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いきいきとした柴犬の表情が愛おしすぎる。犬の日常を投稿する「inubot」とは

  • 2021年5月16日
  • Walkerplus

和歌山県在住の写真家・北田瑞絵さんが、共に暮らす柴犬の日常を撮影して投稿しているTwitterアカウント「inubot」。おもいっきり遊んだり家族に寄り添ったり、暮らしの中で一喜一憂する犬のいきいきとした様子が注目をあつめ、約3万9000人のフォロワー(2021年4月時点)が毎日の更新を心待ちにしている。現在はウェブメディア「ESSEonline」で、エッセイ「inubot回覧板」を連載している北田さんが、愛犬の写真をSNSに投稿をはじめたきっかけとは。そして、犬の気持ちが伝わってくるような写真の数々を通して気づいたこと、撮影において大事にしている思いなどを聞いた。

■「犬はいつだって優しくて、包み込むような強さと気品がある」
――Twitterで日々更新されている「inubot」は、どういった経緯でスタートしたのですか?

「Twitterアカウントを作って今年で丸5年になりますが、きっかけは妹の存在でした。Twitterを始めるまでは、実家を出て一人暮らしをしている妹に写真をLINEで送っていて、それが今の『inubot』のようだったんです」

――離れた妹さんのために、愛犬の様子を写真で知らせることから始まったと。

「写真を2年ぐらい送っていたのですが、ある時に『もう少し時間を考えて送ってほしい』と言われて。昼夜問わず送っていたので、迷惑な時間帯もあったなと反省しました。しかし、犬の写真や動画が妹の癒しやエナジーになっていたのも事実なので、『週に一度と決めて送るようにするか…、でも一週間もあったら日々変化してる犬を追えないやん』と悩んだ結果、私がTwitterにアップしておいたら妹が好きなときに見れると気づいて、『inubot』というアカウントを作りました。なので、フォロワーの中には妹がいます」

――inubotでは、愛犬を名前ではなく「犬」と呼んで更新されているのも特徴的ですよね。

「名前はもちろんちゃんとあります。だけど、犬の名前をネットに出すのことに抵抗があって…。ああやって写真を載せているのに矛盾していると思われるかもしれないんですが、犬にもプライバシーがあると思うんですよね。そこは、私の中では明確なラインがある。でも名前を伏せて『犬』と呼んでるからこそ、見てくれている方が自分の愛犬のように身近な存在に感じてくれたり。あとは自分の愛犬の姿を重ねてくれたり、投影してくれることもあります。そういった点でも名前は出さなくて良かったなと思います」

――北田さんから見て、犬の持つ魅力はどんなところだと思いますか?

「一緒にいて居心地が良いところです。犬の前では無防備でいられて、愛想笑いも建前もいらなくて。それは犬が人間ではないからとかでは絶対ないです、他者は他者なので。犬の性格や品格がまわりを居心地のいい空間にしてしまうのかなと。変なこと言っていると思われるかもしれないけれど…、犬はいつだって優しくて、肩の力を抜いてくれて包み込むような強さと気品がある。だから、犬といる時の自分のことも好きなんです」

――犬と北田さんの暮らしの写真は、川に遊びにいったり、庭やプールで遊んだり、コタツの中で眠っていたりと、様々な風景と時間が、大切に残されているなと感じます。

「写真と記憶はセットになっているので、忘れたくない時間の写真には思い入れが強いです。秋の淡路島で砂浜を駆けていく母と犬の後ろ姿だったり、亡くなった祖母と犬の日常風景だったり、犬を撫でる妹の手のひらや犬の毛まみれになった助手席、テレビゲームをしている母と妹の間に割り込む犬の姿。特別な日もだけど日常の光景も覚えていたいから写真を撮って、未来に残しています」

■写真にくっきりと残る、流れていた時間や犬の気持ち
――写真を撮り続けることで、発見したことなどありますか?

「犬と人間は言語を使ったコミュニケーションは取れないですが、犬は顔や態度でかなり感情を表しているんだなとカメラ越しによく感じています。うれしい時は目に光が入るし、不機嫌だとあからさまにむすっとしてるし、豊かな表情や体の反応で私たちにたくさんの情報を送ってくれています」

――確かに「幸せそうだな」「ヤンチャな顔しているな」とか、写真から犬の感情がとても伝わってきます。最近特に、犬の気持ちを感じ取れた瞬間はありましたか?

「最近だと母が4月にちょっとした手術をして、3日間入院したんですよ。母が帰ってきたときの犬は平常の様子ではなくて。その時、犬と母の間に流れていた時間は、割り込めないものがありました」

――お母さんが入院されている時と、退院直後に大喜びしている犬の写真も拝見させていただきました。犬にとっては突然お母さんが家からいなくなったから、ちょこんと座ってしょんぼりしている。それが退院されて再会できた時のはしゃぎっぷりときたら、かわいくて可笑しい。だけど、犬の気持ちを想像すると感動的で目頭が熱くなりました。

「それでも犬の気持ちを推測はできても断定しないようにしています。決めつけるのは失礼かなと思っていて、犬の気持ちは犬だけのものなので。先日父親も犬のとある行動から心理をあれこれ推測していたのですが、最終的に『でも犬の気持ちは犬にしかわからんよなぁ』と締め括っていましたね」

――犬のプライバシーを考えたり、気持ちを一方的に断定しないなど、犬を尊重されているのが伝わってきます。撮影にあたって、他に大事にされていることや気をつけられていることはありますか?

「写真を撮る上で、どんな生き物にしてもその人、その動物自身と対峙するようにしたいと思っていて。中学生に『子供らしさ』、犬に『犬らしさ』とか母親に『母親像』とか自分の勝手なイメージを重ねない。カメラの前のその対象者自身を表出させるように撮りたいと心がけています。あとは、これからも写真を撮る目的が『SNSに投稿すること』には絶対ならないでいたいと思ってます」

■「犬は今年で7歳。これからも元気でいてくれたら」
――多くの方が更新を楽しみにされている「inubot」ですが、特に印象に残っている反響や感想、メッセージなどありますか?

「投稿もですが連載の『inubot回覧板』を読みながら、その人自身の愛犬との記憶が蘇ってきて、思い出すと言ってもらえることがあります。『inubot』を通して今は一緒にいない愛犬に想いを馳せてくれたなら、愛犬の記憶が去来している間って一緒に生きていると思うので、記憶の蓋を開ける役割を担えたなら良かったなと思います。ウェブ連載『inubot回覧板』が書籍化されて出版した際に、個展を開いたのですが、その時にお手紙をいただいて、ご自身が大変な時期に『inubot』を見ていたという方がいらしゃって…。誰かの心の深いところに触れるようなこともあるのかと、恐れ多くもうれしさからその場で泣きました。続けようと思いました。最初こそ妹のために始めた『inubot』でしたが、現在はそれだけではなくなっています。日々のツイートへのリアクションも、毎月更新している『inubot回覧板』へのご感想も一つ一つ本当にうれしいです」

――ちなみに、最近特に反響があった投稿は?

「ここ最近だと、犬が母親とキャッチボールをしていてずっと鼻で打ち返していたのですが、突然キャッチできたときのリアクションが良かった動画です。一度テレビでも取り上げてくださったのですが、両親が喜んでくれて友達にも動画を見せたりしていたのがかわいかったですね」



――最後に、北田さんの展望や犬との生活でやってみたいことについてお聞かせください。

「また『inubot』の写真を発表する機会を作りたいです。あとは30歳になって意識が外に向いているのを感じます。20代は自力を蓄えていて、以前と比べてですが地盤が築けていっている体感があるので、30代は和歌山を拠点に外の世界ともコミュニケーションを取りたいなと。そしたら40代が楽しくなる気もするので。写真家としてグラビア雑誌の撮影をさせていただく機会もありますがもっとできたらうれしいですし、個人的な家族写真とか、全国各地の愛犬と人々の撮影とか、色んな方面の撮影ができたらと思っています」

「犬との生活としては、家内安全に尽きます。犬は今年の5月7日で7歳になりましたが、これからも元気でいられるように日頃から気を付けます。犬がよく動いてよく食べてよく眠ってくれていたら、北田家は安全だと思いますので。あとは妹がまだ犬と海に行っていないので、砂浜に降りても肉球が火傷しない季節にでも白浜にお出かけしたいです。犬と渚は走った方がいいですからね」

取材・文=大西健斗

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