子供のころから文字や絵で補足しながら会話を楽しみ、やがて伝えたいことを頭の中で反芻するうちにそれを漫画として描くようになったという、キタハタエミ(@emi_kitahata)さん。Instagramやpixivにて、エッセイ漫画などを公開している。
今回は、自身の不思議体験を描いた「子供の時の妙な記憶」を紹介。昔住んでいた家の近くに竹で封鎖された謎の階段があり、ある日その竹が割れていたので中に入ってしまったときの話…。階段を登ると御神木のような太い木が生えていて、小川には水車、竹林の向こうには人の気配のない家が見え、さらに歩くとマンションがあったという。
マンションの不気味さにキタハタエミさんは突然怖くなり、来た道をダッシュで戻り、登ってきた階段をかけおりる。「ギィィ…バタンッ」。背後から重い扉が閉まるような音が聞こえた。そして、「カララ…バタンッ!バンッ!バタンッ」と連続して窓が閉まるような音が続く…。翌朝、その階段は伐採されたばかりのような青々しい竹で再び封鎖されていたという。
それから長い年月が過ぎたころ、キタハタエミさんは『水木しげるの遠野物語』という本で“マヨイガ”という東北地方に伝わる民話を読み、ふと今回の記憶を思い出す。あのとき、“目の前を流れていた川を越えてはいけない”と強烈に感じたのは何だったのか。竹林の向こうの家も、マンションも川の向こう側にあった。もし川を越えていたらどうなっていたのか。
大人になってから昔住んでいた街を訪れた際、キタハタエミさんは竹で封鎖されていた例の階段を探すのだが見つけることはできなかった。さらに不思議なことに、身近にいる誰もがその階段のことを覚えていなかったという。
子供の頃のキタハタエミさんが見た景色は、果たして現実に存在していたのか、それとも幻だったのか。階段の存在を覚えているのがキタハタエミさんだけという後日談も含め、かなり不気味で不思議なエピソードだ。
画像提供:キタハタエミ(@emi_kitahata)