漫画やアニメでは定番中の定番と言える関係性の「幼なじみ」。そんな関係に憧れて、転校したての女の子が、隣の席の男の子と“幼なじみになっていく”漫画がSNSで大きな注目を集めている。
■幼なじみに“なる”?不思議な関係からはじまる話題のラブコメ
話題を呼んでいるのは、漫画家の帯屋ミドリさん(@obiyamidori)が「中学生が幼なじみを作る話」として、自身のTwitterに投稿し、3.8万件以上のいいねを集めている作品。
転校生の女の子・柚木楓と、家も学校の席も隣になった男の子・相田航平。まだクラスに馴染めていない楓を気にして「なんでも協力するよ」と、折に触れて声をかける航平だったが、会話は盛り上がらず。だがある日、楓から放課後に呼び出しを受ける。
まるで告白のようなシチュエーションに身構える航平だったが、楓が告げたのは「私と…幼なじみになってください!!」という驚きの一言。人見知りで転校ばかりだった楓は漫画やアニメに描かれた“幼なじみ”に憧れ、「席も隣で家も隣でお互いの部屋も窓から出入りできる位置」で、何度も話しかけてくれた航平に白羽の矢を立てたのだ。
「幼なじみってこうやってなるものだっけ?」と戸惑いつつも引き受けることにした航平に「ありがとう」と笑顔を見せる楓。そして“幼なじみ”をはじめるにあたり、名字の「柚木」ではなく下の名前の「楓」で呼ぶように求める。
航平は内心で「付き合いたてのカップルがやるやつ…!!」と思いながらも、恥ずかしがりながら「こ…航平…」と呼んでくれる楓を見て「幼なじみ悪くないかも…」とつぶやくのだった。
■理想の幼なじみ、「いなければ作ればいい」から生まれたアイデア
本作は帯屋さんが「くらげバンチ」(新潮社)上で連載している『今日から始める幼なじみ』の第1話。“新米幼なじみ”の2人が織りなす、幼なじみのような、カップルのような、一言では言えない不思議な関係でのやり取りやシチュエーションに、「可愛すぎる」「キュンキュン止まらない」と人気を集める話題作だ。
ウォーカープラスでは反響を受け、作者の帯屋ミドリさんにインタビューを実施。「幼なじみになる」というアイデアのきっかけや、作品制作の裏側などを聞いた。
――「転校生と幼なじみになる」ところからはじまる本作ですが、このアイデアはどんなところから生まれたのでしょうか?
「幼なじみの出てくる漫画を考えていた際、自分の青春には漫画やアニメに出てくるような理想の幼なじみはいなかったなと振り返り、いないなら作ればよかったのではという考えに至りました。その瞬間『私と幼なじみになってください!』と叫ぶ女の子が頭に浮かびました。
今までにない、誰もやっていないネタはないものかと常日頃考えているので、その結果として今回のアイデアが出てきたのかもしれません」
――もともと幼なじみなキャラクターやシチュエーションは好きだったのでしょうか?
「特別好きというわけではなかったのですが、漫画やアニメに出てくるような幼なじみに対して憧れはありました。自分にも朝起こしに来てくれる幼なじみがいたらどんな青春が送れただろうと考えながら今作を描いています」
――「幼なじみは〇〇するもの」という楓の持論で、ラブコメのお約束ごとがひっくり返るのが毎回面白いです。
「楓にどんなことをされたらドキドキするか、幼なじみにこだわる彼女ならどういう行動に出るか、そんなところから考えています。楓がどういう妄想をするか考えて話を作ったりもします。または幼なじみのあるあるから考える時もあります」
■ 2人が歩む“幼なじみ”の道、今後の展開は?
――本作は喜怒哀楽の表情や、視線の落とし方や向け方といった登場人物の感情表現も印象的です。キャラクターの描き方で特にこだわっているのはどんなことでしょうか?
「感情を表現する際に、表情だけでなく手や髪の動き、全体のポーズなどいろんなものを動かして描くようにしています。
ただ歩いているだけ、座ってるだけのシーンでも、少しよそ見をしていたり体を傾けていたり、多少は動きを付けるよう意識しています。姿勢が正しすぎるようにならないようにしています。その方が自然な絵になると思っています」
――「幼なじみ」のような、「カップル」のような、微妙なバランスでのやり取りが微笑ましいと同時にドキドキする展開も魅力的です。
「『恋愛』をどこまで意識しているかに気を付けて話を作っています。特に楓が航平との関係をどうとらえているか、そこは慎重に扱っています」
――楓と航平が関係を勘違いされたり、「新米幼なじみ」と「ベテラン幼なじみ」がいたりと、2人を取り巻く関係の移り変わりも楽しいです。
「楓と航平が幼なじみであることが周りにバレるのかどうか気になるところだと思います。幼なじみの関係が今後どのように変化していくのか、はたまた変化しないのか、楽しみにしていてください!」
取材協力:帯屋ミドリ(@obiyamidori)