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初小説出版で話題沸騰!チャンネル登録者数75万人超のホラー系YouTuberやがみの実態に迫る

  • 2023年12月4日
  • Walkerplus

YouTubeチャンネル登録者数75万人を超える人気ホラークリエイターのやがみさんが、2023年11月7日に初めての小説「僕の殺人計画」を上梓した。覆面をかぶり、性別や年齢も非公開。高い人気とは裏腹に、実態は謎に包まれた存在だが、今回は書籍化を起点としてインタビューを行うことに成功。普段の活動や、動画へのこだわりなどから、やがみさんの実像へと迫っていく。

■僕は怖いものが苦手だから、苦手な人に伝える方法がわかるようになった

――初小説の出版、おめでとうございます。まずは、普段どのような活動をされているのかを教えてください。

ありがとうございます。2021年の6月に活動を始めたのですが、最初は2ch(現5ちゃんねる)などの掲示板で話題になっていた「怖い話」を自分流にアレンジして動画を投稿していました。最近では、自分でつくったオリジナルの怖い話を動画にしています。2chだと文字だけを読んで想像する部分がどうしても必要になるので、文章を読み慣れていない人にはちょっとだけわかりにくいんです。なので、挿絵的な写真などを入れ込んだり音声で補強したりして、想像しやすい形にしています。さらに、効果音などを入れることで、より臨場感のある物語になるのも、僕の動画の特徴です。

――2021年に活動を始めて小説家デビューというのは、展開としてかなり速いですね。

動画を上げはじめて1カ月で話題になったというのも大きかったと思います。最初は登録者数も公開していなくて、ひっそりと投稿していたはず……なんですけど、いつの間にかグングンとチャンネルが成長していきました。とはいえ週5ペースで投稿していたので、怖いものを探している層が飽きることなくついてきてくれたというのもありますね。

――怖い話を動画にしているということですが、もともとホラーやミステリーがお好きだったんですか?

それが……お化け屋敷とかホラー映画は、小学生のころから大の苦手(笑)。もう、絶対に嫌っていうレベルです。でも、人間の好奇心って恐ろしいもので「怖いけどちょっとだけ見てみたい」という気持ちはあるんですよね。怖いもの見たさ、というんですかね。だからこそ、ちょっとだけ見てみたいと思っている人たちが、どんなものだったら受け入れられるかというのもわかっているつもりです。ホラーによくあるシーンですが、振り向いたらいきなりアップの顔がバーンと出てくるのとか見ると心臓が痛くなる。やたらと大きな音で恐怖をあおるのも、物語よりも恐怖が勝ってしまう。そうなってくると、純粋に話を楽しむという感じではなくなってしまうのが、もったいないなと思っていました。

■動画も小説も、より広い層に届いてほしい

――動画化するときには自分のなかにある「怖いものが苦手」という感覚を大事にしているんですね。そういった動画をつくるときに、苦労した点などはありますか?

先ほども話に出ましたが、僕は視聴者数を増やすというのはあまり意識しなくても達成できていたんだと思います。だから、数字的に苦労したエピソードはないんですが、物語へと引き込むためにどうしたらいいのか、というのはけっこう悩んでいたと思います。正直な話をすると、掲示板で有名な話って毎回簡潔に話が進むわけでもないし、文章を読み慣れていない人にとっては、間延びした印象になってしまうこともあります。それでも、毎回それなりのクオリティーにして動画にするためには、ほどよく内容をカットしたり言葉を補足して伝えたり……などの工夫が必要になってきます。しかし、工夫しすぎてしまうと、元ネタを知っている人たちからは、歪曲した表現だと思われてしまうのでさじ加減が難しい。

――動画にしてわかりやすく伝えるということをしてきたやがみさんが、今回小説を書くことになったのは、なにか意図があるのでしょうか。

僕がYouTubeでしていることは、いわば補助のある小説です。だからこそ、逆に考えて動画に近いような小説が書けるのではないかとも思いました。僕の書いたオリジナルのホラー作品を動画で楽しんでくれた人がいるなら、本からのアプローチでも引き込めるんじゃないかと。先ほどの動画の話とも繫がりますが、僕の動画を知っている人も楽しめて、まだ僕を知らない人にも楽しんでもらえるというのが小説執筆で気をつけていた部分です。どこかにターゲットを絞って狙い撃ちするのもひとつのやり方だと思いますが、僕は広い層に楽しんでもらいたいなと思っています。

■キャッチコピーは、自分を追い込むために生まれた

――「バレずに人を殺められるのか?」というキャッチコピーが書籍の帯に書かれていますが、かなり興味の惹かれるワードですよね。

本の後ろ側の帯には「【閲覧注意】本書には完全犯罪の方法が書いてあります。」って不穏なことも書いてありますからね(笑)。このキャッチを付けることで、絶対におもしろいものを書いてやるんだと自分にプレッシャーをかけることになったのは間違いありません。これは、読者に手に取ってもらうという意味でもよかったですし、僕のモチベーション維持のためにも一役かってくれました。

――モチベーションというと、けっこう気分にムラがあるタイプなんでしょうか。

本当に最後、ここで書かなかったら間に合わないよというくらいまでなにもしないんですよ。これでよく動画を週に5本も上げていた時期があるなと不思議に思います。でも、自分の性格がわかっているからこそ、自分を追い込む方法もわかっています。「多少ハードルを上げても、そのハードルを越えようと未来の僕は頑張ってくれるはずだ」という根拠のない自信があるんですよね。そんなハードルを押し付けられた、その後の僕はたまったもんじゃないですけど。ただ、今回の小説がハードルを越えた結果として残り続けるのは素直にうれしいです。小説に慣れていない人も、グロい描写が苦手な人にも、ちゃんと届く作品が出来上がったと確信しています。


取材・文=山岸南美
写真=西木義和

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