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関東と関西でサイズがちがうって本当?日本で1番有名な桶「ケロリン桶」が愛され続けるワケ

  • 2021年9月15日
  • Walkerplus

鮮やかなイエローに丸みのあるフォントで「ケロリン」と書かれた桶。これは「ケロリン桶」と呼ばれ、銭湯ではお馴染みの存在。この桶を見て、なんとなく懐かしい気持ちになる人も多いのではないだろうか。

そんなケロリン桶が今、若い世代を中心に「レトロかわいい」と人気が再燃している。お風呂場でマイ・ケロリン桶を使う人が続出しており、なかにはお風呂をケロリングッズで揃えて黄色1色にしてしまう熱狂的なファンも増えているそうで、実は筆者もその1人である。

今回は、ケロリン桶がここまで愛されている理由を探るべく、富山めぐみ製薬(旧・内外薬品)OTC事業部の北村学さんを直撃。若い世代に人気の理由や関東と関西のちがいなど、ケロリン桶を大解剖!

■なぜ「ケロリン」?本当は桶の名前ではない!
そもそも「ケロリン」は、大正14年に「くすりの富山」で知られる富山市で生まれた解熱鎮痛剤。現在も多くの家庭で親しまれている薬だ。

「ケロリン」というかわいい名前は、“ケロッと治る”という意味から名付けられた。北村さんは「おそらく最後の『リン』については、成分であるアスピリンの『リン』とかけて、“ケロッと治るアスピリン”の略ではないかと思われます」と話す。

しかし「ケロリン」と聞いて連想するものといえば、薬以上に「黄色い風呂桶」の印象が強いのではないだろうか。銭湯にケロリン桶が並ぶようになったのは、前回の東京オリンピックの前年である1963年。銭湯で薬を宣伝するために作られたそうだ。

「当時は家庭に浴槽がなかったため、公衆浴場では多くの広告が出されていました。風呂桶への広告は剥がれやすいうえに垢が付くということで嫌われていましたが、公衆衛生の観点から木桶からプラスチックへの移行が行われ、同時期にお湯で剥がれない特殊印刷が発達しました。そこに当社が広告を出したのが桶誕生のきっかけでした」

そうして全国の銭湯にケロリン桶が普及し、発売当初から現在までで延べ250万個もの納入数を誇る大ヒット商品となった。

ちなみに、関東と関西では桶のサイズが異なるのをご存知だろうか。関東ではかけ湯の際に蛇口からお湯を入れるが、関西は湯船からお湯をすくうことが多いそう。そのため、関東サイズのものではかけ湯の際に重くなってしまうこともあり、関西のほうが少し小さくなっている。東西の銭湯文化の違いも、商品に生かされている。

■あの“濃すぎるお風呂映画”が大ヒットのきっかけ?
ケロリン桶は特注品も含め、1年間で5〜6万個が生産されている。銭湯通いをする人が減少傾向となる30年ほど前から店頭などでの販売も始め、販売数量は年々増加中だそうだ。

そして2012年に公開された、銭湯を扱った映画『テルマエ・ロマエ』にケロリン桶が登場し、銭湯に馴染みのない若い世代にも認知されるようになった。

「若い世代の方から『かわいい!』と言われることがよくあります。映画や音楽のMVなどで銭湯が舞台となることも多くなり、『銭湯といえばケロリン桶!』という認識がされているみたいですね」

家庭に浴槽があることが一般的となり銭湯に行く人は少なくなったはずだが、映画やテレビで桶が登場したことで人気が爆発。そして「ケロリンハンドタオル」や「ケロリンお風呂椅子」、「ケロリンボディタオル」などのグッズもヒットし、量販店に専用コーナーができるほどだとか。

■漫画やアニメとのコラボで人気上昇中であります!
また、若い世代に人気となったもう1つの理由が「コラボ」。ケロリン桶は漫画やアニメ作品との関連商品を多く販売しており、その先駆けが漫画『ケロロ軍曹』とのコラボ商品「ケロロ&ケロリン桶」だ。

2013年、Twitterのアカウント名が「ケロリン」(@KERORIN_PR)と「ケロロ軍曹」(@keroro_PR)で名前が似ていたことが話題となり、夢のコラボが実現した。

「『ケロロ&ケロリン桶』が大変人気となり、今でも販売中で累計販売個数は9万5千個以上となっています。近年はさまざまな年齢層に向けての認知度向上とブランディングの一環として、コラボ商品に力を入れています」と北村さん。

ほかにも『すみっコぐらし』や『ゆるキャン△』、『僕のヒーローアカデミア』などの人気作品とのコラボ商品を多く展開している。作品のキャラクターが桶に描かれており、お風呂タイムを楽しませてくれるアイテムだ。

■別名「永久桶」。これからもずっと愛され続ける商品に
最後に、ケロリン桶の将来について北村さんに聞いた。「現状のブランディングの方向性を継続することに変わりはありません。桶自体は新しい商品ではないため、『価値を維持していくこと』を目標とし、継続的に認知度を向上させる施策を実施していきたい考えです」

銭湯で子供が蹴飛ばしても、腰掛けにされてもビクともしない驚異的な強さから、「永久桶」とも呼ばれているケロリン桶。銭湯が少なくなっている昨今でも愛され続けるケロリン桶はまさに文字通り、人々の記憶に残り続ける永久桶になるのだろう。

取材・文=福井求

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