水族館、動物園、美術館のジャンルを超えた、生きているミュージアム「ニフレル」。"感性にふれる"をコンセプトに、泳ぎや色など動物の個性にフォーカスした演出で人気を集めている。展示はもちろんだが、最近は動物たちの普段見られない姿を発信する公式Twitterも「癒される!」と話題に。
そんな癒し系ツイートの裏側に迫るべく、今回はTwitterの"中の人"に話を聞いてみた!
■ほっこり笑顔になれる動物たちのオフショットが満載
すやすやと眠る寝顔や食事シーンなど、動物たちの普段見られないオフショット的な投稿がかわいすぎるニフレルの公式Twitter。
投稿で気を付けているのは「友達に話しかけるような感覚でつぶやくこと」と担当者さん。
「SNSの担当になった当初『生きものの良さを伝えるんだ!』とかなり肩に力が入っていました。試行錯誤しながら投稿していたのですが、反応がイマイチで。不思議なものですが、狙った投稿ってバレちゃうんですよね(笑)。そんな時、広報の上司に『いいねの数も大切だけど、フォロワーさんとのつながりが何より大事だよ』とアドバイスを受けて。それから方向転換し、少し離れた場所に住んでいる友達に『おーい!元気~!?』と話しかけるような感覚でつぶやくようにしています。それからは『いつもほっこりします』『Twitterがきっかけでニフレルが好きになりました』などのコメント頂くことも増え、うれしくて事務所で飛び跳ねています(笑)」
また「写真も意識しています」とのこと。
「生きものの世話をするキュレーターが撮影する写真は、生きものへの愛情や見てほしいポイントがダイレクトに伝わるものが多く、投稿文を考えるのが毎回楽しいです。ニフレルの展示テーマは"多様性"。その生きものが一番美しくかつ魅力的に見える展示構成になっています。なので、その世界観を壊さないようにフィルター機能や加工などは極力使わず、水槽の形状や光の反射などを計算しながら慎重に撮影を行っています」
また、タグ付けには「#スヤスヤ」「#ぱたぱたぱた」「#スリスリスリ」など擬音語を多く使うようにしているんだそう。
「自分が小さな頃を思い返して、初めてこの生きものをみたときに素直にどう感じるだろう?お母さんにどう伝えるだろう?と思いながら、タグ付けをしています。実際にはタグ付けのような音は鳴っていないのですが、自分の感性で付けていますね」と、担当者さんは語る。
■人気者のミニカバ「タムタム」のお別れに涙!
今までの投稿のなかで最も反響が大きかったのが、ミニカバタムタムの"あむあむ動画"だ。
「広報担当が獣医と今後の展示の打ち合わせをしていたところ、ふとタムタムを見ると"あむあむ"をしていました。偶然ハンディカムを持っていたので、とっさに撮影したものです。後にも先にも、こんなふうに撮れる機会はありませんでした」
Twitterでも大人気のタムタムだったが、将来の繁殖のため、今年の7月にメスのミニカバがいる「神戸どうぶつ王国」へと巣立ってしまった。巣立つまでの約1か月、Twitterで"タムタムヒストリー"を連日投稿。
すくすくと育つタムタムのほほえましい投稿のなかには、1000以上のいいね!が付くツイートも。投稿はタムタムとのお別れの前日まで続き、最終日にはお別れの瞬間もリアルタイムでツイートされた。この投稿のおかげで、フォロワーも一緒にタムタムを見送ることができたはずだ。
ニフレルの公式Twitterには動物たちへの愛情はもちろん、フォロワーへの思いやりにもあふれている。
■「これからも"ほっこり"してもらえたら」
フォロワーとのつながりを大切に思う担当者さん。「お客様が『#ニフレル』『#にふれる』『#nifrel』などのハッシュタグを付けて投稿されたツイートは、すべてチェックしています」と語る。
「私がほぼ毎日見ている館内の様子が、お客様のカメラを通せばとても新鮮で。『こういった見え方があるのか~』と参考にさせていただいています。素敵だなと思ったツイートには"ホントありがとうございますっ!また来てね!"と思いながら、いいね!を押させていただいています」
また、「これからもほっこりしてもらえる投稿をしたい」と担当者さん。
「コロナウイルスの感染が拡大し、外出したくてもできないという方が大勢いらっしゃると思います。そんな中で、少しでもほっこりしていただき、みなさまの心の支えとなるような公式Twitterになりたいです。ただ、やはりTwitterでは伝えきれない生きものたちの魅力があるので、ぜひニフレルに足を運んでいただけたら幸いです」
生きものたちのありのままの姿と、その魅力がストレートに伝わってくるニフレルの公式Twitter。たくさんアップされている動画でも生きものの個性が伝わってくるので、ぜひチェックしてみて。
取材・文=左近智子(glass)