二本足で立つ姿がかわいいレッサーパンダ。大阪市の天王寺動物園では、うつぶせで大の字になって寝そべる姿が「べっちゃーパンダ」「かわいすぎて癒される」とSNSなどで話題だ。なぜそんな姿で寝るのか?その理由や癒されポイントなどを探ってみた。
■足の裏まで毛が生える茶×白のパンダ
丸くて大きな黒目の目遣いにも胸キュンしちゃう、茶×白のルックスでおなじみのレッサーパンダ。
黒×白のパンダ(ジャイアントパンダ)よりも小柄なため、英語で小さいという意味の「レッサー」(lesser)が付き、今の名前で親しまれるように。頭は丸く、とがった耳と太く長い尾を持ち、ネコやオオカミと同じ「食肉目」に分類されているが、肉食動物ではなく、竹の葉が主食で、果物や卵なども大好きだ。
生息地は、年間最高気温25℃の中国南西部からミャンマー北部、ネパールの森林や竹林。冬は雪に覆われる環境で生き抜くため、足の裏まで毛が生えているのも特徴だ。なので実は、日本の夏は、レッサーパンダたちにとってかなり暑かったりする。
鋭い爪を持ち木登りも得意。前足には、竹を掴んだりするときに使う親指に似た骨があり、竹やリンゴを手で持って上手に食べる。
野生の生息数は約2500~10000頭と推定され、「生息地の消失」や「密猟」が原因で絶滅が危ぶまれる。世界中の動物園で飼育されているが、その7割が日本。二本足で立つ姿で一世を風靡した風太くんがいる千葉市動物公園など国内で270頭が飼育され、天王寺動物園ではオス1頭、メス2頭の3頭に会える。
■キュートな表情や姿は悶絶レベル!
天王寺動物園にいるレッサーパンダは在園歴13年のお姉さんシュウナをはじめ、草食系男子のメル、シュウナに弱いがメルには生意気な妹気質(!?)の咲弥(さくや)。この3頭の見分け方や性格、そして飼育での秘話などを、同園で動物福祉を担当する動物専門員の廣谷あおいさんに教えてもらった。
まず1頭目は姉御肌のシュウナ(メス/2006年7月4日生まれ)。強気な性格で物怖じせず、ほかのレッサーパンダとの関係性からファンからは「シュウナさま」と呼ばれている。負けず嫌いで強気。色気より食気で、特にリンゴには目がない。3頭のなかで一番尻尾がフサフサ。
続いて2頭目は、男子のメル(オス/2013年7月10日生まれ)。気が弱くて消極的。年下の咲弥にでもエサを譲ってしまう優しさがある、大人しく温厚な草食系。蒸したサツマイモをこよなく愛す。顔全体の色は薄いが、尻尾の縞模様ははっきりしている。
そして3頭目は、甘えん坊で生意気な末っ子気質の咲弥(メス/2015年6月24日生まれ)。美人系のシュウナに対し、こちらはカワイイ系。人見知りをするおだやかな性格で、シュウナに逆らえないことも。夢中になってリンゴを食べる姿はなんともキュート。尻尾の先が少し薄毛なのも目印。
動物専門員の廣谷さんだけが知っている、3頭のお茶目な一面や、大の字で寝そべる理由を聞いてみた。
「初めて3頭に会ったときは警戒心からかどの子も近付いてくれず、遠くからこちらの様子をうかがうようでした。ところが大好物のサツマイモとリンゴを持って行くと、嘘のように近付いてくれ、とてもうれしかったのを覚えています。関われば関わるほど愛くるしさにひかれ、3頭それぞれの性格の違いや好みを見て接することが日々楽しいです」
さらに「Youtubeでライブ配信を行ったときは、リンゴ欲しさにシュウナが私に張り付き離れませんでした。しかし、あまりにうろうろする私に付いて来られずに、レッサーパンダではありえないずっこけを披露。視聴者の心を鷲掴みしました。SNSで話題になっている『床にべたーーーと寝そべるレッサーパンダ』は、日本の夏は暑いので、冷たい場所を見つけて体全体を冷やしているんです。シュウナが特にしますが、咲弥やメルも同じようにしています。その姿は本当に愛らしくて、仕事で接しているにも関わらず癒されています」と話す。
多彩な動作やしぐさ、豊かな表情は見飽きず、全方位的にキュート。登った木から滑るところやリンゴをおいしそうに食べる顔、ぺちゃっとした寝姿など、癒されポイントもいっぱいだ。ぜひ会いに行こう!
■園内イベントの中止など、安心・安全に取り組む
新型コロナウイルス感染拡大防止の対策については、「園内各所、手すりやトイレなど、来園者が触れる部分の消毒を行い、ソーシャルディスタンスにも考慮しています。また、大阪コロナ追跡システムへの呼びかけも実施しているので、ぜひご協力ください」と広報の松岡さん。
スタッフのマスク着用や体調管理の徹底はもちろん、混雑時には入園制限も。ふれあい広場の閉鎖や園内イベントの中止など、安心・安全に取り組んでいる。
取材・文=下八重順子
※新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。