お笑いコンビ・バッドボーイズのボケ担当でおなじみの清人さん。地元・福岡の海沿いの町で過ごした幼少期のこと、家族のことをテーマにした漫画「おばあちゃんこ」を描き始めた。かなり特殊な家庭環境にあって、さらに身体に障碍を抱えながら、幼い清人さんを育てる哲子ばあちゃんがこの物語の主人公。
連載第5回の今回も「家」の話。「米兵が遊びで造ったような」この建物は、きよとさんいわく「ほぼ外」という絶望的なスペック……。この家に住むようになった経緯や生活を作者のおおみぞきよとさんに聞いてみた。
■実家を出てから、ボロい家に住むのがさらに嫌いになりました
――風が吹くだけで揺れるほどボロかったというご実家ですが、きよとさんが生まれたときにはもうそこだったんですか?
いや、小学校に入学して以降に引っ越しました。……それまではボロいにはボロかったんですが、ちゃんと2階建ての一軒家だったんです。
――とんだグレードダウンですね……。
家賃滞納とか、マサおっちゃん(おばあちゃんの長男)が暴れるとか、複合的な理由で追い出されたんじゃないかと思います。引っ越して家を見て、超がっかりしたのを覚えています。
――でも、お金が理由だと仮定したときに、マサおっちゃん、かーぼ、のり兄ちゃんと、働き手は3人いたわけですよね。
マサおっちゃんは港で、かーぼは木材店で、のり兄ちゃんは土木会社で働いてたはずなんですけどね。だから不思議なんですよ、未だに解明してない謎なんですけど。でもまあ、借金でしょうね。
――でも、愛着はあったんですよね、この家に。
いまとなってはですよ、当時はただただ嫌でした。早く家を出たかったです(笑)。
――風が吹いたら揺れて、雨が降れば雨漏りし。なかなかハードですよね。
ほぼ、外でしたよね。家というよりも。
――なかでも記憶に残ってるのは、ばあちゃんの足踏み運動だったと。
よくやってましたし、めちゃくちゃ揺れましたね。くしゃみとかでも振動するんですよ。なのに台風が来ても崩れなかったんです、不思議なことに。
――誇張じゃなくて、風が吹いたら崩壊しそうな家だったんですね。
地震とか台風が来るとばあちゃんが叫ぶくらい。「家が壊れる~~!」っていつも言ってました。ばあちゃん目が見えないから、本当に怖がってました。僕はいつもと違う非日常だからはしゃいでました。子供だからそこまで壊れるとは思ってなかったんですよね。
――でも、そんなすごい家に住んでたなら、この先もう何も怖くないですね。
よく言われるんですよ。そんなところで育ったんなら大丈夫だろ、って。でもこっちは克服してないんですよね……。実家を出てから、ボロい家に住むのがさらに嫌いになりました(笑)。
海から徒歩15歩、廊下もなくくしゃみで揺れるという、かなり個性的なきよとさんの家。このあと数話、家にまつわるエピソードが続きます。お楽しみに!
■おおみぞきよと
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