丸い体に茶色いモフモフした羽毛が生え、長いくちばしと脚にもインパクトがある“飛べない鳥”キーウィ。国内では大阪市の天王寺動物園だけで2羽のみ飼育される珍鳥だ。翼のない神秘的なフォルムが、なんだかぬいぐるみのようにも見えると、動物好きの間で話題になっている。
担当飼育員も思わず「ぬいぐるみ!?」と感じた、キュートな佇まいや表情を紹介。さらには、飼育時の愛らしいエピソードも聞いてみた。
■“飛べない鳥”キーウィって?
翼は退化して尾羽もないキーウィ。ニュージーランドの国鳥で、繁殖期のオスが「キーウィ」と鳴くことから先住民マオリ族がそう名付けた。
モフモフした茶色の羽毛に丸いフォルムの見た目から、同じくニュージーランドを代表する果実、キウイフルーツの語源でもある。夜行性で視力は弱いが嗅覚が非常に発達し、鼻孔がくちばしの先端近くにあるのでエサを探すのに役立っている。
天王寺動物園で飼育しているのは、ニュージーランドの北島に生息するキタジマキーウィ。減少傾向にある絶滅危惧種で、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでは絶滅の危険性が高いEN(絶滅危惧ⅠB類)分類されるとても希少な鳥だ。
1970年に大阪での万国博覧会を記念し、ニュージーランド政府から贈られたのを最初に、3度にわたり贈呈を受け、今では天王寺動物園のシンボルマークのような存在に。現在はジュン(オス/38歳)とプクヌイ(メス/31歳)の2羽に会える。
■歩く姿もつぶらな目も、どこから見てもぬいぐるみのよう!
夜行性動物舎にいる2羽のキーウィ、ジュンとプクヌイ。翼がなく長い羽毛の姿にインパクトがあるせいか、歩いている姿や佇んでいる姿にどこか不思議なムードが漂い、ぬいぐるみのようにも見えてしまう。
そんなキーウィについて、担当飼育員の松下俊之さんだけが知っている、チャーミングな一面を聞いてみた。
「キーウィは人間を警戒しない動物なんですが、性格的に神経質で臆病なところがあり、私が担当になった当初はすぐに隠れて人見知りしていました。毎日声掛けをして覚えてもらって仲良くなり、今では検診後に話しかけると、つぶらな黒い目でじっと見つめ、私の後ろをちょこちょこ付いて回るほどです。幼虫を探して食べているところもかわいいですね。体重測定で大人しくちょこんとしている姿は、キウイフルーツに似ていて、ぬいぐるみのように見えます」
想像するだけで愛らしく、飼育員さんがうらやましい…。
キーウィの部屋がある夜行性動物舎は、夏場では約27℃に保たれ、人間にもちょうどいい室温。屋外の気温が30℃以上ある場合は涼しく感じるので、涼みがてらキーウィたちに会いに行くのもおすすめだ。
■飼育員監修のリアルぬいぐるみを限定販売
独特なしぐさや表情は見飽きることなく、かわいらしくて連れて帰りたいほど。
そんな願望をかなえてくれるぬいぐるみを園内のグッズショップ「ZOOQLE」(ズークル)で限定販売している。飼育員が監修しただけあり、なかなかリアルな作りだ。
またキウイフルーツをイメージしたマスコットも販売。キウイフルーツのブランドシールのようなワッペンが付き、こちらも同ショップのみの限定販売だ。
本物のキーウィを見た後は、ぬいぐるみのキーウィなどおみやげも購入しよう。
■大阪コロナ追跡システムの呼びかけも
新型コロナウイルス感染拡大防止の対策については、「スタッフのマスク着用や体調管理の徹底はもちろんですが、混雑時には入園制限をするほか、ふれあい広場を閉鎖し、園内イベントも中止をしています」と広報の松岡さん。
園内の各所、手すりやトイレなど、来園者が触れる部分の消毒、ソーシャル・ディスタンスを考慮した取り組みも実施している。また、大阪コロナ追跡システムへの協力の呼びかけも行っているので、安心・安全のためにもぜひ協力したい。
取材・文=下八重順子
※新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。