東京2020オリンピック・パラリンピックを支えたパートナー企業の“知られざる裏側”を紹介するWEB動画『THE BACKGROUND』に、大手旅行会社のJTBが登場。Tokyo2020プロジェクト推進室長の久家実氏が出演し、コロナ禍での苦労や“交流創造事業”の未来について語った。
■無観客開催で挑む旅行会社の大会サポート
無観客開催となった東京2020オリンピック・パラリンピック。2016年から今大会のオフィシャルパートナーとして取り組んでいたJTBは、多くの観戦ツアーを準備していたのではないだろうか?
「はい、いろいろと工夫を凝らしたツアーを準備してきました。複数の競技を見られるものでしたり、クルーズ船に泊まって観戦に行けるものでしたり、デラックスなホテルと食事がセットのコースでしたり…。たくさんのツアーをご用意していました」と久家氏。だが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で観戦ツアーの多くは中止になったという。
しかし、宮城県と静岡県は有観客で開催していたため、そこでのツアーは実施。「でもそれは全体のわずか数パーセント。ほとんどの観戦ツアーは中止となってしまいました」。
そうしたなか、同社は今大会でどのようなサポートをしていたのだろうか?「当社は交流創造事業を展開しています。人が動くところではJTBの仕事が発生するということです。200カ国を超える国の選手たちは、日本の羽田空港や成田空港に到着されたら、事前キャンプを行うホストタウンへ行き、その後選手村に入り、競技に行き、そして空港から帰国されます。そこで、選手がベストなパフォーマンスができるようサポートしていました」と、選手・大会関係者の日本滞在中の移動や宿泊をサポートしていたことを紹介した。
■コロナ禍で試されるJTBのホスピタリティ
そもそもコロナ禍というところで苦労はあったのだろうか?「オリパラ自体、何年に1度という国際大会。どこの国でも、運営では『初めて関わる』という人が多いのですが、今回はそれとコロナ禍ということで、人類が初めて経験するイベントとなりました」と久家氏。
そのようななか、困ったのは「確認事項も増えているのに、なかなか各国の人たちと事前に連絡が付かなかったこと。直前になって分かることや、来日してから変更になることもあったのですが、それに対応することが大変でした。例えば、コロナ禍なので『新幹線の車両を貸し切ってほしい』『当初の予約から来日後にさらに3席を追加してほしい』とか。こちら側も、極力リクエストにはお応えしたいという想いもあり、その辺りの調整は苦労いたしました」と振り返り、例えば「パラアスリートを運ぶためのリフト付きのバスというのもあまりないので、それも人海戦術で対応するということに。またアスリートのPCR検査のご案内では、弊社の社員も防護服を着て対応しました」と、バス輸送やPCR検査時の際のひとコマについても語った。
■東北の魅力を発信。コロナ禍の新たなチャレンジ
コロナ禍だからこそ、チャレンジしたこともあったという。
「今大会は復興五輪ということもありましたので、世界中から注目されるこの機会に、どのように東北が復興したのかを知っていただくための取り組みもさせていただきました」
久家氏は「本当は、世界中から来た観戦客の皆さまに東北に行っていただければリアルにその良さを知っていただくことができたのですが、実際に行くことは難しくなってしまいましたので、そのなかでどうやったら東北の良さを知っていただくことができるかと考え、お台場で『Feel The TOHOKU』を企画し、東北の魅力をデジタルで伝えるということをやりました」と説明。続けて「空中に浮いている非接触のディスプレイを操作して東北の観光映像をご覧になっていただいたり、デジタル技術も使い、東北の観光情報をはじめ、特産品や工芸品などについてプロモーションしました」と、同所について詳しく紹介。東北各県の特産フルーツを活用したかき氷「TOHOKUふわっぺ」(※販売は終了)を開発し、販売していたことも教えてくれた。
■パラスポーツの意義を伝える
また、パラスポーツの普及にも力を入れてきた同社。「今回、日本財団パラリンピックサポートセンターと共に、『あすチャレ!運動会 日本一決定戦!』を開催したり、パラ駅伝の協賛をさせていただいたり。パラスポーツを通じて共生社会を実現していくということは従来から取り組んできました。そしてその意義を次世代に伝えていくことはとても重要だと考え、パートナー企業と、東北の子供たちに向けてパラスポーツの競技体験や、アスリートによるリモート講演会を共催していました」と話した。
同社では、1日2800人、延べ4万人のスタッフが大会運営に関わった。TOKYO2020に対して、どのような想いがあったのだろうか?「旅行会社のDNAとしては、観戦される予定だった方々になんとか喜んでいただきたい、大会を成功させたい、テレビの画面越しでも感動を伝えたいという想いがあったので、皆、大会のサポートに一生懸命だったと思います。また、今大会は復興五輪ということで東北にフォーカスしましたが、我々の交流創造事業は今後、日本のみならず、世界中で実現できたら良いなと思っています」。
映像提供:NewsPicks Studios
素材提供:JTB