元コピーライターの描く仕事漫画が話題!コスプレ業界に研究職からも共感の声

  • 2022年2月20日
  • Walkerplus

SNSやWEBメディアを中心に作品を発表している漫画家のうえはらけいた(@ueharakeita)さん。コピーライターとして勤務していた経験を描いた漫画が、クリエイターのみならず、さまざまな人に刺さると話題になっている。うえはらさんに、反響に対する思いや、漫画を描くとき心掛けていることなどを聞いてみた。

■コピーライターの仕事を通して巡り合った人たちを漫画に
「自分の作ったものはうんこだと思った方がいいよ」というデザイナーや、「最近空を飛ぶ夢を見ていますか?」で始まる忘れられないスピーチ。うえはらさんが自身の経験をもとにして描く作品「ゾワワの神様」は、広告代理店に入社した新人コピーライターの「ぼく」が、仕事を通してさまざまな人と出会い、「ゾワワ!」と感じた瞬間を描く物語だ。

作品は、就活生向けの広告系情報サイト「マスナビ」にて連載中で、うえはらさんのTwitterでも1話遅れで公開されている。元々、コピーライターという職業をみんなに知ってもらえる作品を描きたいと思っていたうえはらさん。情報サイトの担当者から依頼を受けたことをきっかけに、このシリーズでそれを実現することにしたのだそう。

■「自分のアイデアを恥ずかしがるな」業界を超え共感できると話題に
就活生向けにと始まった作品だが、その内容にTwitterでは現役の「働く人」たちからも多くの注目を集めている。なかでも大きな反響があったのは、「クリエイターが絶対にしてはいけない3つのこと」。会議で「ちょっと恥ずかしいんですけど…」と自分の案を出した主人公に、先輩がアドバイスをする話だ。

絶対にしてはいけないことのひとつは、「自分のアイデアを笑うこと」。「恥ずかしい」という言葉もモノづくりの現場において、人を想像の世界から現実に引き戻すリセットボタンのようなものだと教えられる。

Twitterでは4万を超えるいいねに加え、「刺さりました」「すべての業種に当てはまると思います」といった声が寄せられている。うえはらさんに印象に残っている読者の声を聞いてみると、「コスプレ業界や研究職の方まで、『これは同じことが言える』とのコメントをいただきました。共感してもらえる業界の超え方が意外だったので嬉しかったです」と、予想外の広がりに驚いたと話してくれた。

他にも、「落ち込んでいる時に励まされた世界の心理の話」では、営業のE山さんが落ち込む主人公に語りかけた「2:6:2」の人間関係の法則の話が描かれる。

自分の周りにいる2割は何をしても自分のことを嫌いになる人、6割は行動次第で好きにも嫌いにもなる人、そして残りの2割は、何をしても絶対に好きでいてくれる人だという。辛いときに心の拠り所となるようなE山さんの言葉に、作品を読んだ読者からも「泣いた」「元気出た」といったコメントが寄せられた。

うえはらさんは作品が広告業界を超えて共感を呼んでいることについて、どのように考えているのだろうか。

「広告業界で僕が教わったことは結局、広告だけでなくものづくり全般に共通することだった点が、多くの方に作品が響いた理由だと感じています。僕のいた会社の人たちは口癖のように『本質』という言葉を口にし、僕も『本質を見ろ』『本質をつかめ』とよく言われたのですが、それは文字通り、あらゆる職業に通じる『本質』だったのかなと」

■夢だった漫画家へ転身。「働く人」が主人公の作品を描いていきたい
現在は広告制作の現場を離れ、小学校時代の夢だった漫画家として活動しているうえはらさん。コピーライター時代の経験は漫画づくりに役立つとともに、新たな夢にも繋がっているという。

「企画が重要であること、1枚の絵のインパクトからストーリーを組み立てること、そして『絵』と『言葉』で作品を作ることなど、広告制作の現場で教わったことが今の仕事にも生きていると思います。いずれ広告時代の仲間と、今度は漫画家として一緒に仕事がしたいという目標もできました。あの頃の時間は今の自分にとって、大切なものです」

うえはらさんに漫画を描くうえで心掛けていることを聞いてみた。

「悪者を出さない、ということです。実生活でいろいろな人に触れて感じた僕の実感値ですが、『典型的な悪』のような人って現実には、なかなかいないように思います。倫理や規範に反したことをしてしまう人も、何かしら理由や葛藤があり、一概に悪者と呼べるわけではないなと。ストーリーの都合に合わせて悪者を出すと、僕の場合は話が嘘くさくなってしまう気がするので、そこは気をつけて描いています」

昨年は初めての書籍「コロナが明けたらしたいこと(アスコム)」を刊行するなど、活躍の場を広げるうえはらさん。最後に今後の展望と、読者へのメッセージを貰った。

「僕にとってサラリーマン生活は第2の青春だったので、今後は『ゾワワの神様』と並行して『働く人』を主人公にした作品を描きたいと思っています。それこそが自分にしか描けない作品なので。お仕事を頑張る方の救いに少しでもなるような作品が作れたら、と思って準備を進めていますので、ぜひ今後の作品にも期待していただけたら嬉しいです」

思わず背筋が伸びるような瞬間や、仕事の奥深さを描くうえはらさんの漫画。今後も新たな作品を心待ちにしたい。

取材・文=松原明子

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