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「SDGsとは?」国籍や人種、宗教の垣根を越え、協力しあって目標を達成するための“羅針盤”であり“共通言語”

  • 2022年1月16日
  • Walkerplus

貧困、紛争、気候変動、感染症など、人類は、これまでになかったような数多くの課題に直面している。このままでは、人類が安定してこの世界で暮らし続けることができなくなるという危機感から2015年、193の国連加盟国すべてが「誰一人取り残さない – leave no one behind -」をスローガンとし、2030年までに達成すべき具体的な目標を設定。それが持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」だ。

世界的に「SDGs」への関心が高まるなか、国、自治体、各企業でもさまざまな取り組みが行われているが、「そもそもSDGsってなに?」「内容が頭に入ってこない」という声もまだまだ多い。そこで今回、SDGsのコンサル、講演などをを実践し、著書『Q&A SDGs経営』(日本経済新聞出版社)を上梓している千葉商科大学教授・笹谷秀光氏にインタビューを実施。SDGsをどう理解し、子供たちに伝えていくべきなのか、どこよりもわかりやすい「SDGsの基本の基」を聞いた。

■SDGsとは、生きていくための“羅針盤”

――いま、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)が世界の共通目標としてあらゆるシーンに出てきます。

【笹谷秀光】SDGsは、世界中の人がより真摯に、真剣になるべき課題です。文科省ももちろんそのことをよく理解していて、小学校は去年、中学校は昨年から学習指導要領にもしっかり入れています。教科書にも入っているし、副教材にも出てきますから、小中学生はSDGsのことをどんどん勉強しています。

――一方で、社会人である我々の方の理解が追い付いていないという現状も。

【笹谷秀光】はい。子供たちが家に帰って「SDGsを学んだよ」と親に話をしても、大人たちがリアクションできない、太刀打ちできない感じになっている。

――このままでは、大人と子供のSDGs理解度に差がつく一方ですね。

【笹谷秀光】私は、今の子供たちを「SDGsネイティブ」と呼んでいます。ネイティブスピーカーのように英語を使えるのと同様に、SDGsの考え方がビルトイン(あらかじめ組み込まれている状態)されているので、自分の思考や判断基準の軸になるわけです。これは世界、特に欧州などの潮流でして、子供たちにとっては、SDGsがこれから生きていく上での羅針盤となるわけです。

■SDGsが“日本のよい文化”を伝えるツールに

――先ほど、SDGsの理解度では大人の方が子供に負けていると言われましたが、正直SDGsの言葉の意味自体が分かりづらく、“持続可能性”だと言われてもさっぱりわかりません…。

【笹谷秀光】サステナビリティも、“持続可能性”という直訳が分かりづらいですよね。これを私なりに説明すると、SDGsは「世のため、人のため、自分のため、そして子孫のために、世界が取り組むべき目標」をまとめた“世界の共通言語”です。

――今を暮らす現代の人たち、そして未来の子供たちのために、貧困・飢餓・教育・ジェンダーといった、現代の問題と未来への課題を洗い出したものが「SDGsの17の目標」になるわけですね。

【笹谷秀光】はい。実は、日本はもともと「世のため人のため」ということを考える国なんですね。日本には「慮り(おもんぱかり)」「もったいない」「おすそわけ」「思いやり」といった大和言葉がたくさんさります。企業で言えば「三方よし」の考え方もそうです。

――「自分よし、相手よし、世間よし」の考え方は有名です。

【笹谷秀光】日本には「三方よし」のマインドを持った長寿企業が多いのですが、その“考え方”が世界に理解され、伝わっているかというと難しいです。私は「もったいない」とか「おすそわけ」といった言葉が好きですが、この概念って非常に“SDGs的”なんです。

今までは外国の方に「もったいない」や「おすそわけ」という考え方を説明するのはとても難しかった。ところが、SDGsを使った会話にすれば外国の方にもすぐに伝わるようになったんです。

――なるほど!「もったいない」「おすそわけ」といった日本的思考は理解されづらいけど、SDGsという“世界の共通言語”でなら、外国の方にも説明が可能です。「もったいない」「おすそわけ」は食品ロス削減としてSDGsの目標12(つくる責任 つかう責任)にあてはまります。「思いやり」なら目標5(ジェンダ平等を実現しよう)や、目標10(人や国の不平等をなくそう)といった感じでしょうか。

【笹谷秀光】今までは、日本だけで通用する“大和言葉”を外国に発信していましたが、今後はSDGsが“日本のよい文化”を伝えるツールになるわけです。

――つまり、日本の企業が長年にわたって取り組んできた社会貢献活動は「SDGsの何番です!」という風に置き換えて、世界に発信することが可能なわけですね。

■日本の企業は「三方よしのSDGs化をしましょう」

【笹谷秀光】新型コロナウイルスによって、経営の4要素といわれる「ヒト・モノ・カネ・情報」その全部が世界と繋がっているということを痛感しました。ワクチンひとつをとっても、どこの国が開発して、それをどう融通しあって、日本にどのようにして輸送するのか…。世界的大流行の中にあるので、日本だけで対処しても、他の国がどう動いているかを見ないと根本的な解決にはなりません。

――世界は身近にある、というのを身に染みて感じています。

【笹谷秀光】つまり世界の視点なしに、日本の国内だけで「三方よし」をやっていればいいとか、国内だけで“和の精神”を訴え続けるとか、それではダメだということが見えてきたわけです。行動も考え方も“世界化”しなきゃいけない。そういう意味でも、日本の企業には「三方よしのSDGs化をしましょう」と言いたいです。

――自分よし、相手よし、世間よしの“世間”は日本国ということではなく、“世界”にしなくちゃいけないと。

【笹谷秀光】子供たちに「SDGs」を説明するときは、まず、日本にはもともと「三方よし」という「自分だけが得をするのではなく、相手や世間にとってもよいものにしよう」という素晴らしい考え方があると伝えてください。そして、その“世間”というのはこのグローバル時代には“世界共通言語のSDGs”のことだと。世界のみんなが国籍や人種、宗教の垣根を越え、協力しあって目標を達成する、それがSDGsです。

――日本には「お人よし」の文化がありますが、でもそれは「世界では通用しない」とずっと言われ続けてきました。私も「そういうものなのかな」なんて思っていましたが、今回の「三方よしのSDGs化」という話を聞いて、「お人よし」が世界に理解され、支持される時代がくるのかなと期待を持てるようになりました。

【笹谷秀光】今後は、日本発の「三方よし」の考え方をベースにしたSDGs経営モデルが世界基準になるよう広めていくのが、日本のひとつの使命になるかもしれませんね。


■笹谷秀光:プロフィール
ESG/SDGsコンサルタント、千葉商科大学教授
東京大学法学部卒。 1977年農林省入省、農林水産省大臣官房審議官等を経て2008年退官。伊藤園で取締役等を経て19年退職。20年4月より現職。主な著書『Q&A SDGs経営』(日本経済新聞出版社)。「産官学」の経験を生かして、幅広く企業ESG/SDGsのコンサル、講演などをを実践している。

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