春のお悩みの一つである「黄砂」。「車や洗濯物に付着し、汚れて困る…」といった印象をお持ちの方や、くしゃみ等のアレルギー症状が出る方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、黄砂の正体や飛来のメカニズム、そして私たちの身体や生活への影響について解説します。
黄砂とは、中国大陸のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠などの乾燥した地域で、風によって巻き上げられた砂埃が偏西風に乗って日本に飛来し、大気中に浮遊したり降下したりする現象のことをいいます。
運ばれてくる過程で大気汚染物質が多く発生している地域を通過する場合、それらの物質とともに飛来することもあります。
黄砂は一度大気中に舞い上がると、10μm以上の比較的大きな粒子は早い段階で落下しますが、より小さい粒子は上空の風によって遠くまで運ばれます。
環境省によると、過去には太平洋を横断して北米やグリーンランドまで飛来したことも報告されています。
日本だけでなく、さらに遠く離れたアメリカ大陸まで到達したことがあるなんて驚きますよね。
また、黄砂が最も多く観測されるのは、3〜5月の春の時期です。
理由は、春は地面を覆うものがなく、砂埃が舞いやすいためです。
夏や秋は植物、冬は積雪や凍結により地面が覆われていて、黄砂の発生が抑えられています。
日本に飛んでくる黄砂の大きさは4〜5μm(0.004〜0.005mm)ほどです。
日本では砂は0.0625mm〜2mmと定義されているので、黄”砂”といっても私たちが一般的にイメージする砂より非常に細かい粒子です。
また、スギ花粉の大きさは30〜40μm程度のため、スギ花粉よりも小さい粒子です。
※動画では実際の黄砂をお見せしながら解説しています。
環境省によると、目や鼻、皮膚などのアレルギー症状との関連があり、目のかゆみ、結膜炎、鼻水やくしゃみなどを引き起こすことがあると報告されています。
また、アレルギー症状の他にも循環器疾患・呼吸器疾患との関連も報告されています。
呼吸器や循環器に疾患のある方、小さなお子様、高齢者の方は、体調に応じて慎重に行動することが大切です。
黄砂が飛来しているときは不要不急の外出を控えたり、マスクを着用することで、黄砂を吸い込んでしまう量を減らすことが期待できます。
また外から家に入るときは、手洗いうがいをしっかりしましょう。
黄砂には、アルミニウム・カルシウム・鉄といった金属成分が含まれています。そのため洗濯物に付着すると、汚れや黄ばみの原因になることがあります。
また黄砂に含まれる金属化合物や有害物質が洗濯物に付くと、異臭につながることがあります。ニオイが発生した場合、洗濯をしてもなかなか消すことができません。
黄砂が飛来しているときは、洗濯物はできるだけ部屋干しするのがオススメです。
また、洗濯物に黄砂がついてしまったときは、乾いた状態でたたいて払い落としてから再度洗い直しましょう。
黄砂は水に溶けないため、まずはしっかり乾かしてから黄砂を落とすことがポイントです。
車に付着してしまった場合は、早めに汚れを落とすことが大切です。放っておいて雨が降ったりすると、黄砂が固まってしまいシミになってしまうこともあります。
動画解説:河合恵