春先になると、ニュースなどで「黄砂」という言葉を耳にする機会が増えますよね。視界が黄色くかすんでいる光景を目にしたり、黄砂によって自家用車のボディがザラついたりすると、「せっかく洗った洗濯物を外に干しても大丈夫かな?」と気になることもあるでしょう。黄砂に対して漠然としたマイナスイメージはあっても、日常生活への具体的な影響はよくわからない、という方は多いのではないでしょうか。
この記事では、黄砂が飛来しているときの洗濯物対策について紹介します。黄砂の基礎知識から、黄砂による洗濯物への影響、対策方法まで解説するので、ぜひ参考にしてください。
黄砂とは、中国大陸内陸部の砂漠や高原などから飛来した土壌や鉱物粒子が、大気中に浮かんだり降りてきたりする現象のことです。また、土壌や鉱物粒子自体を黄砂と呼ぶこともあります。「黄砂=砂」というイメージが強いかもしれませんが、基本的には「現象」を指す言葉なのですね。
中国のタクラマカン砂漠や黄土高原、中国とモンゴルの間に位置するゴビ砂漠などの乾燥・半乾燥地域では、土壌や鉱物粒子が強風によって高度数千メートルまで巻き上げられます。偏西風に乗った土壌や鉱物粒子は、日本にも飛来します。
1981年〜2016年にかけての黄砂観測日数の統計データによると、日本ではほぼ一年を通して黄砂が観測されています。観測日数は2月ごろから特に増え始め、ピークを迎えるのは3月〜5月ごろです。
黄砂粒子には、造岩鉱物(石英・長石)や、粘土鉱物(雲母・カオリナイト・緑泥石
など)が多く含まれています。日本まで飛来する黄砂の粒子の多くは、4マイクロメートル(=0.004ミリメートル)程度の大きさです。約30マイクロメートルのスギ花粉と比べると、黄砂粒子はずいぶん小さいですね。
この小さな黄砂粒子からは、土壌起源ではないと考えられる物質も検出されています。そのため風に乗って運ばれてくるなかで、人為的な影響による大気汚染物質を取り込んでいる可能性が指摘されています。
黄砂が飛来しやすい時期は特に、洗濯物の干し方には気を遣いますよね。洗濯物が黄砂にさらされることによって、次のようなトラブルが起こることがあります。
■汚れや黄ばみにつながる
黄砂には、アルミニウム・カルシウム・鉄といった金属成分が含まれています。これらは、洗濯物の汚れや黄ばみの原因になることがあります。
■生地が傷む原因になる
黄砂は非常に小さな粒子であるため、洗濯物の繊維に刺さり、傷つけてしまう恐れがあります。繊維が細いニットやセーターなどには黄砂が入り込みやすいので、特に注意が必要です。
■ニオイが付くことがある
黄砂に含まれる金属化合物や有害物質が洗濯物に付くと、異臭につながることがあります。ニオイが発生した場合、洗濯をしてもなかなか消すことができません。
また洗濯物だけでなく、黄砂による健康への影響も懸念されています。環境省がまとめた黄砂に関する国内外の研究成果によると、黄砂の飛来と
・アレルギー症状
・呼吸器疾患
・循環器疾患
との関連が指摘されています。
黄砂による健康への影響は未解明の部分も多いとのことですが、不安要素はなるべく取り除きたいものですよね。黄砂の飛来予測情報は、しっかりチェックしておきましょう。
黄砂は洗濯物の汚れ・黄ばみ・傷み・ニオイにつながるほか、健康に影響を及ぼす恐れもあります。黄砂が飛来する時期の洗濯は、どうすればよいのでしょうか。
一番おすすめなのは、部屋干しすることです。洗濯物が黄砂にさらされにくい室内であれば、黄砂の付着も防げます。ただ、部屋干しが苦手という方も少なくないでしょう。部屋干しによる生乾き臭や乾きにくさが気になるときは、次のポイントを意識してみてください。
■風通しのよい場所に干す
リビングの場合、空気の通り道となる部屋の中央部や窓際に干すことがおすすめです。浴室の場合は、できる限り浴室内の水分を除去したあと、換気扇を回して干しましょう。
■空気に触れやすい干し方にする
洗濯物同士を密着させず、できる限り空気に触れるような干し方を意識しましょう。厚手の衣類は服に空間ができるように、ポケットやフード付きの衣類は生地の重なりを避けるように干します。
角ハンガーを使う場合、両端にはサイズの大きな洗濯物を干し、中心に向かって徐々にサイズの小さい洗濯物を干していく「アーチ干し」がおすすめです。洗濯物の中心に空間ができることで風通しがよくなり、乾きやすくなります。
■家電を活用する
部屋の湿度が高いと洗濯物が乾きにくくなります。
・洗濯機の乾燥機能
・エアコンの除湿機能
・除湿機
・扇風機やサーキュレーター
・浴室乾燥機
など、家電を活用すると早く乾かせます。家電に頼れない場合は、コインランドリーを利用するのもひとつの手段です。
黄砂の飛来時の洗濯は部屋干しがベストとはいえ、外干ししたい日もありますよね。どうしても外干ししたいときは、「洗濯物カバー」を活用するとよいでしょう。
物干しカバーや雨よけカバーとも呼ばれる洗濯物カバーは、洗濯物の上から覆うだけで花粉・ホコリ・雨などからも洗濯物を守ってくれるアイテムです。テントタイプやシートタイプなど、さまざまな形状の洗濯物カバーが販売されています。
外干しによって洗濯物に黄砂が付着してしまったときは、乾いた状態の洗濯物を手で軽くはたくか払ってから、必要に応じて再度洗濯しましょう。黄砂は水に溶けないため、まずはしっかり洗濯物を乾かしてから黄砂を落とすことがポイントです。
また、黄砂情報をこまめにチェックし、外干しのタイミングを見極めることも大切です。
黄砂は、中国大陸の内陸部から風に乗って日本まで飛来します。黄砂が観測される日数は2月ごろから特に増え始め、3月〜5月ごろにピークを迎える傾向にあります。黄砂が飛来しやすい時期は特に、黄砂情報をこまめにチェックしておきましょう。
洗濯物への汚れや黄ばみといったトラブルにつながるほか、健康への影響も懸念されているため、黄砂飛来時の洗濯物は部屋干しすることがおすすめです。どうしても外干ししたいときは、洗濯物カバーで覆うなどの対策を検討しましょう。