お笑いコンビ・バッドボーイズのボケ担当でおなじみの清人さん。地元・福岡の海沿いの町で過ごした幼少期のこと、家族のことをテーマにした漫画「おばあちゃんこ」を描き始めた。かなり特殊な家庭環境にあって、さらに身体に障碍を抱えながら、幼い清人さんを育てる哲子ばあちゃんがこの物語の主人公。
連載第6回の今回はボロ家で感じる四季の移ろいのお話。「家というかほぼ外」というこの家ならではの思い出について作者のおおみぞきよとさんに聞いてみた。
■「蒸し風呂地獄や!」がばあちゃんの口癖
――家の中で四季の風情が楽しめるって素敵にも聞こえますが(笑)、当時のきよとさんはどの季節が好きだったんですか?
好きな季節はないです。全部きつかったです。
――じゃあ、嫌いな季節は?
冬も生命の危機を感じるくらい寒かったし……でも夏のほうが地獄だったかもしれないですね。かろうじて扇風機はあったんですが、出てくるのは温風なんです。「蒸し風呂地獄や!」がばあちゃんの口癖だったくらい暑くて。眠れないんですよ。虫もたくさん出るし。冬は毛布をまとっておいたらなんとかなったんで。うちは冬になると家族全員で毛布を体に巻いて暮らしていたんですよ。……でも冬もまあまあ地獄でしたね。
――種が部屋で根付いて、花が咲くというのもすごいですね。
めったには咲かないんですけどね。でも、家を出るまでの間に数回は咲いてましたね。
――ほかにもいろんなものが部屋に入って来たんですか?
もちろん。当時野犬も多かったんで、犬とか猫とかいろんな物騒なものが入ってきてましたね。キツネだかタヌキだかわからないものから、カエルとか……あとコウモリ。へばりついてました。
――それはかなりホラーですね。
全部嫌だったんですけど、なかでも僕はムカデが最悪でした。デカいんですよ、志賀島のムカデは。布団の中にも入ってくるし……本当に家を出たかったですね。ばあちゃんもムカデだけはビビってました、噛まれるから。目が見えないから基本は怖がらないんですけど、毒を持ってるものだけは怖かったんでしょうね。ムカデが出たら「熱湯かけろ!」って叫んでました。
いまでこそ笑って話せるけれど、動植物が乱入してくるくらい穴やすき間の空いた家で、エアコンなしで暮らすのは、かなりヘビーですよね。次回は、みんな大嫌いなあの昆虫との壮絶な戦いのお話。お楽しみに!
■おおみぞきよと
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