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「お酒を飲むと『働けるスイッチ』が入った」元アルコール依存症OLがマンガ化、“朝6時から飲酒”の毎日

  • 2021年2月28日
  • Walkerplus

にほんブログ村「コミックエッセイ」ランキングでTOP10に入るなど人気を博している、元アルコール依存症のアラサーOL・かどなしまるさん(「お酒がないと××できません」/@marukadonashi)。新卒で入った会社で人間関係に悩まされ、「ダメだ」とわかっていながらも、お酒を飲んでから出勤するようになってしまったという。その体験記を新たに描き下ろしてもらったマンガがウォーカープラスで連載中。初めて出勤前にお酒を飲み、転がり落ちるように常習化していく様子が描かれる第3話の掲載に合わせ、当時の体験を振り返る。
――人生で初めてお酒を飲んだときのお話を聞かせてください。

「もともとお酒にはそれほど興味がなかったのですが、成人式の後で祖父の家に晴れ姿を見せに行ったとき、照れくさくて台所をうろうろしていると、冷蔵庫に素敵なパッケージのカクテルを発見し、『お祝いに飲んでみようかな』と思いました。未知の世界に足を踏み入れるのにドキドキして、恐る恐る口をつけたのを覚えています」

「ただ、飲んでみても、顔がなんとなく火照ってきて、気分がフワフワ高揚している…気がしなくもないかな?という程度で、ちょっとがっかりしましたね。お酒が嫌いな人がよくいっていた、『ジュースでいいじゃん』という言葉に同意しました」

――新卒で入社した会社で、暴言やパワハラが横行していて、出勤前にお酒を飲むに至ってしまったとうかがいました。

「それまで、出勤前は『あいさつを無視されるのが嫌』『もう上司の前で明るく振る舞える気がしない』『あの先輩に話しかけるのが憂鬱』といった暗い思考に支配されていたのですが、お酒を飲むとそれがウソのように消え、気分が急上昇しました。満員電車に揺られて出勤し、陰鬱な社内で精いっぱい明るくあいさつ回りをするという、つらい朝のルーティンをスキップしたかのように、気付いたらパソコンに向き合っていました」

「いまはけっしてそんな風には思えないですが、あのときは『人に傷つけられて嫌な気持ちになることを、全部酔った私がやってくれた。お酒が助けてくれた』と感じ、心の底から『お酒最高!』と思ってしまいました」

――「お酒のプルタブを開けるだけで安心した」という言葉が切なかったです。当時を振り返ってどう思いますか。

「プルタブを開けた瞬間、世界を見る“フィルター”が変わるんですよ。怖い、つらいという感覚でしか物事をとらえられなかったのに、特に明るくも暗くもない、ゆらゆらとした曖昧な感覚で世界に存在できるようになりました。プシュッと爽快に響く音が、それまで止めていた息を吐き出せた音のように聞こえ、これでやっと現実から逃避できると思えたんです。一種の儀式のようなものでした」

――マンガを描くようになったのはいつからですか。

「小中学生の頃、周囲でマンガを描くことが大ブームになり、それに乗っかって描いてみたのがはじまりでした。こういったエッセイ的なものを描くようになったきっかけは、高校生のときの絵日記ですね。大学に入ってからは、森下えみこさんの『女どうしだもの』や、たかぎなおこさんの『ひとりぐらし』シリーズが大好きで、妹と一緒に真似してコミックエッセイを描いたりしていました」

――これまでマンガを描いてきた中で、印象的に残っている読者からの反応はありますか。

「『ブログ、最初から全部読みました』といわれたときが特にうれしかったですね。私も、感性が似ていると思ったりした作家の作品は、むさぼるように全部読みたくなる感覚があるので、『それを私に見出してくれたのか…!』と舞い上がってしまいました」

――ブログではこれからどんなことを発信していきたいですか。

「私自身、ある日きっぱりと立ち直って、人が変わったようにまっすぐ生きているようになったわけではけっしてなく…。もともと人付き合いが少し苦手で、ストレスからすぐに逃げ出してしまうという未熟さを内包していたからこそ、アルコール依存症になってしまったと思っていて、いまだにけつまずきながらOLとして働いています」

「でも、幸せを感じられる瞬間が昔よりも増えて、コントラスト豊かな毎日を楽しめているのは確かです。一進一退だけど、読んだ人が『それが人生だよね』と共感できたり、私なりの“一歩前に進めた瞬間”を切り取って、『そんなちょっとしたことでもいいんだ』と心が軽くなるようなブログを続けていきたいです。うまくやる気の出ない日や、たいしたことの起きない日の話ばかりでも、『私も一緒!』と、誰かの肩の荷を下ろせることを願っています」

取材協力:かどなしまる(「お酒がないと××できません」/@marukadonashi)

※飲酒の際は、食物をとりながら、自身にとって適切な量をゆっくりとお楽しみください。自分で飲酒の量やタイミングをコントロールできず、お悩みの場合は、専門の医療機関を受診してください。
※20歳未満の飲酒は法律で禁じられています。


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