株式会社住環境研究所が2019年に実施した「睡眠状況に関する実態調査」によると、睡眠に不満のある40代は4割を超えました。また、その中の多くが「⽇中の眠気」「睡眠時間が⾜りない」「起きた時にスッキリしない」と感じているようです。
アンチエイジングアドバイザーの筆者が、調査結果を踏まえて、睡眠の質を高めるために見直したい生活習慣について、「睡眠」「疲労回復」の専門家である福田英宏さんにお話を伺いながらご紹介します。
「40歳を過ぎてから眠りが浅くなった」「夜中に目が覚めやすくなった」など、睡眠の質の低下を感じている人は多いのではないでしょうか。その原因について、福田さんに詳しくうかがいました。
元気な状態というのは、副交感神経(休息の神経)と交感神経(活動の神経)とのバランスがよくとれた状態で、なおかつ、それらへ入るためのスイッチの入れ替えがスムーズにできている状態です。
しかし、40代からは副交感神経の働きが衰え、交感神経が優位の状態に偏りがちになります。さらに、40代からは、副交感神経と交感神経が入れ替わるスイッチもうまくいかなくなるといったことが影響して、深い睡眠や疲労回復がしづらくなってしまいます。
このほか、年齢によって必要な睡眠時間の目安は、徐々に減少していくといわれています。日頃の生活では、睡眠時間よりも睡眠の質を重視しましょう。
睡眠の質を高めるためには、眠る前の夜の生活習慣だけでなく、生活全般を見直す必要があります。朝、昼、夜の習慣に分けて詳しくご紹介します。
朝起きたら、太陽の光を浴びましょう。室内の照明は、明るく見えても500〜1000ルクスが一般的です。室内照明だけでは、安定や癒しの物資といわれるセロトニンの分泌に必要な2500ルクス以上の明るさを確保できません。
必ず朝はカーテンを開けて、太陽の光を浴びましょう。それだけでも必要な光を浴びることができますが、できれば屋外で太陽の光を浴びるのがおすすめです。
日中に太陽の光を浴びることが重要で、光を浴びる時間は、30分程度必要です。体内時計は光でリセットされ、14〜16時間後くらいに眠気がくるようになっています。
ただし、極端に早寝の人や早起きの人は、朝日を浴びるのを避け、夕方の光をあびながら散歩するのがおすすめです。
忙しい朝は時間がなく、朝食を食べずに外出する人もいるかもしれません。しかし、朝食はしっかりと食べることが大切です。特に、セロトニンの分泌に関わるトリプトファンやビタミンB6を含んだ食品を朝食で摂るのがおすすめです。
トリプトファンを含む食品は、牛乳、ヨーグルト、チーズ、ナッツ類、アボカドなどです。ビタミンB6を含む食品は、玄米や豚肉、青魚、牛レバー、にんにく、生姜などです。
また、その両方を含んでいる食品は、バナナ、豆腐、豆乳、納豆などです。また、よく噛んで食べることも、セロトニンの分泌のためには大事です。
55歳以下であれば15〜20分程度、55歳以上であれば30分程度の短い昼寝をするのもおすすめです。認知症の予防に効果的であるほか、脳の疲労や眠気の解消に効果的です。
昼寝に適した時間帯は、12〜15時の間が理想的です。机に伏せて目を閉じるだけでも効果が期待できます。
カフェインとの付き合い方も睡眠の質に関わってきます。夕食後に、緑茶やコーヒーなどカフェインを含む飲み物を飲むことを習慣にしている人は、ぜひ見直してください。
カフェインを多く含む食品の摂取は、遅くとも15時までで、量も多くて3杯までに留めるのがおすすめです。
就寝に向けて、少しずつ準備をしていくことが大切です。そのためには、19時以降はなるべく部屋の照明を抑えて、暖色系の光の下で過ごすのがおすすめです。そして、就寝1時間前には、さらに部屋の照明を少し落としましょう。
寝る90分前に、40℃のお湯で10〜15分程度、うっすら汗が出てくる程度を目安に入浴してください。
いつも決まった時間にベッドに入る人が多いかもしれませんが、なかなか寝付けずにベッドの中で長時間過ごすのはよくありません。
というのもそのような行動を習慣にしていると、脳がベッドは寛ぐための場所であり、眠るための場所ではないと誤った認識をしてしまうことに繋がって、質の良い睡眠の妨げになってしまいます。注意しましょう。
今回は、睡眠の質を高めるために見直したい生活習慣について、「睡眠」「疲労回復」の専門家である福田英宏さんにお話をうかがいながらご紹介しました。ぜひこの機会に、ご自分の生活習慣を見直して、いい睡眠のためにできることを取り入れてみてください。
【福田英宏(ふくだ・ひでひろ)さん プロフィール】
早稲田大学大学院スポーツ科学研究科(修士)/睡眠改善インストラクター
株式会社RecoveryAdviser(リカバリーアドバイザー) 代表取締役。プロアスリートをはじめとするスポーツ選手に「リカバリー理論」を指導するほか、休養や健康関連を展開する企業のコンサルティングを手掛ける「疲労回復の専門家」として活動中。
(アンチエイジングアドバイザー 遠藤 幸子)
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【参考】
※「アスリート休養の専門家」 – Recovery Adviser
※「睡眠状況に関する実態調査」について -日常生活の乱れが睡眠へ悪影響を及ぼす-(PDF) – 住環境研究所