ひとたび「宇宙」と聞くと、なぜこうもワクワクするのだろう。夜空には、無数の星がきらめく。星々のひとつである地球から見上げると、“あの星にはいったい、誰が住んでいるのだろう?”と、探究心が込み上げてくる。
※2023年10月29日掲載、ダ・ヴィンチWebの転載記事です
そんな疑問に応えてくれるのが「深すぎてヤバい 宇宙の図鑑 宇宙のふしぎ、おもしろすぎて眠れない!」(著・本間希樹、イラスト・ボビコ/講談社)だ。本書は「宇宙と生命」「太陽系」「星と銀河」「身近な宇宙」「科学技術と未来」の大枠に沿って、宇宙にまつわるさまざまな「ふしぎ」を解説する。
誌面を飾る「宇宙さん」や「ブラックホール」など、愛らしい「仲間たち」のイラストにも心温まる本書の一部を引用し、紹介していく。
■太陽にも寿命がある? 「50億年」後までに人類の移住は必須
晴れた日の青空を見上げると、当たり前に「太陽」がある。私たちが生まれてからずっと、太陽は地球を照らし続けている。しかし、太陽にも「寿命」があるとは驚く。
研究によると太陽の寿命は「100億年」で、すでに生まれてから「50億年」が経過しているという。現代から数えると途方もない年数だが、いずれ太陽が力つき、光が届かなくなれば地球にも私たちが住めなくなるため「それまでに人類は別の星に移住する必要がある」とする主張は納得だ。
もちろん、地球のような惑星、夜空に輝く恒星にも太陽と同じく、寿命がある。どの星も「永遠の存在ではなく、人間と同じように寿命がある」と本書にあるが、まさに儚く、この地球はもちろん、今見える空の星々もよりいっそう尊く思えてくる。
■未知なるブラックホールの怖さ。恐るべき「合体現象」も
ブラックホールは「重力が強すぎて光さえも抜け出せない天体」だ。本書いわく「現在の科学では何が起きているか予想できない場所」で、その表現だけでもどこか怖さをおぼえてしまう。
ただ、同時に宇宙へのロマンもひそむ。今なお科学者による熱心な研究が続いているが、何でも吸い込むイメージもあるブラックホールは、ほかのブラックホールも飲み込むという恐るべき研究結果がある。
この現象が初めて観測されたのは2015年で、最先端の「重力波望遠鏡」が強力な重力波を検知。たがいに「接する」ほど近づいたブラックホール同士が、より大きなブラックホールになる「合体現象」が検出されたという。
素人ながらには、この地球もいつか“大きなブラックホールに吸い込まれるのでは…”と不安もつきまとう。ただ、ネガティブな感情だけではない。銀河では「太陽の100万倍から100億倍の質量を持つ、『巨大ブラックホール』」も確認されているというが、怖さはありながら、ひと目見てみたいと不思議と好奇心も湧いてくる。
本書ではこれらのほか「太陽ってなんで熱いの?」「いちばん遠い銀河までどれくらい?」など、宇宙への素朴な疑問に応えている。いつか、まだ見ぬ宇宙人と出会える日が来るのか。未知なる世界への興味は尽きない。
文=カネコシュウヘイ