでしたか?
【堀田真由】早朝ロケの日にコンタクトをつけずに現場に入ったことがあって、視界がぼやけていたのでメイク後のゴーレムさん(エキストラの方々)と遭遇しても「おはようございます」と普通に挨拶していたんです。それで、メイクをしてもらったあとにコンタクトをつけて、洗面所で歯磨きをし終わって出ようとしたら女性のゴーレムさんと鉢合わせたんです。その瞬間、怖すぎて「ギャーー!!!」って叫びました(笑)。
――ふとした瞬間にゴーレムのエキストラさんと遭遇したらびっくりしますよね(笑)。
【堀田真由】気を抜いていたので余計に怖かったです。でもその後、休憩場所でゴーレムさんたちが普通にご飯を食べていたので、「今朝は何時入りだったんですか?」とか「メイクはどのぐらい時間がかかるんですか?」とかいろいろと聞いてコミュニケーションを楽しんでいました。あのメイクのまま和やかにお話ししてくださるので、ちょっと不思議な感じでした(笑)。
■三姉妹の話を描いた「シスターズ」のような作品に挑戦したい
――普段は映画や韓国ドラマをよくご覧になるそうですが、某インタビューでは「ソファに座ってプロジェクターで映画を観たい」とおっしゃっていました。そのインタビュー当時はまだプロジェクターは購入されていなかったようですが、その後は…?
【堀田真由】まだ買っていなくて、プロジェクターを持っているお友達の家でいろいろと観させてもらっています。映画館で見逃してしまった作品を家にいながら大画面で観られるのって最高ですよね。最近はTikTokでプロジェクターを紹介している動画をチェックしているのですが、スピーカーぐらいの小型プロジェクターを見つけて、あのサイズなら移動先にも持っていけるので気になっています。
――プロジェクターを購入したら最初にどんな作品を観たいですか?
【堀田真由】Netflixで配信されている韓国ドラマの「スタートアップ: 夢の扉」が大好きなので、いつか大画面で一気見したいです。若き起業家たちの物語を描いたドラマで、何回観ても泣けるんです。おすすめなので、まだご覧になってない方はぜひ観てください。
――昨年はドラマ「大奥」「風間公親-教場0-」「CODE-願いの代償-」「たとえあなたを忘れても」、映画「バカ塗りの娘」「禁じられた遊び」「翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~」など幅広い作品に出演されていましたが、そういった経験を経て、“役との向き合い方が変わった”、“お芝居へのアプローチが変わった”など変化はありましたか?
【堀田真由】「たとえあなたを忘れても」で初めて連続ドラマの主演を務めたのですが、主人公を演じるというのはこんなにも現場にいる時間が長いのかと、わかってはいたけれど実感しました。あと、今までは作品に対して自分がどういう色を出せるだろうかと考えながら役作りをしていたのですが、このドラマでは“共演者の方々が輝くには自分がどういう動きをすればいいのか”ということに意識が向いて、俯瞰で全体を見ることが多かったように思います。
これまでのどの現場よりも共演者のみなさんやスタッフの方々とコミュニケーションを取っていたせいか、作品や役への没入感が増しましたし、私にとって大きな経験になりました。
――今後はどんな作品にチャレンジしたいですか?
【堀田真由】またまた韓ドラの話になってしまうのですが、三姉妹の話を描いた「シスターズ」がすごくおもしろかったので、いつかそういった作品に出てみたいです。というのも、私は兄妹が兄だけで姉や妹がいないので、姉妹という関係に憧れがあるんです。
長女でも次女でも三姉妹の真ん中でもどんなポジションでもいいので、家族で食卓を囲みながら話をするシーンだけで物語が展開していくような会話劇に挑戦してみたいです。
取材・文=奥村百恵
◆スタイリスト:辻村真理
◆ヘアメイク:小笹博美
(C) 2024「君と世界が終わる日に」製作委員会