歴史と伝統、そして進取の気風を感じさせる京都のおやつや手みやげ。
電子書籍「京都Walker 外さないおやつ&褒められ手みやげ」では、そんな京都のおやつと手みやげをなんと182品も写真入りで掲載している。京都観光の合間の立ち寄りや親しい人へのプレゼント購入に、おすすめの逸品ぞろいだ。その中から注目の品をピックアップして紹介しよう。
■ケーキと名の付く名物の しっとり、さっくりクッキー
洋菓子の草分け的存在として名高い「京都 村上開新堂」。レトロモダンな空間が広がるこちらは、奈良時代から宮中に奉仕する村上家で生まれ育った村上清太郎氏が1907(明治40)年に創業した洋菓子店。東京にある「開新堂」の初代であった叔父に、西洋菓子の製造を一から教わり、故郷である京都でいち早く洋菓子の販売を始めたそう。当時から革新的な店として、東京大正博覧会で金杯を受賞したり、昭和の天皇即位の祭典で宮内省の御用を務めたりと、数々の輝かしい歴史を持つ。
そんな歴史ある名店で人気なのが、昭和初期に誕生してから今も変わらず看板商品となっている「ロシアケーキ」だ。名前のとおり、ロシア発祥の家庭菓子なのだが、実はケーキではなく、日本風にアレンジされたソフトクッキー。サクサクなのにしっとりとして食べやすく、口当たりはとても柔らか。「小麦のおいしさをしっかりと感じてもらえるように作るようにしています」と4代目の村上彰一さん。
最近は香辛料が効いた菓子が多いなか、ここでは余計な素材は使わずに、シンプルにフレッシュバターと小麦粉の旨味が堪能できるように仕上げられている。味わいはレーズン、ブドウジャム、アプリコット、ゆずジャム、チョコの5種があり、バターがふわりと香る生地と干しブドウやチョコクリームなど、昔から変わらぬ素材が相性ピッタリ。食べた時に懐かしさが感じられるように、当時と変わらぬレシピで作り続けることを大切にしている。
「流行り廃りに流されるんじゃなくて、『開新堂さんらしいね』と言ってもらえる、伝統の味わいをこれからも守っていきたいですね」と村上さん。洋風建築の店内には、京都で洋菓子を生み出してきた老舗だからこその、懐かしさあふれる変わらない味わいが待っている。