和歌山県・白浜。リゾート地としても人気の街に、開園から45年を迎えたテーマパーク「アドベンチャーワールド」がある。ここは“日本一のパンダファミリー・浜家”が暮らすテーマパークとしても知られ、園内には、これまで10頭のジャイアントパンダを出産した良浜(らうひん)という、メスのお母さんパンダがいる。
良浜(らうひん)が、10頭の母になるまでに、どのような物語があったのだろうか―。中国国外の飼育施設で世界一の繁殖実績をあげる「アドベンチャーワールド」。そこで暮らす良浜(らうひん)の命の物語を「パンダのミライー浜家・良浜 いのちの物語ー」と題し、取材をもとに遥那もより氏(@moyoribiyori)の漫画とともにお届けする。
今回は「どうしてアドベンチャーワールドにはパンダがいるの?」という素朴な疑問から、パンダの飼育背景をたどり、繁殖について考えてみたい。
■アドベンチャーワールドの「ブリーディングセンター」はパンダのミライを紡ぐ場所
そもそも、希少動物と言われていたジャイアントパンダを、なぜ各地で飼育しているのだろうか?その理由は主に三つ挙げられる。一つは繁殖研究を行い、頭数を増やすため。そして、二つ目は多くの人に動物について知ってもらう啓蒙活動だ。最後に、飼育場所を分散させることで伝染病等が起きても絶滅を防ぐことができるからとされている。
繁殖を目的とした動物の貸し借り制度(ブリーディングローン制度)がスタートし、「アドベンチャーワールド」は、よい気候や空気、水などがそろっている点や、ジャイアントパンダの主食である竹を確保しやすい環境、過去に希少動物の繁殖を成功させている実績から、ジャイアントパンダでは世界初のブリーディングローンが実現している。
その象徴として「アドベンチャーワールド」には「ブリーディングセンター」という施設があり、パンダを保護・繁殖し、未来につないでいる。
ジャイアントパンダは群れを作らずに単独で生活する動物のため、野生下でも1~2歳で母親のもとを離れる動物だ。そのため、母親は短い期間で多くの愛情を注ぎ、子育てをしている。今後も、そんな母・良浜(らうひん)の命の物語をつづっていく。