世界的にSDGs(エス・ディー・ジーズ/持続可能な開発目標)への関心が高まるなか、各企業でもさまざまな取り組みが行われているが、具体的にはどのようなことが行われているのだろうか?今回は、無添加石けんメーカー「シャボン玉石けん」で、SDGsに取り組んだ経緯や、具体的な活動内容について聞いた。
■SDGsってなに?
SDGsとは、国連に加盟する全ての国が、2030年までに持続可能でより良い世界を目指すための国際目標。持続可能な世界を実現するため、「貧困」「飢餓」「健康と福祉」などをテーマにした17の目標と169のターゲットで構成。アジェンダでは、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。
■SDGsの取り組みこそが企業姿勢
ーーSDGsへの取り組みをはじめたきっかけや経緯について教えください。
【広報担当者】私たちは1974年より「健康な体ときれいな水を守る」という企業理念のもと、人と環境に優しい無添加石けんづくりにこだわって事業活動を行なっています。もともとSDGsの理念に合致する取り組みを行っていましたが、改めてSDGsの内容を見直し、積極的に取り組んでいくべきと考え、2019年1月にSDGs宣言を出しました。
ーー具体的にどのような取り組みが行われているのでしょうか?
【広報担当者】本業そのものがSDGs達成に貢献すると考えており、無添加石けんの製造・販売を中核として、石けんの良さを広げる啓発活動や行政との連携、学術的な研究などさまざまな取り組みを行っています。
具体的には、環境への影響が少ない包材を採用し、石けんの原料油脂であるパーム油やパーム核油を現地マレーシアの農園で定期視察することで、品質の維持や環境保全を常に意識しています。香害・化学物質過敏症に対する啓発活動、製造工程の工場見学、勉強会・講習会への講師派遣など、石けんの良さを広げるためのアクションも欠かせない活動です。ほかにも、多角的なプロジェクトを展開しています。
そのほか、「1% for Nature プロジェクト」として、人気商品である「シャボン玉浴用3個入り」の売上の1%を寄付にあてています。例えば、ミャンマーでの井戸建設に支援するなど「人と環境に優しい活動」に対して支援を行なっています。
■地方自治体との連携で石けんの魅力を拡散
ーーSDGs達成に向けて、より広い範囲でより直接的に多くの人々に石けんを身近に感じてもらうために、自治体との連携にも注力しているようですね。
【広報担当者】そうなんです。2019年12月には、「SGDs未来都市」に選定されている北九州市と「SDGs 包括連携協定」を締結しています。市民へのSDGs認知の促進、健康増進、石けん系泡消火剤の普及による災害・防災対策などの取り組みを、市との連携でさらに強化しているところです。
また、北海道厚岸町、熊本県あさぎり町、鹿児島県屋久島町一湊区といった自治体とも提携し、町内の施設などで気軽に石けんに触れられるようシャボン玉製品が導入していただいています。
ーーなるほど。こういった取り組みの情報はどういった方法で世の中に発信されているのでしょうか?
【広報担当者】ホームページや弊社通信販売の会員向け会報誌、SNSなどを通じて情報発信しています。さらに、これまでの取り組みを継続しながら、新たな取り組みとして、SDGsを身近に感じてもらい、行動を促す目的で北九州市や朝日新聞社と共催して「私のSDGsコンテスト」を2019年より開催しています。
■石けんを通じてSDGsが身近になる社会を目指して
ーーSDGsを身近に感じることができそうですね。加えて、実際に私たちがより気軽に生活の中にSDGsを取り入れるためには、どのような工夫が必要でしょうか?
【広報担当者】SDGsというと難しく考えてしまうかもしれませんが、普段買うものや利用するサービスを選ぶ際に、環境や人により配慮したものを選ぶなど、誰でもすぐに実践できることはたくさんあります。毎日使う洗浄剤を環境に優しい石けんに変えてみることも立派なアクションです。ぜひ石けん1つから見える環境問題・社会問題について考えてみませんか?
ーー最後に、SDGsを続けて行く中で、どのような社会を目指されていますか?
【広報担当者】本業である無添加石けんの製造・販売、石けんの良さを広げることが持続可能な社会に貢献すると考えています。より多くの方に石けんの良さを知っていただき、肌にやさしいもの・環境にやさしいものを求めるお客様が「石けん」を選ぶことが当たり前になる社会になれば嬉しく思います。