健康や美容のためにも、質の良い睡眠はとても大切です。しかし、高温多湿の夏の気候もあいまって、「なかなか質の良い睡眠をとれずに悩んでいる」という方も多いかもしれません。
薬膳の世界では不眠にもタイプがあり、タイプ別に食材を変えることが大事だといわれています。もしかしたらあなたの不眠は、「栄養不足タイプ」かもしれません。
国際薬膳調理師の筆者が、睡眠の質を上げるために摂りたい「栄養不足タイプの不眠の方のためのおすすめ食材」をご紹介します。
「栄養不足タイプの不眠」というのは、以下のような不調が当てはまる方です。
□眠気は感じるのになんとなく眠れない
□夜中に目が覚めてしまう
□疲れやすい、だるさを感じやすい
□つい悩んだり、考えごとをしてしまうことが多い
□眠りが浅くて夢を見ることが多い
これらの項目が多くあてはまった方は、血(けつ)という心や体に栄養を与える物質が足りていないと、薬膳の世界のベースである中医学(中国伝統医学)では考えます。
このタイプの方は、心に栄養が行きわたらず、不安感や落ち込みを感じやすくなります。ですので、睡眠時間をとっているにも関わらず、何度も目が覚めてしまったり夢をみたりするなど、熟睡しにくくなる原因があります。
そうすると、すっきり起きられない、一日中だるさを感じる、集中力が散漫になってしまうなど、血(けつ)の不足により不調がさらに出て、悪循環に陥ってしまいます。
このタイプの方は、血を増やす食材を味方につけて栄養をチャージしていくことが、睡眠の質をあげるカギになります。
毎日の食卓に欠かせない卵。卵には血を補う働きがあり、胃腸の働きもアップしてくれますので、このタイプにぴったりの食材です。現代栄養学的にも発育に必要な栄養素が入っている、ほぼ完全栄養食品ともいわれるパワーを持っています。
薬膳的におすすめの食べ方は“ゆで卵”。血が少なくなりやすい人は胃腸が弱い人が多いのですが、油の多食は胃腸に負担をかけてしまします。ですので、スクランブルエッグ、目玉焼きよりは、ゆで卵が◎。一度に何個か茹でておき、煮卵にするというのもいいですね。
「ダイエットのために、野菜やフルーツだけを摂る」という方も多いかもしれませんが、睡眠の質をあげたいならば、お肉やお魚など動物性のものも積極的に摂りましょう。
なかでも、血の量をアップしてくれるのが鶏レバーです。
意識しないとなかなか食べる機会が少ないと思いますので、「毎週金曜は、レバーをつかった料理を食べる」と決めてみるのもいいかもしれません。ご自身のお疲れが出やすい曜日に設定すると、なおいいでしょう。
お野菜の中でおすすめしたいのは「ほうれん草」。血の量をアップするだけでなく、イライラした気持ちを落ち着けてくれる作用も期待できますので、気持ちがゆらぎやすい生理前は積極的に摂り入れましょう。
ほうれん草は、収穫した瞬間から栄養がなくなってしまうといわれていますので、買ったらすぐに茹でておくことをおすすめします。こうすることで料理の時短にもなります。
「栄養不足タイプ」さんも、もうひとつの「ストレスタイプ」さんにも共通して必要なのが、胃腸をやさしく労わること。胃腸が元気でないと、せっかく食事に気を遣っても、栄養に変えることができません。
寝る2時間前には食事を終えておく、煮る、蒸す、ゆでるの調理法を意識してごはんを作る、冷たいものは極力控えるなども意識しましょう。
さて、不眠のあなたは「栄養不足タイプ」と「ストレスタイプ」、どちらのタイプでしたか?
質のいい睡眠は、すこやかな身体や心、お肌を育むために欠かせません。そのためには、自分の現状を把握し、必要な栄養を摂り入れることが大切です。ぜひ、ご自身のタイプに当てはまる食材を積極的に摂り入れてみてくださいね。
(薬膳ライフバランスプランナー/国際薬膳調理師/コラムニスト 倉口 ゆうみ)
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