もしかして私はHSP?繊細な心を抱きしめる“白いわんこ”が人気

  • 2022年9月14日
  • Walkerplus

SNSやブログを展開する「もこもこHSPを抱きしめる白いわんこ」が、HSPと呼ばれる人の間で話題となっている。HSPとは「Highly Sensitive Person」の略で、生まれつき感受性が強く、敏感な気質を持つ人のこと。日本では「繊細さん」と呼ばれることもある。周囲からの刺激に敏感であることから、当事者にしかわからない生きづらさを抱えていることも多い。

「もこもこHSPを抱きしめる白いわんこ」は、自分のHSPタイプ(4つある)がわかる診断やHSPの人が生きやすくなるコツを提案するブログのほか、HSPならではのしんどさへの対処法を優しく解説するInstagram、Tiktok、LINEアカウントなどを展開。ユーザーからは「自分だけかと思っていたけど、そうじゃなくて安心した」「共感できる」「これってHSPの特性だったんですね」「元気づけられました」など、さまざまなコメントが寄せられている。自身もHSP当事者である代表のつむぎさんに、HSPならではの苦労や運営の裏話を聞いた。

■HSP当事者によるHSPのためのプロジェクト
――つむぎさん自身もHSP当事者だとお聞きしています。自分がHSPだといつ気づきましたか。

「実はフリーランスとして独立して間もない頃、すごくしんどくなってしまったことがあって。人と会うのが好きなのに帰る頃にはグッタリしてしまったり、些細な言動が気になってしまったりといったことの積み重ねで、自分を見失ったような状態でした。

そんな時に”HSP”という言葉に出会ったんです。そういえば、小さい頃から相手の顔色を察したり、ちょっとした環境の変化が気になるタイプだったなと…。診断テストを受け、HSPに詳しいカウンセラーとも話してみて、やっぱり自分はそうらしいなと確信を深めました」

――会社員からフリーランスになられたということですが、どんなお仕事をしているのですか?

「SNSに特化したブランディング事業と、投稿に出てくるキャラクターの"白いわんこ"を描くイラストレーターをしています。以前はパーソナルトレーナーやInstagramのインフルエンサーとして活動したり、IT企業でWEBメディアの編集長をしたりしていました。自分をどう見せるか、それをどうやってたくさんの人に伝えるかを考えるのが好きなんです」

――なるほど、それで今もさまざまなメディアを使いこなしておられるんですね。「もこもこHSPを抱きしめる白いわんこ」はどんなきっかけでスタートしたのでしょうか。

「”白いわんこ”を立ち上げる以前は、HSPの当事者と繋がるための個人アカウントを持っていました。本やインターネットで知識として情報を得るだけではなく、もっと生の声が聞きたいと思い、アカウントを開設しました。そこでフォロワーさんから”HSPに関する情報発信をしてほしい”とコメントをいただいたのが、今の形をつくったきっかけです。最初はInstagramからスタートしました」


――プロジェクトのタイトルにもなっている、白いわんこのかわいらしさにも癒されます。このわんこは、どのようにして生まれたのでしょうか?

「白いわんこは、私が前に飼っていたトイプードルがモデルになっています。以前、しんどい状況だった時にカウンセラーさんから”これまで人生を通して好きだったものを絵にしてみるといいよ”と言われ、描いた絵の中にこの子がいたんです。私が辛い気持ちになっていたとき、よく抱きしめるような仕草をしてくれて、すごく勇気づけられていましたね。そのときのことを思い出して、メインキャラクターとしてプロジェクトの名前にしました」

――実際につむぎさんを癒してくれていたわんこだったのですね!複数のメンバーで運営されているようですが、開設当初からグループとして活動しておられたのですか?

「いえ、最初は1人で立ち上げました。Instagramのフォロワーが1ヶ月で1000人を超えたところで”これはもっと広めていくべきだ”と思い、運営を支えてくれるメンバーを集めることにしたんです。私のブランディングサービスを受けてくれているフリーランスの方の中から、”もしかしてHSPかも”あるいは”この人ならHSPを理解してくれる”と思えた人に声をかけました。

サイトの分析をしてくれる人やイラストレーターやライターといった得意分野を持つ運営メンバーの他に、発信をサポートしてくれるボランティアメンバーもいます。ボランティアメンバーは、もこもこを支持してくださるSNSのフォロワーさんたちで、特に私たちの活動や理念に共感してくださった方々です。運営メンバーはほとんどがHSP当事者なのですが、このプロジェクトに参加して初めて気づいた人がほとんどです」

――HSPに関する情報がわかりやすくまとまっていますが、発信する内容はどうやって決めているのですか?

「HSPに関する情報は、信頼のおける書籍やWEBサイト、まだ日本では知られていない海外のものなどを常に集めています。第一線で活躍している医師や心理士の方にお話を聞きに行くことも欠かせません。私たちも、本当に学ぶことが多いですね。当事者の目線でHSPの人に役立つと思える情報を選び、コンテンツとしてまとめていきます。大まかな内容を私が決めて、メンバーでアイデアを出し合ってブラッシュアップしながら制作を進めています」

――ブログ、Instagram、Twitter、Tiktok、Youtube、LINEアカウントとさまざまなメディアを運営されていて、しかも全部違った内容で発信されていることにも驚きました。

「メディアごとにコンテンツの内容が違うのは、ブランディングやマーケティングの世界ではごく当たり前のことなんですよ。メディアの特徴や利用する人の傾向の違いをふまえて、より多くの人に見てもらえるコンテンツづくりを目指しています。

例えば、Instagramはポイントを絞ったイラスト付きの解説がメイン。Tiktokは絵で理解する人が多いので文字よりもヴィジュアルを重視しています。Twitterは実際に人と話す時に感じるような気づきや共感が得られるよう、胸に響くテキストを発信するよう心がけていますね」

――全体を通して、発信する際に気を付けていること、こだわっていることは何でしょうか。

「”あなたは間違いなくHSPです”のような、決めつけはしないようにしています。あくまで自己診断ツールとして、自分を理解しながら考える余地を残す構成を心がけています。発信する側も当事者であり、一緒に学んでいるという姿勢も忘れないようにしたいです。私たち自身は、教育番組に登場するうたのおにいさん、おねえさんのような、優しく寄り添うイメージが理想ですね」

――フォロワーからの反響で印象に残っているものがあれば教えてください。

「”今までHSPを家族に理解してもらえなかったけど、このアカウントを一緒に見てお互いを理解するのに役立てています”とコメントをいただいたのは嬉しかったです。”しんどくても会社を辞められなかったけど、自分で決めてもいいんだと思えた”とメッセージをくださった方もいらっしゃいます」

――改めて「もこもこHSPを抱きしめる白いわんこ」を通じて伝えたいこと、これから挑戦したいことを教えてください。

「HSPの人には”自分だけじゃない、同じ気質の人がいる”ということをまず知っていただきたいですね。HSPのしんどさは、当事者でないとなかなか理解してもらえません。自分がわからなくて苦しんだり、自分に合う環境が見つけられないという人もいます。HSPについて理解することで、少しずつ自分をラクにする方法を見つけていただきたいです。

今後はHSP同士が繋がれるコミュニティをつくりたいと思っていて、その準備段階としてクラウドファンディングを立ち上げる予定です。HSPの人はいろんなことに敏感で、しんどいことも多いですが、自分に合う環境を選び取ることで強みとして生かすこともできます。少しずつ継続して学び続けることで自分らしく生きやすい未来をつくっていただけたら、こんなに嬉しいことはないですね」

実は筆者も当サイトでの診断は「HSS型HSP」との結果だった。刺激を欲するのに刺激に弱いというHSPの中でも特に珍しいタイプだそうだ。思い当たる節がありすぎる…。単なる「気にしすぎ」や精神疾患ではなく、先天的な気質としてつき合い続けるのがHSP。自分に合った対処法を知り、少しでもラクに生きられるコツを掴みたいものだ。

取材・文=油井やすこ

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright (c) 2025 KADOKAWA. All Rights Reserved.