
新しい環境で心機一転“高校デビュー”に成功した男子高校生。無難な日々を送りたかったのに、ひょんなことから外見以外は高校デビューに“失敗”してしまった女子と仮の友達になることになってしまい……。元“陰キャ”の2人が過去から抜け出し理想の青春を目指す漫画がTwitter上で「最高に面白い」「先が気になります」と大きな話題を呼んでいる。
■大変身した同級生、コミュ力は昔のまま…「友達」になった高校デビュー2人が愛しい
注目を集めているのは、漫画家のみいみつき(@pkyuriri)さんが昨年10月、自身のTwitterに投稿した『楠木さんは高校デビューに失敗している』の第1話。
一見すると無難な高校生活を送る男子高校生の「志月恵助」。だが彼は、かつては自他ともに認める“陰キャ”だった。
中学時代、好きだった女の子の心ない一言を耳にし、自分の扱いの低さと、美人への恐怖感を植え付けられてしまった志月。それを払しょくするために努力を重ね、知り合いのいない進学校で高校デビューに成功したのだ。
そんな志月の過去を唯一知っているのが、クラスメイトの「楠木静」。高校では学年一の美人と噂される少女だが、実は彼女も中学時代は地味で暗い雰囲気、志月の“同類”だった。
見事に高校デビューを決めたように見える楠木を見て、今後関わることはないと思っていた志月。だがある日、当の楠木から相談を持ち掛けられてしまう。彼女は外見は大きく変えられたものの、コミュ力は実は中学時代のまま。そこで、中身まで変えられた志月に助けを求めてきたのだ。
紆余曲折の末、楠木に本当の友達ができるまでの話し相手として、志月は期間限定で友達になることを決める。けれど、楠木はコミュニケーションの経験不足で距離感がちぐはぐ。その振る舞いに周囲には付き合っていると誤解され、早くも平穏な高校生活が脅かされるなか、志月の前に、美人へのトラウマを刻んだ元凶の少女と瓜二つの「蛇川」が現れ――、という物語。
■幼さ残る10代、恋愛だけではなく高校生の心を丁寧に追う
見た目も中身も無難に変わった志月と、外見の変化に中身が追いつかない楠木、高校デビューの男女2人が織りなす青春ストーリー。第1話の投稿には9万9000件以上のいいねとともに、「最高」「続き気になる」「この漫画売れると確信」と多くの反響が寄せられている。
本作は『三ヶ月前に別れた先輩後輩の話』で知られるみいみつきさんの連載最新作。pixivコミック内「comicPOOL」(一迅社)にて2022年10月より連載がスタートし、みいみつきさんのTwitterでも後追い連載という形で本編を掲載中だ。2023年1月25日(水)にはコミックス第1巻が発売予定と、ますます期待が高まる中、ウォーカープラスでは作者のみいみつきさんに本作が生まれた舞台裏をインタビューした。
――本作は「高校デビュー」が一つのテーマです。作品のアイデアはどんなところから膨らんでいったのでしょうか?
「次の作品は学校を舞台にした漫画にしようと思っていました。恋愛だけでなく、人間関係やトラウマなど高校生が直面しやすい悩みを克服し、成長していく姿を描きたいと考えた結果、『高校デビュー』という設定を取り入れて描くことになりました」
――志月と楠木、高校デビュー同士2人それぞれが愛おしいです。2人の描き方でこだわっているのはどんなところですか?
「高校デビューに“成功した志月”と“失敗した楠木”で対比になっていますが、中学時代は2人ともいわゆる“陰キャ”で、根っこの考え方は似ています。2人とも不器用ながらも、頑張っている姿が表現できるように心掛けています」
――『三ヶ月前に別れた先輩後輩の話』では登場人物が社会人でしたが、今回は10代の高校生が主人公です。描き方や作風で変化させている部分はありますか?
「高校生なので、絵柄はもちろんのこと、物事の捉え方や考え方に若さ、幼さが残るように描いています。また、今作では主要な女の子キャラが増えたので、とにかく可愛く描けるように努力しています」
――Twitterでの第1話掲載には大きな反響が寄せられました。こうした盛り上がりにはどんな思いですか?
「漫画どころかツイートすること自体がかなり久しぶりだったこともあり、アップするまでは作品が読んでもらえるかとても不安でした。たくさんの方にいいねやコメントをいただけてとても嬉しかったです。シンプルに『面白い』と言っていただけたのが励みになっています」
――志月のトラウマの鍵を握りそうな少女「蛇川」も含め、今後の展開が気になります。最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
「コメントを読んでいると蛇川さんが可愛い、気になるという方が結構いるみたいです。これから登場する機会が増えますので、楠木と志月の『友達』関係は今後どうなっていくのか、そし蛇川は2人にどう関わってくるのか、注目して読んでもらえたら嬉しいです!」
取材協力:みいみつき/一迅社