アイドルとしての活動に加え、YouTuberとして、自然の中でサバイバルする様子を配信する「かほなん」。サバイバルするアイドルとしてスタートしたYouTube「さばいどるチャンネル」の登録者数が29万人を突破し(2020年9月10日現在)、山登り&ソロキャンプの極意をまとめた書籍が発売されるなど、注目度が上昇中のかほなんさんに、アウトドア好きになったルーツや夢の無人島暮らしへの思いなどをインタビュー。密を避けた野外遊びに役立つヒントもいっぱいだ。
■キャンプが楽しみで仕方ない!キャンプっ子な子供時代
――キャンプ好きのお父さんと登山が趣味のお母さんの影響で、自然に親しみながら育ったかほなんさん。幼い頃のアウトドアの思い出はありますか?
【かほなん】家族でキャンプをする時は、基本的にはバンガローなどを借りずにテントを張るスタイルでした。今のようにキャンプアイテムも充実していなくて、河原にテントを張り、マットとかも引かずに寝ていたので、背中がゴツゴツして痛かったことを覚えています(笑)。幼稚園の遠足が毎年山登りだったこともあり、自然と触れ合う機会はたくさんありました。
――そういう幼い頃の経験が、今のたくましいスタイルにつながっているのですね。かほなん流キャンプの醍醐味といえば、ブッシュクラフト(※)ですが、子供の頃から物づくりは好きでしたか?
【かほなん】図工や自由研究が大好きでした!普段の遊びも、周りの女の子が人形やドールハウスで遊んでいる中、私は一人でブロック遊びに没頭していましたね。見本通りに作るというよりは、自分で想像を膨らませながら自由に作るのが好きでした。
※ブッシュクラフト…落ち葉や枯れ葉など、自然の中にある素材を利用して、飯ごうスタンドや食器など、キャンプに必要な物を手作りすること。
――ブッシュクラフトを心おきなくやりたいというのが、ソロキャンプにはまったきっかけだったとか。初めてソロキャンプをしたのは、いつ頃ですか?
【かほなん】デイキャンプ的な日帰りの野遊びは、以前から趣味でやっていましたが、泊まりのソロキャンプを始めたのは1年前くらいです。まだまだ勉強中という感じですよ。でも雨の日も雪の日も経験しましたし、かなり内容の濃い1年でしたね。ソロキャンプにハマったのは、友だちがいないからという理由もありますけど!(笑)
――いろんなピンチがあったと思いますが、アウトドアの第一関門といえば、虫問題!かほなんさんは平気ですか?
【かほなん】虫関係は基本的にへっちゃら。なぜか蚊に刺されにくい体質みたいで、家族とキャンプに行っても、みんなが刺されるのに私だけ刺されないというお得体質なんです(笑)。でも、虻だけは苦手!川遊びしていても、水面から顔を出していると顔の周りを旋回しながら攻撃してくる。本当に邪魔ですね。
――動物に襲来されたなどの恐怖体験は?
【かほなん】今のところないですね。動物が寄って来ないように焚き火をしたり、虫除けのために煙が消えないようにしたりということは心がけています。
■夢の無人島暮らしに向け、山でサバイバルの予行訓練中!
――2020年の春に山を購入したそうですね!
【かほなん】YouTubeをきっかけにソロキャンプや野遊びをしていたら、やりたいことがどんどん増えてきて、思い切って買っちゃいました!落ちている枝や枯れ葉を使って火をおこしたり、飯ごうスタンドや食器を作ったりするブッシュクラフトが大好きなんですが、キャンプ場や公園など手入れされている施設だと木を自由に使えないことも多くて…。自分の山なら、もっと自由にブッシュクラフトに打ち込めるかなと思ったんです。
――車両系建設機械を運転、操作する資格を取られたそうですね。
【かほなん】購入した山の斜面を削って平地にしたかったので、整地できる機械の資格があると便利だなと。斜面でもキャンプはできますが、シェルターを組んでみたいとか、畑を作ってみたいとか、やりたいことがどんどん膨らんで、心おきなくチャンレンジするためには平らな地面がほしいと思って、重機を運転できる免許を取得しました。
――誰かにお願いせずに、自分で整地しちゃおうという発想がすごい!
【かほなん】確かに依頼するという手もありましたね(笑)!でも、私の最終目標は無人島生活なので、そのために今から経験を積んでおきたいんです。無人島で生き抜くための知識や技術を身に付けるためにも、何事も、できる限りゼロから自分でやってみたいなと思っています。
――無人島暮らしの実現へ向けて、時期やプランなど具体的な構想はあるのですか?
【かほなん】無人島で暮らすことは、私の人生のビッグドリームなので、何年後とか具体的な目標はなく、いつか実現できるように準備を少しずつ積み重ねていくという感じです。イメージ的には、波が押し寄せても飲み込まれないような、しっかり暮らせるサイズの島。そこで日の出と共に起き、ヤギや鶏を飼い、田畑を耕して農作物を育て、魚を釣って暮らす。まさに自給自足の生活をしたいんです。
――釣りの腕前もメキメキ上がっていますね。
【かほなん】川釣りは経験を積むうちに、結構釣れるようになってきたのですが、海釣りが苦手で…。「ここなら誰でも釣れるよ!」と地元の人が太鼓判を押すような釣りのポイントに行っても、私だけすごく小さい魚しか釣れないんですよ。海なし県民の性なのか、海魚に嫌われているのかなぁ。海釣りは今後の課題です。
■100円均一店やホームセンターを物色。代用品を探しも楽しみ
――今シーズンのキャンプ事情や、注目しているアウトドア用のアイテムなどがあれば教えてください。
【かほなん】密を避けながら癒しの時間を過ごすという意味合いからも、ソロキャンプの人口がますます増えるんじゃないでしょうか。注目しているアイテムは、書籍でも紹介していますが、「ワークマン」の綿アノラックパーカーです。綿100%だから多少火の粉が飛んでも燃え難くて、汚れも気にならない。焚き火する時にもぴったりです。「今度は何色が発売されるんだろう?」とか、1ファンとして新作も待ち遠しいですね。
――アウトドアブランドの製品にこだわらず、普段使いの物などを活用するのも、お金をかけないキャンプのコツですか?
【かほなん】そうですね。すべてをキャンプ専用のアイテムで揃えると高価になるので、100円均一ショップやホームセンター、作業服・用品の店などを巡りながら、代用できる物を探すのもすごく楽しいですよ。アイデア次第で活用できる物は、たくさんありますから。ぜひ皆さんも、身近な物を使ってアウトドアシーンでの活用術を見つけてみてください。
■山登りビギナーは、秋の低山でデビューがおすすめ
――ビギナーにおすすめの、山選びのポイントがあればお聞かせください。
【かほなん】一般的に名前が知られているような有名な山は、2000m級とか3000m級とかレベルが高い山が多く、かなり本格的な装備が必要なので、標高300〜1000mぐらいの級の低い山から始めるのがおすすめです。山頂には自動販売機やトイレがあるような、ある程度整備されている山からまずは選んで、ハイキング気分で楽しんでみてください。
――登山の前日にやっておくと良い準備はありますか?
【かほなん】結構、忘れがちなのですが、足の爪を切ること!下山の時、つま先に負荷がかかり続けるので、低山ハイキングでも痛みに耐えられなくなることがあります。あとは、低い山でもスニーカーではなく、登山靴で登るのがベスト。私も以前、痛みをこらえて下山していたものの、最後の舗装された緩やかな道でついに耐えられなくなって、後ろ向きでフィニッシュした苦い経験が…やっぱり、足元は大事ですね!
――キャンプを楽しむ時に、かほなんさんが好きな季節はありますか?
【かほなん】私は暑ければ暑いほどテンションが上がる性格なので、とにかく夏のキャンプが好きです。昼間は川遊びもできるし、夜は気温が下がってすごく快適。実はゴールデンウィークや秋の連休より、夏休みの方がすいているキャンプ場も結構あるので、狙い目です。とはいえ、ビギナーやファミリーキャンパーの方には、やっぱり秋がベストシーズンだと思います。私みたいに、灼熱の太陽の下、汗を垂らしながら真夏に焚き火で料理をしていると、途中で「何やっているんだろう?私…」と思うこともあるので(笑)。少し肌寒い秋に「暖かいね」と言いながら火を囲む方が、無理なく楽しめるはず。逆に冬は、雪や寒さ対策の特別な装備が必要になるのでワンランク上がってしまいます。秋は紅葉もきれいなシーズンですし、まずは、ストイックなキャンプではなく、心から楽しめるアウトドアをぜひ体験してみてください。
――中部エリアで、ソロキャンプにおすすめのスポットはありますか?
【かほなん】ビギナーの方は設備の行き届いたキャンプ場で、まずはトライしてみるといいのではないでしょうか。キャンプ場だと周囲の人の目もあるので、アクシデントが起きた時も安心ですし、薪が足りなくなっても調達できる。ただし、秋冬に行くなら、標高の高い場所にあるキャンプ場は要注意です。山の寒さを知らないビギナーの方は、体調を崩しがちなので、標高が低い所にあるキャンプ場からチャレンジしましょう。あとは富士山が見たいとか、琵琶湖の近くがいいとか、好きな景観で選ぶと、思い出もより色濃くなりますよね。
■アウトドア料理は、つるして豪快に焼くのが一番!
――YouTubeや書籍でも、いろいろなアウトドア料理を紹介されていますが、もともと料理は好きだったのですか?
【かほなん】料理は好きですが、そんなに凝った物は作りません。ダッチオーブンとかも使いませんし、基本的にはつるして焼くとか、調理法はいたってシンプル。見た目のインパクトがある料理が好みなので、男前で豪快な料理ばかりですよ(笑)。
――YouTubeでは失敗談なども包み隠さずアップされていて、親近感が湧きます。ビギナーとしても役立つネタが満載ですね。
【かほなん】アウトドア料理もブッシュクラフトも、正解を知ってやっているわけではないので、実際に作ってみて失敗だったとか、こうした方が良かったということも多々あります。ソロキャンパーとしてはまだまだ鍛錬中なので、実体験をもとにあとで振り返りながらテロップで補足説明しています。トライ&エラーの連続なので、その成長ぶりも見ていただけたらうれしいです。
――アウトドア料理に挑戦したいと思っている人へ、おすすめの調理ギアがあれば教えてください。
【かほなん】ここ数年、不動の人気を誇っているのは、メスティン自動炊飯セット。取っ手があるので食べやすく、約1.8合炊きなので1人分にちょうどいいサイズ。小振りなので、登山の時などにもかさばらなくて便利です。それから、私の個人的な激推しアイテムは、兵式飯ごう!王道の兵式飯ごうは、ご飯なら約4合炊けるサイズがベーシックですが、ソロ利用の場合は、中蓋と外蓋を組み合わせてご飯を炊き、本体部分は深さがあるので鍋代わりにして揚げ物やカレー、汁物などを作れるという、万能調理器具です。トライポッドに吊るして使えますし、ご飯が炊けたら、蓋をフライパンやお皿として活用できるという優れ物。アウトドア料理のギアをこれから揃えたいという方は、ぜひ、兵式飯ごうを試して見てください。
――最後に、ファンの皆さん、読者の方へメッセージをお願いします。
【かほなん】まだまだ手探りの連続ですが、いろいろなことに挑戦しながらサバイバルを楽しんでいる様子を、書籍やYouTubeで紹介しているので、ぜひご覧ください。こちらのウォーカープラスでも連載しますので、お楽しみに!これからも、夢の無人島生活を目指して、人が思いつかないようなことにチャレンジしていきます!ビギナーの方にも、達人の方にも、何か役に立つことがあればうれしいです。
●かなほん/アイドル、アウトドア系YouTuber。YouTubeチャンネル「さばいどるチャンネル」は、登録者29万人を突破し、アウトドアのテレビ番組に出演するなど、注目度上昇中。2020年7月には『お金をかけない! 山登り&ソロキャンプ攻略本』(株式会社KADOKAWA)を発刊。キャンプ好きの父と登山が趣味という母の影響で、幼いころからキャンプや野遊びをして育ち、三度の飯とアウトドアが大好き。拾った枝でカトラリーを作ったり、川で釣った魚をその場で焼いて食べたり、ビニールシートをテント代わりにして悪天候の中でソロキャンプをしたり。キュートなビジュアルと、ワイルドで男前なキャンプスタイルのギャップが話題。