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関西の新感線ファンに告ぐ!この挑戦の舞台を観よ!

  • 2020年9月30日
  • Walkerplus

演劇ライター・はーこが不定期で配信するWEB連載「はーこのSTAGEプラス」Vol.79をお届け!

「次の新感線は、いのうえ歌舞伎『神州無頼街(しんしゅうぶらいがい)』だ」と、楽しみにしていた皆さん。9月にフェスティバルホールで公演予定の舞台は新型コロナ感染拡大に伴い、悔しくも延期となった。そして2022年に上演が決定。でも「2年先まで待つのか~!」って言いたい気持ちもわかる。

コロナ禍で春と秋の公演中止を余儀なくされたヴィレッヂ(劇団☆新感線の制作母体)は大打撃を被った。でも、ヘコんでなんかいられない。「今できるエンターテインメントを発信しよう」と、東京で10月4日から「ヴィレッヂプロデュース2020 Series Another Style『浦島さん』『カチカチ山』 太宰治著「お伽草紙」より」という舞台を上演する。

「また、東京だけかよ~!」と、IHIステージアラウンド東京の『髑髏城の七人』シリーズに通った人の声が聞こえそう…。あの時は関西ファンのブーイング、かなりうるさかっただろうことは想像できる。でも今回は違うから。全公演ライブ配信するから!

40年間、生の舞台の熱気や楽しさを存分に体感させてくれている劇団☆新感線。生の舞台が一番だということは誰もが承知している。でも、通常なら新感線の劇団公演は3時間超え。お得意のパワフルな群像エンタメはさすがに“密”だ。そこで、ヴィレッヂは今ならではの二人・三人芝居の新作に挑むことにした。

密にならないキャスト、密にならないスタッフの少人数カンパニー。配信の料金は2500円、どう!?最近は配信ものも増えたけど、配信すればOKみたいなことない?ゲキ×シネで培った映像技術を持つ新感線やから、そこは安心。関西人は安かったらOKちゃうからね、おもしろくなかったら怒るからね。

もちろん、GoToトラベルキャンペーンを利用して「東京行ったるわ!」というファンもいるでしょう。それも良し。ありがたいこと。そしてコロナ禍の中、関西にいて彼らの「今だからできること、やってみたいこと」を応援することもできる。というわけで、「新しいコロナ時代の演劇のカタチ」を試みる、いのうえひでのり演出の最新作を紹介しよう。みんなの熱い想い、受け取ってください。

■作品について
作品のヒントになったのは、25年ほど前にいのうえひでのりが演出し、若かりし劇団☆新感線の劇団員の橋本じゅんと山本カナコが演じた、狸と兎の二人芝居「カチカチ山」。

今回の演目は太宰治の小説「お伽草紙」を原案に、「浦島太郎」ならぬ『浦島さん』と、かつての今昔お伽話『カチカチ山』。「コロナ時代に即した“よりミニマムでタイトなカタチでの上演を!”と、この2作品をやることにしました」と、いのうえ。

「今回は物理的な密は避けつつも濃密な中身の詰まった稽古、そして舞台を作り上げたいと思います」

■主役は福士蒼汰、宮野真守
公演延期となった、いのうえ歌舞伎「神州無頼街」でタッグを組む福士蒼汰、宮野真守が企画に共鳴し、それぞれの物語に主演する。

「今まであまり見たことのなかった福士君・宮野君をお見せできる作品になると思います」(いのうえ)

■『浦島さん』

【あらすじ】
名家の長男として品行方正に暮らす浦島太郎(福士蒼汰)。世にあふれる批評にへきえきした彼は、なるべくそこには近づかず、風流に生きようと努めている。ある日、助けてもらった恩返しに現れた亀(粟根まこと)から、「竜宮城には他人をどうこう言う者はおりません」と聞き、そんなすばらしい場所があるならばと、おっかなびっくり海の中へ。

たどり着いた竜宮城にはつかみどころのない態度の乙姫(羽野晶紀)、そしてすべてが無限に許される空間があった…。

【脚色:倉持裕のコメント】
「当面、通常の芝居作りは無理だと覚悟した頃、『少人数の短編を作る』というオファーをいただき、これは我慢や妥協をあまりしていない企画だ、と感じてすぐに引き受けた。しかも原作小説(というか大もとの昔話)には、コロナ禍に符合する要素がいくつもあった。

短い原作を膨らませる作業はなかなか苦労したが、いのうえさんの演出だから海底を大冒険するスペクタクルに仕上げてくださるに違いない。こういう事態の真っただ中にごらんいただくことを意識して書いた芝居です。ご期待ください」

【出演:福士蒼汰のコメント】
「この状況で何か自分に出来ることはないかとずっと考えていたところに、今回のお話をいただきました。スタッフの方々がさまざまな思いで作ってくださった機会、全力で挑もうと決心しました。宮野さんとの共演は持ち越しになりましたが、お互い成功させて、2年後に向けてさらに期待を膨らませたいと思います!

三人芝居は初めてですが濃い時間になると思うので待ち遠しいです。さらに今回は配信もあるので、より多くの方に届くことを祈っています!皆様の心の栄養になるよう、精進したいと思います」

■『カチカチ山』
【あらすじ】
自称・作家の男(宮野真守)。オレは見た目もいいし女にもモテるし、師匠の太宰からもかわいがられる、と自分で言う自己肯定感高めの男だ。のらりくらりと生き30代後半を迎えた時に「自分の小説を書くぞ!」と決心、戦時下の山奥にこもる。

しかし、美しい少女(井上小百合)と出会った瞬間、殊勝な決心は雲散霧消。オレのことを愛してくれないか?とにじり寄る。が、潔癖な少女は軽薄な輩が大嫌い。男を誘い破滅させようと策略を巡らし…。

【脚色:青木豪のコメント】
「コロナ禍に気が引けますが、お話をいただけて単純に“うれしかった”です。いのうえさんに書かせてもらえるのが僕は一番励みになるし、とにかく発奮しました。短い原作を引き延ばす仕掛けを組むのが難しかったです。原作の狸は本当にブサイクで汚らしく、宮野さんにそれはどうか、と改変したところは苦労したけど楽しかった。

『安心して演れて、安心して見られる二人芝居にしたい』とオーダーをいただき、“距離”を一番念頭に置いて書きました。演者も観客も肉体的には離れていても、気持ちだけは“濃厚接触”出来るように」

【出演:宮野真守のコメント】
「『神州無頼街』の延期は悔しい思いがありました。なので、僕らの思いを届ける方法はないか、前に進める方法はないかと思っていたので、今回の企画は本当にうれしかったです。福士君と共に舞台に立てないのは残念ですが、僕は“福士蒼汰”が大好きなので、今回も想いを一つにしてお芝居を作る場所にいられることがうれしく、ありがたいです。

今回の公演、実はとても緊張しています(笑)。二人芝居ということは出ずっぱりですし…セリフ覚えられるかなぁ…(笑)。でも、気合を入れて臨みますので、ぜひ楽しみにしていてください!」

■STAGE チケット発売中
ヴィレッヂプロデュース2020 Series Another Style
「浦島さん」「カチカチ山」 太宰治著「お伽草紙」より
日時:10/4(日)~17(土)13:00・18:00
会場:東京建物 Brillia HALL※全ステージLIVE配信実施
演出:いのうえひでのり
【浦島さん】
脚色:倉持 裕
出演:福士蒼汰 羽野晶紀 粟根まこと
【カチカチ山】
脚色:青木 豪
出演:宮野真守 井上小百合
料金:S8000円、A7000円

■配信情報
配信サービス:PIA LIVE STREAM
料金:2500円
問い合わせ:サンライズプロモーション東京
電話:0570-00-3337
http://www.vi-shinkansen.co.jp/ura-kachi/

取材・文=演劇ライター・はーこ

※新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

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