転校生の“メデューサ”、最初の友達は“二口女”…人外たちの穏やかな高校生活に「ずっと読みたくなる漫画」【作者に聞く】

  • 2023年5月30日
  • Walkerplus

日本の高校に転校してきた女の子、怪物“メデューサ”。彼女が視線を集めたのは怪物だからではなく、「海外生まれ」だったから。人外の存在が当たり前に混ざりあって暮らす世界で、メデューサに話しかけてきたのは、前の席に座る妖怪“二口女”の少女で――。
牧瀬初雲(まきせしょうん)(@makkyisu1)さんの創作漫画「転校生メデューサと二口女」は、pixivで7000ブックマーク以上を数える人気作品。読者からは「平和じゃない容姿たちの平和な日常」「新感覚な話」「ずっと読みたくなる漫画」と好評を集めている。ウォーカープラスでは作者の牧瀬さんに、同シリーズの舞台裏をインタビューした。

■人外なのは特別じゃない世界の、どこかほっとする青春模様
さまざまな妖怪や亜人種たちが、当たり前に暮らす世界の日本。その中でも、転校してきた“メデューサ”の少女「メディ・ゴルゴーン」はクラスで注目を集めていた。ギリシャ神話に登場する怪物であるメデューサは、日本の人外たちからすれば「外国人」に見えたからだ。

実際にギリシャ生まれなものの、日本での生活の方が長かったメディ。転校続きということもあり、周囲から物珍しく見られることを内心面倒がっていた。もともと人見知りなこともあり、「わざわざ友達作らなくてもいいよね」と思っていたメディ。そんな彼女に後ろの口で話しかけてきたのが、“妖怪二口女”の「二口告」だった。

授業中、後頭部の口で平然と早弁するような奔放な告に、第一印象では苦手なタイプと感じていたメディ。けれど、意外な気遣いや、自分と同じく転校を繰り返してきたという告の人となりを知っていくうちに、だんだんと心の壁がなくなっていく。

放課後、告から「一緒に帰ろ!」と誘われたメディは、迷うことなく「はい」と答え、転校初日にして友達同士になるのだった。

モンスターや妖怪それぞれの特徴を持ちながらも、“どこにでもいるような”高校生たちが織りなす日常を描く同シリーズ。徐々に告以外のクラスメートとも打ち解けていくメディの変化や、夏休みや体育祭といったイベントでの一幕など、人外たちの青春が穏やかな空気でつづられるのが作品の大きな魅力だ。

■好きだった妖怪や人外を題材に生まれた個人制作シリーズ
作者の牧瀬初雲さんは、「WebComic アパンダ」および「コミックウォーカー」そして「ニコニコ漫画」上で漫画『スティアの魔女』を連載中の漫画家。

「転校生メデューサと二口女」は、同連載がはじまる以前から個人制作としてSNS上で発表し、修正を加えた総集編も個人で刊行しているシリーズだ。ウォーカープラスでは牧瀬さんに、本シリーズが生まれたきっかけや、個人制作ならではのポイントについて話を聞いた。

――「転校生メデューサと二口女」シリーズを描き始めたきっかけを教えてください。

「描き始めたのは3年ほど前の2020年ごろです。Twitterなどで定期的に漫画を更新できればいいなと思い、描き始めたのがこのシリーズでした。もともと妖怪や人外などが好きだったので、それらを題材にした作品を描きました」
――大人しいメデューサ「メディ」と社交的な二口女の「告」、二人のキャラクターはどんなところから生まれたのでしょうか?

「お話を作るうえで、対照的な部分が多いキャラクター二人というのはやはりかなり動かしやすい形です。そこで、クールっぽいけどどこか抜けているメディと、明るくて人当たりのいい告というキャラクターが生まれました。

二口女については、この作品より前に『学校で妖怪たちが談笑している』一枚絵を描いていて、その中で描いた二口女を気に入ったので、主人公の一人に選んだ経緯があります。メデューサは、たまたま見かけた別の漫画からインスピレーションを得た感じですね」

――メディと告だけでなく、さまざまな異種族が登場しますが、人外の特徴を活かしつつ、その世界の普通の人々と感じさせるデザインが魅力的です。

「人間離れした容姿を持つ妖怪たちは元の特徴を残しつつ程よく擬人化する、といった風に考えてます。もともと人型の妖怪が意外と多いので、デザインにそこまで苦戦することはありません」

――また、異種族が当たり前に混在して日常を送る世界観は一つの核になる部分だと感じます。描くうえで意識している点はありますか?

「こういった作品でテーマとされるのが多いことに『異種族ゆえの身体的特徴の差異』があると思うのですが、あまりそこを描きすぎると結構シビアな方向に話を持っていかれやすいので、僕の描く世界は『みんながお互いの違い』を受け入れているといったような描き方をしています。この作品ではあんまり暗い話は描きたくないので、違うことが当たり前で、体の特徴に触れることはあってもそれがネガティブな話にはいかないようにしています」

――牧瀬さんが本作で特に楽しんで描いているところを教えてください。

「画面作りやキャラを描くというより、キャラクター同士の掛け合いが描いていて楽しいですね」

――2020年から続く同シリーズですが、牧瀬さんは2022年から商業作品『スティアの魔女』の連載もされています。制作上の変化があれば教えてください。

「連載に制作時間を割く分、個人での作品を書く時間がどうしてもより減ってきたのは悩ましいですね。それでも、いくつも連載を持ちながら自分の趣味の作品も描いている人はたくさんいるので、自分も早くそっち側になりたいです。

また、担当編集から受けたアドバイスをはじめ連載の中での学びは、個人の制作にも活かせるので、そうしたつながりができるのはいい収穫です」

取材協力:牧瀬初雲(@makkyisu1)

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