STU48の石田千穂が7月16日(土)から東京・新国立劇場 小劇場で上演される舞台『パレード』に出演する。原作は、2010年に映画化され大ヒットした吉田修一の小説『パレード』。2012年にも舞台化されているが、今回は新たな演出の2022年版として上演。5人の若者たちのルームシェアの経過とその行方を、今回はその5人それぞれの視点に観客の視点も加え描いていく。そんな本作で、若手人気俳優の元恋人からの電話を待ち続ける無職の女性、大垣内琴美を演じる石田に話を聞いた。
■譲れない芯みたいなものを意識して演じていきたい
――まずは本作に出演が決まったときの気持ちから聞かせてください。
【石田千穂】STU48のメンバーとの舞台経験はありますが、メンバーがいない一人での出演は初めてなので、緊張とドキドキが大きかったです。もちろん楽しみな気持ちもありましたけど、今回は少人数での舞台ですし、なおさら頑張らなくちゃという気持ちになりました。
出演が決定してから原作小説を読んで、映画を観たんですけど、もしかしたら自分の周りにもあるのかもしれないなとゾクっとした感覚があったんです。誰しも秘密を持っていて誰にもバレないと思っているけど、実はバレていて。でも、周りは知らないふりをしていて、どうにか過ごしているというような感じが自分の周りでもありそうだなと思ったときに、ちょっと怖いなと思って。観てくださった方にも自分と同じような感覚を持ってもらえるように、リアルに演じていかなくちゃいけないなと思いました。
――演じる大垣内琴美は、広島出身という部分が石田さんとの共通点ですね。性格的なところで似ている部分はありますか?
【石田千穂】琴美ちゃんは普段、ちょっとのんびり見えるというか、彼からの電話を待っているだけに見えても、いろいろと考えて行動したり、発言したりする部分があって、そこはちょっと自分と似ているなと思っています。私も普段、グループのメンバーから「のんびりしてる」「のほほんとしてる」と言われるんですけど、意外とやるときはやるタイプ。きっと琴美ちゃんにも譲れない芯みたいなものがあると思うので、そこを意識して演じていきたいと思います。
――セリフは広島弁ですか?
【石田千穂】台本を読んだ感じだと広島弁ではなさそうなんですよね。でも、上京してルームシェアしている設定なので、台詞のイントネーションには自然と広島っぽさも出たらいいなと考えています。
■台詞はお風呂で覚えることが多いです
――今回は語りの方を入れてもキャストは6名。少人数でのカンパニーに加えて、センターステージでの上演と石田さんにとっても新たなチャレンジになりますね。
【石田千穂】本当に新しい挑戦ばかりです。まだ稽古が始まっていないので、共演者の方々にお会いするのもドキドキしていますし、センターステージという新たな試みにもワクワクしています。STU48としては、センターステージの経験もあるんですけど、パフォーマンスとお芝居は全く違うので、今は未知の世界だなぁという感じです。席によっては表情が全く見えないときもあると思うので、すごく難しそうだなって。稽古を通して、しっかりと皆さんに伝わるお芝居ができるように頑張りたいです。
――キャストが少ない分、セリフ量も多そうですが普段はどんな風にセリフを覚えていますか?
【石田千穂】お風呂で覚えることが多いです。移動中に覚えることもありますが、お風呂が一番集中できますね。密閉空間だし、声を出しても怒られないかなって(笑)。
――石田さんが思う舞台の魅力はどんなところですか?
【石田千穂】映像と違って舞台は、そのとき1回限り。全く同じものがないのが魅力だなと思います。観に行く日によっても違うし、自分の気持ちによっても受け取り方が変わりますよね。あとは、普段の自分だったら考えられないような言動も舞台なら許されるというか、演じているからこそ出来ることもあって。自分の新しい一面を発見できるのも魅力だなと思います。今回の『パレード』でも、また違った自分に出会えそうです。
――今年はSTU48の活動に加えて『パレード』と熱い夏になりそうですが、夏バテを防ぐスタミナフードを挙げるとしたら?
【石田千穂】キムチかなぁ。私、キムチが大好きでいろんなものにキムチを入れてしまうんですよ。お好み焼きにも絶対トッピングします(笑)。あと、広島県出身としては牡蠣とかアナゴとか。美味しい海鮮も欠かせないですね。この夏もたくさん美味しいものを食べて、汗かいてスタミナをつけていきたいです!
――では、最後に本作の見どころとあわせてメッセージをお願いします。
【石田千穂】原作や映画に触れたことのある方は分かると思うのですが、最初はどういう意味なんだろうと分からなかったことが後半になって紐解かれていったり、なるほどなと思ったり。伏線がいろいろあって、そういう部分も全部ひっくるめて面白い作品だと思いますので、細かい部分までしっかりと注目して観てもらえたら嬉しいです。
STU48のメンバーがいない一人での舞台は初めてなので、ドキドキわくわくしていますが、観に来てくださった皆さんに『パレード』の世界観を忠実にお伝えできるように精一杯頑張りたいと思っています。私が演じる琴美ちゃんは恋愛中心に生きている女の子で、普段の私からは想像できないようなキャラクター。自分でもどう表現したらいいのか分からない部分が今はまだたくさんあるんですけど、演出家の平塚(直隆)さんや共演の皆さんと一緒に稽古場でしっかりと作り上げていきたいと思います。これまで見たことのない私が見られるはずです!
撮影・取材=野木原晃一 文=yoshime 協力=千葉由知(ribelo visualworks)