福島県福島市平石地区に設置されたガンダム像、通称「へたれガンダム」。先日、手に持っていた銃が盗難にあい話題となった。
そんな「へたれガンダム」のプラモデルを製作したモデラーのnaagaさんに、“へたれ”なガンダム像を立体化した理由や、“アニメ聖地”で表面化しているマナー問題について聞いた。
■へたれな姿から感じる“わびさび”、製作イメージは神社仏閣の「ご神体や仏像」
―――「へたれガンダム」を製作したきっかけは?
「模型の錆び表現と、スクラッチモデルの習作用にモチーフを探していたところ、『へたれガンダム』の画像を偶然見つけて大きなショックを受け、一目惚れで製作を決めました」
――最近の「へたれガンダム」とは見た目がやや違いますね。作ったのはいつごろですか?
「製作は2016年6月なので4年前になります。画像で見た当時の『へたれガンダム』は、雨風にさらされ鉄製ボディの塗装が剥げボロボロの状態でした。でも、錆びて徐々に朽ちていく姿に“諸行無常”を感じ、逆に製作意欲が高まりました」
――製作でこだわったポイントは?
「できる限り忠実に、なおかつ、かっこよすぎたり、かわいく見えたりといった“あざとく”ならないように気をつけました」
――普段はどんなテーマ性をもった作品を製作することが多いのでしょうか。
「『へたれガンダム』や『作画崩壊ククルス・ドアンザク』など、そのときどきで惚れたりシビれたりしたものを製作しています。一貫性はないかもしれませんが、『かっこいい、美しいとはなんだろう』というテーマ性は持ち続けています」
――naagaさんにとって「へたれガンダム」の存在とは?
「“へたれ”という通称を少し残念に感じています。僕は『わびさびガンダム』と呼びたいです。いわゆる道祖神や神社仏閣のご神体や仏像のような存在です。末永く大事にしていただきたいです」
■“アニメ聖地”を盛り上げるためには、ファンのマナー改善も必須
――「へたれガンダム」を製作するうえで、どのような苦労がありましたか?
「資料を集めるのに苦労しました。現地に行って取材するには福島は遠く…ネットでできる限りの画像を集めたのですが、細部がわからず想像で補完した部分もあります」
――現地に「へたれガンダム」を見に行く人も多く、もはや“ガンダムの聖地”の一つとなっています。
「コロナが落ち着いたらぜひ訪れてみたいですね。できればその土地の方や関係者にお会いし、製作の経緯や『へたれガンダム』の歴史をうかがってみたいです」
――いわゆるアニメの聖地巡礼をしたことはありますか?
「僕の住まいがアニメ『ゆるキャン△』の舞台に近いこともあり、少しですが巡りました」
――実はいま、「へたれガンダム」を見に行ったファンのマナーが問題となっているそうです。その点についてどう思われますか?
「一部のパーツが盗難に遭ったとニュースで知りました。読売新聞オンラインのニュースによると、ガンダム像の正面にある集会所に監視カメラを設置したり、近所の交番が見回りを強化しているようです。悲しいですね」
――全国の“アニメ聖地”でも似たような問題が一部で起きているそうです。
「アニメ文化を守り、“アニメ聖地”を盛り上げていくためには近隣住民の方の理解は絶対に必要です。現場に行くファンには、自制心を保って、節度のある振る舞いをしていただきたいです」
取材協力:naaga(@naaga333)
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